神罰降臨《バルゼリオ》と、夢の声
午前零時。
王都グランベルトから東へ三十キロ。
廃都レヴァスの上空に、漆黒の“神罰”が降臨した。
大気が震え、空が避け、雷光が逆流する。
その中心に立つのは──
神罰装備
──祝福装備の極致、神性融合体。
操るのは《聖女・ルミア》。だがその姿はもはや人の形ではなく、
禍々しい金翼と“光の偽面”に包まれた、完全なる神の兵器だった。
《宣告開始》
《対象:呪装適応者 ロイ=クロード》
《大罪認定──“選ばれざる者の力の獲得”》
《刑罰:完全消滅》
ロイは一歩、前に出る。
「俺が呪いを装備した時、お前らは“失敗作”と笑った。
だが……それでも俺は“生きてきた”。今度は、お前らが終わる番だ」
《呪装適応 発動──全ステータス反転:極限突破モード》
《デバフ値 -9999 カンスト超過確認》
《反転効果:“神性特攻”付与》
ルミアは静かに語る。
「愚かだわ。呪いは所詮、神が定めた“副産物”。
祝福こそが正義で、呪いは排除されるべき存在。
あなたのような異端者は、存在してはいけない」
ロイは冷笑した。
「その“神”って誰のことだ?
その声、本当に“神の声”なのか……お前はもう、わかってねぇんだろ?」
その頃、《黒の楔》の地下に眠るリリィの意識は――“夢”の中にいた。
だがそれは夢ではない。
むしろ、“誰かの記憶”そのものだった。
無数の“呪い”が世界に解き放たれ、
祝福の光がそれを抑え込もうとしていた過去。
だがある瞬間、リリィの前に“何か”が立つ。
巨大な瞳、金でもなく、黒でもない“第三の輝き”。
「ようやく、聞こえたか」
それは、言葉ではない“意志”だった。
「君たちは、“呪い”だと思っているだろう?
だがそれは違う。君たちの力は、“祝福以前の力”だ」
リリィは震える声で問う。
「……じゃあ、私たちは……“神の敵”なの?」
「神は創られた存在。君たちは、“神を作った側”の末裔だ」
《継承因子:カースリンク・源系統 起動準備中》
《第二適合者:意識同調進行度 84%》
「兄を……守って……」
意識が光に包まれる。
廃都レヴァス上空、決戦の火蓋が切られた。
バルゼリオの全身が光を放ち、《神罰断層〈セラフィック・クライム〉》が大地を裂く。
街ひとつを消し飛ばす、規格外の聖なる衝撃波。
だがロイはその中心で微動だにせず、呟いた。
「効かないよ、神の攻撃は。“呪いに慣れすぎた”俺にはな」
《反応スキル発動──呪装適応:黒環極式〈ネガ・シフト〉》
《対象:神性ダメージ属性反転 → 回復属性に変換》
ロイの身体が逆光に包まれ、逆に力を取り戻していく。
「神罰ってのは、もっと絶望的なもんかと思ってたよ」
ロイは一歩ずつ、バルゼリオへと歩み寄る。
「聖女って奴が“自分の命”を削って戦ってるのなら……悪いが、それを止めるのが俺の仕事だ」
《最終呪式:咎反刻〈イラ・レプリカ〉》
《神罰装備の“契約構造”へ直接干渉 開始》
ルミアの身体が痙攣する。
それはまるで、“祝福”そのものが崩壊し始めているような錯覚だった。
「やめて……そんな力は、存在してはいけないの……!」
「それは俺が決める。祝福を受けなかった人間にも、“生きる意味”があるってことを、今証明してやる!」
ロイが呪装を構え、次の一撃を放とうとしたとき――
空から黒い花が舞い降りた。
それは、リリィの《祈呪結界》の欠片。
《双適合因子:完全同期 起動》
《戦闘支援スキル《断罪の反律歌》 展開可能》
「お兄ちゃん、お願い……この世界を変えて」




