『灰王討伐令 ―若き聖騎士の誓い―』 ◆
神なき王城――
そこに集うのは、人類すべての頂点。
円卓議会の中央で、
新議長イストラムが高く宣言した。
「神を殺し、世界を乱した大罪人
――灰王ロイ・アーデン。
この者の討伐を、ここに決議する!!」
拍手と怒号。
恐怖と憎悪が、白い壁を震わせた。
その中でただ一人、
少年は胸に手を当て、静かに目を閉じる。
アーク・ヴァルディス。
人が救われる世界を信じ、剣を握ってきた。
彼は進み出て、跪く。
「聖騎士団《光翼》所属、
アーク・ヴァルディス――
灰王討伐の使命、
確かに受け承りました!」
声に迷いはなかった。
それが自分の正義だと信じていたから。
◆
議場を出ると、
数多の兵士たちが敬礼し、熱い視線を向けた。
「アーク様なら必ず……!」
「世界を救ってください!」
アークは頷き、応える。
「もちろんです。
僕は――この世界を守るために剣を取った!」
すると、耳に届くささやき声。
「灰王を討てるなら誰でもいい……」
「英雄の力を奪って、王を作り直すんだ……」
アークの足が止まった。
(……王?
僕たちが望むのは、自由な世界のはずだ)
胸に生まれた違和感を振り払い、
アークは空を見上げた。
灰色の雲が、不気味に渦巻いている。
「灰王ロイ……
あなたが破壊した世界の秩序は、
僕が取り戻す。」
決意を噛み締めて歩き出す。
まだ知らない。
自分が信じる正義が、
どれほど残酷かを。
そして、
その道の果てで出会う男が――
“真の自由”を知る王であることを。
◆
「待っていてください。
必ず――あなたを討ちます、灰王。」
アークの誓いとともに、
第三部の戦旗が掲げられた。




