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『審問官戦 ―光と灰の連携―』 ◆

黒鉄の審問官オルデールが迫り、

その拳が地を割って突き進む。


「人類の秩序に反する者はすべて――排除する。」


アークが槍を構えた。


「排除なんてさせません!

僕は……僕が信じた自由を守る!!」


光の槍と、黒鉄の拳が激突。


ガガァァン!!!


衝撃波が周囲の木々をなぎ倒す。

アークの体は後方へ吹き飛ぶ――

だが。


ロイの腕が彼の背を支えた。


「立てるか。」


「もちろんです!!」


ロイは灰の剣を肩に乗せたまま、

敵へ視線を向ける。


「なら行け。

俺が全部、斬り開く。」


灰の斬撃が地を這い、

オルデールの足元を絡め取る。


アークの道が――まっすぐ開く。



オルデールが揺らぎながら分析を始めた。


「灰王の力……未知の呪い……

危険因子……最優先排除対象……!」


アークが跳躍。

光の槍が一直線に黒鉄へと突き刺さる。


ドゴォン!!!!


衝撃で装甲の表面が歪む。


「効いた……!」


オルデールの仮面が、アークを捉えた。


「裏切り者……貴様は赦されない。」


アークは叫び返す。


「裏切ってなんかいない!!

僕は――正義を捨ててない!!」


ロイが笑いながら口を挟む。


「よく言った。

じゃあお前の正義、俺と並べ。」


灰王の声が燃料となり、

アークの光がさらに強くなる。



しかし。


オルデールの鉄輪が回転を始める。


ゴウン……ゴウン……


「審問機能、起動。

対象の罪状分析を開始する。」


アークの周囲に黒い文字が浮かぶ。


【裏切り】【反逆】【洗脳】【危険因子】【抹殺対象】


アークの心に黒い声が刺さる。


「罪を……背負え……

お前は……灰王の手先だ……」


槍が震え、膝が折れそうになる。


(僕は……裏切り者……?

議会にも、仲間にも……)



その肩に、

静かに手を置く者がいた。


リリィ。


「あなたは、裏切ってない。

信じるものを……選んだだけ。」


その瞳は涙を宿しながら、まっすぐ。


「私はちゃんと見てます。

あなたが……人を助けてくれたことを。」


アークの胸が熱くなる。


リリィが続ける。


「罪って言うのは、

“誰かを想った証”なんだよ。」


アークは槍を握り直し、

痛いほど強く叫んだ。


「僕は――

ロイさんの背中を見て、自分の正義を選んだ!!

それが罪だと言うなら……!!」


オルデールを見据える。


「背負ってみせる!!!」



オルデールの巨体が大きく揺れる。


「解析不能……矛盾……矛盾……!」


アークが地を蹴る。

光の槍が鋭く突き出され――


バキィィン!!!


装甲に大きな亀裂が入った。


ロイがすれ違いざまに低く囁く。


「いいぞアーク!

お前は俺の盾なんだからな!!」


アークの顔が真っ赤になった。


「そ、そう言わないでください!

恥ずかしいです!!」


ロイはニヤリと笑う。


「俺は照れねぇぞ。」


リリィが頬を膨らませる。


「ロイの言い方はちょっと問題あります!」


戦場の真ん中なのに、

少しだけ笑いが生まれた。


その一瞬が、

アークの心の恐怖を完全に吹き飛ばした。



オルデールの鉄輪が悲鳴をあげる。


「解析……破綻……!!

新たな罪状生成――

“灰王連合”!!!」


その言葉を、ロイが笑う。


「いいねぇ。それ、採用だ。」


アークが光の槍を大きく構え直す。


「行きます!!」


ロイの灰がアークを後押しし、

リリィの祈りが心を支える。


三人の力が一つとなり――


ズドォォン!!!!


オルデールの胸へと、

正義の槍が貫かれた。


「――完了。」


黒鉄の巨体が崩れ、

光の中で爆ぜた。



静寂。


アークは荒い呼吸のまま、

膝をつく。


ロイが手を差し伸べる。


「立て。“盾”が倒れてちゃ困る。」


アークはその手を掴む。


「はい……ロイさん。」


リリィが微笑む。


「お疲れ様です、アークさん。」


アークは気づいた。


(この瞬間を……

僕はずっと求めていたんだ。)


背中を預け合える仲間。

正義を笑い合える自由。


ここに――ある。



しかし。


倒れたオルデールの仮面の裂け目から、

一枚の紙が落ちていた。


アークが拾う。


そこには、歪んだ文字。


次の審問官が来る

“彼”はもう止められない


灰王を神の座から引きずり下ろせ


アークはその文言を見て凍りついた。


「“彼”……?」


ロイが紙を引ったくり、

苦々しい顔で呟く。


「……まさか。

王家直属部隊の……あいつか。」


アークは息を飲む。


ロイは遠い空を睨み――


「こっからが本番だ。」


夜風が吹き、

灰の灯火が揺らぐ。


次回予告


第三部 第十話

『神座に座る者 ―白銀の聖騎士バルドル―』


生きていたあの男。

今度は、議会の“聖なる牙”として現れる。


アークとロイの因縁が、

交錯する。

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