新たなる闇の影
ロイたちは再び移動を開始し、次の目的地へと向かっていた。封印された黒月の力が目を覚まし、それを封じ込めたことで一時の平穏を得たが、ロイは何かしらの違和感を感じていた。深い静寂の中に潜む、予測できない力が待ち構えているような気がしてならなかった。
「次はどこに行く?」カイルが尋ねる。
「まずは、あの古代の力がどこに流れているのかを調べなければならない。」ロイは地図を見つめ、しばらく考え込んだ。「それに、黒月の力が封じられたからと言って、完全に消えたわけじゃない。何かが動き出している気がする。」
リリィも不安げな表情を浮かべる。「ロイがそんな風に感じるなら、きっと何かが起きているんだね。」
その言葉にロイはしばらく黙って頷くと、ゆっくりと歩き出す。
「でも、あの影…黒月の力が直接具現化していたわけじゃないなら、まだ何かが動いているってことか。」エファトが続けて言う。
「その通りだ。」ロイは静かに答える。「あの影は黒月の一部に過ぎない。実体化する前に、何らかの兆しが現れるはずだ。」
ロイたちは次の目的地へと向かう道を選んだ。それは、黒月の力が源を持つ場所と、深く関わりがあるという古い伝承が残されている遺跡だった。数世代にわたる冒険者たちがその場所を訪れ、未知の力に触れて帰らなかったという伝説が語り継がれているのだ。
「伝承に過ぎないと信じていたが、今となっては信じるしかないな。」ロイは言った。
数日後、ロイたちはその遺跡に到達した。その場所は、ただの遺跡にしては異常なほどの威圧感を放っていた。空気が重く、周囲の木々もまるで息をひそめているかのようだった。
「ここが…」ロイは足を踏み入れた瞬間、妙な冷気を感じ取った。まるで何かがじっとこちらを見つめているような、無言の圧力を感じた。
「入りたくない場所だな。」カイルが言いながら、少し後ろに下がる。
「だが、行かなければならない。」ロイはその圧力に耐えながら言った。「この先に黒月の力の手がかりがあるはずだ。」
その言葉にエファトが頷く。「気をつけろ、ロイ。何かが待ち構えている。」
ロイはその警告を胸に、遺跡の中へと足を踏み入れる。その時、突如として目の前の空間が歪み、暗い影が現れた。
「来たか…」ロイは息を呑みながら、前方を見据えた。
目の前に現れたのは、人の形をした闇の存在だった。その姿は不明瞭で、まるでその形が変化し続けているかのように見えた。
「お前は一体…?」ロイは冷静に問いかける。
その闇の存在は、ゆっくりと動きながら言葉を発した。「我は…黒月を宿す者。」その声は、まるで何層もの音が重なり合ったかのように耳に響いた。「お前たちが封じ込めたもの、何も理解せずに。」
「封じ込めたもの?」ロイは驚き、少し身構えた。「お前が黒月の力を操っているのか?」
闇の存在は静かに笑うような音を立てた。「操る…そのようなものではない。お前たちが封じ込めたものは、ただ一つ。だが、その力を完全に消し去ることはできない。」
ロイはその言葉に冷や汗をかきながらも、動じずに尋ねた。「じゃあ、どうすればお前を倒せる?」
闇の存在は無言でロイを見つめ、次の瞬間、体の中から黒い力を放出した。空気が歪み、周囲の石壁が崩れ落ちていく。
「来るぞ!」エファトが一歩前に出る。
その瞬間、闇の存在がロイたちの方へと急速に迫ってきた。ロイは咄嗟に「呪装適応」を発動させ、強力な呪いの力をその存在にぶつけた。だが、その力は闇の存在にはほとんど効かず、むしろその力を吸収するかのように力を増していった。
「な、なんだ…?」ロイはその力に圧倒され、体が動かなくなった。
その時、エファトが動いた。「ロイ、下がれ!」エファトは瞬時に剣を抜き、闇の存在に向かって突撃した。
剣が闇の存在に触れる瞬間、まるでその存在が波紋を広げるかのように揺れた。エファトの剣はまるで効かないかのように、闇に吸い込まれていった。
「これほどとは…」エファトは息を呑み、すぐに距離を取った。
「ロイ、頼んだぞ!」エファトは再び剣を構え、闇の存在に挑みかかる。
ロイはその言葉に頷き、改めて集中する。完全に封じ込めることはできないかもしれないが、彼の力をしっかりと引き出せば、何かしらの手がかりが掴めるはずだ。
次回、ロイたちの運命はどうなるのか…その先に待つ新たな闇の正体とは──。




