神を穿つ刃、呪いが導く答え
バルゼリオの主砲が収束する。
それは“世界律”に干渉する次元衝撃、《光律崩壊〈セラフィム・オーバー〉》。
「この一撃で、あなたごと呪いを消し去る……!」
ルミアの叫びとともに、純白の崩壊波がロイに襲いかかる。
だが――
その中心で、ロイは静かに構えを取っていた。
「……リリィ。届いてるぞ、お前の声」
彼の足元に、黒と赤の紋が浮かぶ。
《双適合因子:完全同期》
《禁呪コード:X-001〈咎呪再現〉展開》
《発動:最終呪装リンク〈カースリンク・オーバーフェイズ〉》
ロイの身体が変化する。
禍々しい呪装が黒翼のように広がり、
その瞳に映るのは、神をも貫く“呪いの刃”。
彼が放つは、**《神殺し(ゴッドキル)》**の最終形態。
「これが“呪いの力”。否定され、拒絶され、それでも……
俺はここに立ってる。祝福じゃない、信仰でもない。
“生きる意志”だけで――ここまで来た」
ロイが疾走する。
光律崩壊の衝撃波を、“呪い反転”で逆吸収しながら。
《特攻属性:神性+聖女核 付与》
《対象部位:神罰装備 核心神枢》
《命中推定:100%》
ルミアが叫ぶ。
「やめて……っ! 私は……“あなたを殺すため”にここに来たんじゃない!」
その言葉に、ロイの動きが一瞬止まる。
「……何?」
光が爆ぜる前に、ルミアが告げる。
「私は、最初から知っていた。“祝福”なんて幻想だって。
“神”なんていないって。
でも私は、《聖女》としてそれを信じるフリをしなきゃいけなかった」
バルゼリオのコアが軋む。
「あなたの“呪い”こそが、本来の世界の力。
だから私は――あなたに“神罰”を撃たせたの。
王国も、神も、祝福も……全部、あなたに壊してほしかった……!」
ロイの動きが止まる。
ルミアの光装甲がひび割れ、その下から見えたのは――まだ若い少女の、涙に濡れた顔だった。
「……そんな顔で、神なんて名乗ってたのかよ」
ロイは拳を握りしめる。
「なら、俺の呪いで、あんたの祈りを叶えてやる」
ロイが跳ぶ。
空に向かって、すべての呪いを纏い――
《神穿呪解・終ノ式──カースリンク:ゼロ》
《全呪式を自己崩壊変換・祝福律を内側から破壊》
《対象:神罰装備バルゼリオ》
《戦闘結果:神罰システム消失/聖女機能停止》
ドォォンッ!!
世界が、一度だけ“無音”になる。
直後、爆風が廃都の空を飲み込んだ。
時間が経ち、粉塵が晴れる。
中心に、ロイが立っていた。
その腕の中には、意識を失ったルミアの姿。
「……よくやった、お兄ちゃん……」
そこに、リリィの声が届く。
目を覚ました彼女が、黒い結界を展開しながら駆け寄ってくる。
ロイは静かに告げた。
「祝福の象徴は、終わった。
これからは、呪いを“生き抜く力”に変えていく――
そのために、俺は……《聖女》も、守る」
彼の背に、呪装の影が消えていく。
その夜、世界中の“祝福装備”が一時的に機能停止した。
それは、《神》の律が一度破られた証。
そして翌朝。
ロイは黒装束を脱ぎ捨て、目の前の少女――リリィに、静かに言った。
「もう逃げねぇ。俺が“世界”を壊すなら……
そのあと、ちゃんと“作り直す”とこまでやるよ」




