表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/203

瓦解の王都、始まりの呪い

神罰装備バルゼリオの崩壊から三日後。

王都グランベルトは静かに、だが確実に崩壊へ向かっていた。


まず起きたのは、「祝福装備の機能停止」。

聖騎士団は各地で“魔力暴走”を起こし、国境を守っていた精鋭部隊が消滅。

その空白を狙うように、周辺諸国や盗賊団が動き始めた。


──“祝福”は、もはや力ではない。


人々の間に広がるのは、「呪いを受けた者が神罰を破壊した」という“現実”への恐怖と疑念。


だが、王宮の玉座の間だけは例外だった。


王族と神殿、祝福を享受していた上級貴族たちは、

自分たちが“選ばれた者”であることを疑わず、こう叫んだ。


「呪われし者どもが“神罰”を破壊した? それは反逆だ! 即刻討伐せよ!」


だが、それに真っ向から異を唱える者がいた。


「……ならばその“神”は、ただの嘘だったということになる」


声の主は――《元・聖女ルミア》。


神罰装備から解放された彼女は、自ら“聖女”の名を返上し、

ロイの元に身を寄せていた。


「祝福とは、神が与えたものではない。人間が“神格を模倣”して作った幻想。

それが崩れただけのこと。

私はこの目で見た……ロイの“呪い”こそが、本物の力だと」


王都の中心で、かつての聖女が“神を否定”する。


それは、千年に渡る支配体系の終わりを告げる、確かな“裂け目”だった。


その夜、ロイはリリィと共に、王都地下へと足を運んでいた。


そこには、かつて“神の遺構”とされていた遺跡がある。

だが今は、異様な“呪いの気配”が充満していた。


「……わかるか? この感じ。俺たちの呪装とは違う。もっと……深い」


リリィはうなずいた。


「ここにあるのは、“最初の呪い”……つまり、《原呪オリジン・カース》だと思う」


遺跡の最奥。

そこに、漆黒の鎧を纏ったひとりの男が立っていた。


鎧に刻まれた紋章は、現在の王家のものに酷似している。


「……来たか。呪装適応者。いや、カースリンクの継承者よ」


ロイは警戒を崩さず名乗る。


「お前が、“最初の呪われし者”か?」


男は静かにうなずいた。


「名を、アーク・カースという。

かつてこの世界に“祝福”を与えた、初代神官王の兄。

そして、この世界の“嘘”を作った、罪人のひとりだ」


リリィが驚愕する。


「……じゃあ、あなたは“祝福”を知っていたのに、なぜ“呪い”を?」


アークはゆっくりと語り始めた。


「この世界は、もとはすべて“呪い”でできていた。

祝福は、その呪いを“固定し、制御する”ための後付けにすぎん。

だが人々は祝福だけを求め、呪いを忌み嫌った。

そして……俺は“世界のバランス”を壊してしまったのだ」


その瞳には、後悔と、静かな憎悪が宿っていた。


「ロイ。お前が“神罰”を破壊したことで、バランスはようやく揺らぎ始めた。

だが――それだけでは足りぬ。

この世界を真に解き放つには、最も深い場所……“大呪核グランド・カース”を砕かねばならん」


リリィが口を開く。


「それって……世界の“根本”にある呪いってこと?」


アークは頷いた。


「そして、その場所へ行けるのは――お前たち、呪装適応者のみ」


沈黙が流れる。


やがてロイは静かに答えた。


「いいぜ。そこにこの世界の答えがあるってんなら、砕いてやるよ、“祝福の起源”ってやつを」


その頃、王都外縁。


廃棄された教会跡地に、黒い法衣を纏った者たちが集っていた。


「神罰は敗れ、聖女は堕ちた。

ならば今こそ、“真なる神”の復活を」


《新教団:白き虚神教エイヴァ・ヴォイド

《目的:呪いと祝福の完全融合》

《起動準備:神格適合者の再臨》


その影の中に、かつてロイたちと戦った“聖騎士”のひとりがいた。


彼の目は、“呪い”に侵食されながらも、狂気と信仰に染まっていた――



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ