黒月の復活
ロイは冷静を保とうとしながらも、胸の奥で湧き上がる興奮を抑えきれなかった。目の前に立ち塞がる者たちは、黒月の復活を目論む狂信者たちで、その強大な魔力がロイの全身を震わせていた。
「お前たちが、黒月を復活させようとしているのか?」ロイは、相手の中で最も威圧的な男に向けて言葉を投げかけた。
その男――黒月復活の主導者である「ダルク」は、冷徹な笑みを浮かべながら、ロイをじっと見据えていた。
「そうだ。黒月の力を再びこの世界に解き放つことこそが、我々の使命だ。君がどれほど力を得ようとも、その使命は止められない。」ダルクの声は、まるで予告された運命のように響いた。
ロイの胸中で不穏な感覚が広がる。だが、同時に自分の中に流れ込む呪いの力を感じ、意志を新たにした。
「なら、試してみるがいい。」ロイは、力強く言い放つと、刀を構えた。もう、引き下がるわけにはいかない。
その瞬間、エファトが静かに声をかけた。「お前一人ではない。私たちと共に戦おう。」
カイルがその言葉に続く。「そうだ。今こそ、みんなで力を合わせる時だ!」
リリィは弓を構えながらも、微笑んだ。「全力で行こう、ロイ。」
ロイは、仲間たちを見つめ、力強く頷いた。そして、その瞬間、全身に漆黒の波動が広がるのを感じる。呪装適応の力が今、完全に制御を失い暴走し、全身を包み込んだ。
「これが…俺の力だ。」ロイは冷静に呟き、周囲を見渡した。
その時、ダルクがゆっくりと手を挙げた。その動きに呼応するように、周囲の空間が歪み、魔力の波動が高まる。
「ならば、この力でお前たちを踏み潰すのみだ!」ダルクの手から放たれた魔法が、黒い閃光となってロイたちに襲いかかる。
「避けろ!」エファトが冷静に指示を出すと、全員が一斉にその攻撃を回避した。
「ふん、簡単にはいかないか。」ダルクは冷笑しながら、もう一度手を振り上げた。だが、その瞬間、ロイがその魔法を真正面から受け止め、力を引き寄せて反射させた。
「なに!?」ダルクが驚きの表情を浮かべる間に、ロイの力が暴走を起こし、周囲を一瞬で焼き尽くした。
「ロイ…!」カイルが目を見開き、リリィも弓を構え直す。
「やった…!」ロイはその手をぎゅっと握りしめ、次々と迫る魔物たちに向かって走り出した。
だが、ダルクは一歩も動じることなく、冷徹に立ち尽くしていた。その目には、ロイの力を理解した上での深い静寂が広がっていた。
「お前の力も、所詮は黒月の一部に過ぎない。」ダルクはゆっくりと前に進み出た。「黒月を復活させれば、すべての呪いは解放される。すべてが元通りになるのだ。」
ロイはその言葉を一瞥し、冷たく切り返した。「元通りにしていいことなんて、何一つない。」
その瞬間、ロイは再びその力を解き放ち、周囲に渦巻く黒月の力を解放する。その力は、まるで暴風のように吹き荒れ、ダルクの周りに浮かぶ魔物たちを次々と粉砕していった。
「すごい…!」リリィがその光景に息を呑む。
「でも、このままだと…!」カイルが焦った様子で言った。「黒月の力が完全に暴走してしまう!」
「大丈夫だ。」エファトが冷静に言う。「ロイには、もうその力を制御する力がある。」
その言葉を聞いたロイは、再び自分の中の黒月の力を抑え込んだ。暴走を鎮めるために、冷静にその力を引き寄せ、制御する。
「今だ!」ロイは再び前へと踏み出し、ダルクに向かって走り出した。
ダルクはその姿を見送りながら、少しだけ目を細めた。「面白い。だが、それが限界だ。」
ダルクは一気に力を高め、全身を黒いオーラで包み込む。その力は、まさに黒月の力を解き放つ一歩手前のようだった。
「黒月の力は、ただの呪いではない。」ダルクはその言葉を吐き捨て、ロイに向かって手を伸ばした。
その瞬間、ロイの目の前に、無数の黒い影が現れる。それは、黒月の力そのものが具現化したもので、全身を包み込もうとする。
「くっ…!」ロイは必死にその力を振り払うが、どうしてもその圧倒的な存在感を前にして、動けなくなってしまう。
だが、その時、エファトが剣を振りかざし、ロイの前に立ちふさがった。
「ロイ、まだだ。お前の力は、そんなものに屈するものじゃない。」
エファトの言葉を聞いたロイは、その手に力を込めた。再び黒月の力を引き寄せ、今度はその力を完全に解放する。
「行け!」ロイの声が響き渡ると、その瞬間、黒月の力が爆発的に拡大し、ダルクの周囲にあった黒い影が一気に消し飛んだ。
「これが…俺の力だ!」ロイはその言葉を、全身全霊で放ち、黒月の力を完全に解き放った。




