表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
135/203

『裏切り者の旗』 ◆

騎士たちの怒号が響く。

ラーメルが叫ぶ。


「アーク!貴様は終わりだ!!

世界の敵と共に堕ちろ!!」


アークは槍を構え、背中でロイを感じながら戦った。


「終わりじゃない……!

これが始まりだ!!」


光の槍が戦場を裂き、

灰の斬撃が追撃する。


二人が並んだ瞬間――

その圧は、軍勢を怯ませた。


しかし数は敵。

じわじわと包囲が狭まる。


ロイが呟いた。


「ここに長居はできねぇな。ついてこい。」


ロイはアークの腕を掴み、跳躍。

灰色の疾風となって高台へ抜ける。


追撃の刃が届かない場所まで、一気に。



廃墟となった古い塔。

その最上階。


ロイに付き従う少女の姿があった。


涙が乾いた瞳。

それでもまっすぐな光。


――リリィ。


アークが息を飲む。


当たり前だ。

王都で語られる“呪いの女”その人だから。


だが。


目の前のリリィは、

誰よりも人を案じる表情をしていた。


ロイが軽く言う。


「新入りだ。よろしくな。」


アークは緊張で固まる。

そんな彼に、リリィは優しく歩み寄った。


「あなたが……アークさんですね?」


アークは驚いた。


「なぜ、僕のことを……?」


「ロイが助けた騎士さん。

“また会ったら話してみたい”って言ってました。」


リリィが微笑む。

それは呪いを打ち消すほど眩しい光。


アークの胸が熱くなる。


(ロイが……僕のことを……

話してくれていた……?)



ロイは飄々と言う。


「で。お前はどうしたい?」


アークは迷いながらも、槍を握り直す。


「僕は……

あなたの剣にはなれません。

正義は……自分の意思で決めたいから。」


ロイは笑った。


「いいじゃねぇか。

盾になれ。」


アークは言葉を失う。


「俺は斬り進む。

けど時々、それが間違いかもって思う。

そんな時……立ち止まらせてくれる奴が必要だろ。」


「盾であることが、

ちゃんと“自由”であるなら。」


アークの胸に、言葉が突き刺さる。


リリィも頷いた。


「あなたが守りたいと思うものを、

好きに守ればいいんです。」


アークは感情が溢れ、叫んだ。


「僕は……僕の正義で……

ロイさんの自由を守る!!」


ロイが手を差し出す。


「よろしくな、アーク。」


アークはその手を握る。


力強く、確かな絆。



だが――


塔の影では。

黒衣の斥候がその一部始終を見ていた。


「……議会に報告を。」


暗闇へと消える影。



その夜。


議会では巨大な旗が掲げられた。


灰王の紋――

その上に交差する槍。


『裏切り者アーク・ヴァルディス』


イストラム議長は高らかに宣言する。


「聖騎士アーク!

貴様を、世界の敵と断ずる!!」


騎士たちが拳を掲げる。


憎悪の渦は、

新たな戦火を呼び覚ます。



アークは塔の上でその火の気配を感じながら、

空を仰ぐ。


「これが僕の選んだ道……

ならば、後悔はしない。」


リリィが隣で静かに微笑む。


ロイは背を向け、

新たな戦場を見据える。


「行くぞ。

まだまだ、自由は遠い。」


灰王の旗と、裏切り者の盾。

三人の旅路が、いま本当に始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ