封印の力
黒月の本体が全力で放った反撃の衝撃は、周囲の空気を震わせ、まるで世界そのものが揺れるような感覚に陥った。ロイはその力に引き寄せられ、足元がふらつく。だが、彼はすぐに立て直し、呪装適応を全開にして前に進む。
「くっ…!これじゃ、まるで敵わない!」
ロイの心の中で、不安と焦燥が入り混じる。黒月の本体は、その触手をどこからともなく次々と伸ばし、空間を歪めながら攻撃を繰り返してくる。触手の先端には鋭い刃が生えており、ロイたちを切り裂く勢いで迫ってきた。
「ロイ!」
カイルの声が響く。カイルはその身をひるがえし、ロイに向かって声をかける。
「冷静になれ、ロイ!俺たちがいる!」
その言葉を聞いたロイは、意識を集中させた。確かに、今、彼の周りには仲間がいる。カイル、リリィ、エファト。皆がそれぞれの力を振り絞り、戦っている。
「うん、わかってる!」
ロイは強く頷き、再び黒月の本体に向かって突撃した。しかし、黒月はその攻撃の手を緩めることなく、触手でロイを狙う。ロイの体に呪装適応の力が流れ込み、その力を最大限に引き出す。呪いの力で、ロイは触手の動きを引き寄せ、切り裂くことに成功する。
「よし!」
だが、その瞬間、黒月の本体が再び反応を示し、周囲に強烈な波動を放った。それは、まるで時間と空間を歪めるような力で、ロイはその波動に一瞬目を閉じた。
「これは…!」
その瞬間、エファトが叫んだ。
「気をつけろ、こいつはただの力ではない!封印されていた力が目覚めようとしている!」
エファトがその剣を強く構え、周囲に強烈な気を発し始めた。その力は、まるで時間が停止したかのような不思議な感覚を呼び起こす。
「エファト、どうすれば?」
ロイが問いかけると、エファトは冷静に答える。
「こいつは封印されていた力。あの触手の本体が解放された瞬間、黒月の本体は全ての力を解放するつもりだ。だが、それを封じる方法がある。」
「封じる方法…?」
「その通りだ。お前が『呪装適応』の力を使って、黒月の本体に残っている呪いの力を引き寄せろ。その力を吸収して封じ込めるんだ。」
ロイはその言葉を聞き、すぐに理解した。呪装適応の力を使って、黒月の本体の力を吸い込んで封じ込める。だが、そのためには、大きなリスクを背負うことになる。
「もし失敗すれば、俺たちは…」
「わかっている。」エファトの声は静かだが、決して揺らぐことはなかった。「だが、他に方法はない。このまま放っておけば、黒月は完全に復活する。」
ロイは自分の中で決意を固めた。この戦いの終わりを迎えるために、自分が何をすべきかは、もう決まっていた。
「わかった…!」
ロイは全力で呪装適応の力を高め、黒月の本体に向かってその力を放出した。瞬間、呪いの力が渦巻き、黒月の本体の中に入り込んでいく。その力が全身に流れ込み、ロイはその重さに押しつぶされそうになる。
「くっ、こんなに…!」
だが、ロイはその力をしっかりと掴み、引き寄せる。その瞬間、黒月の本体が激しく反応し、触手が暴れだす。その動きに合わせて、ロイは必死に力を引き寄せ続けた。
「今だ!」
エファトの声が響き、エファトはその瞬間、剣を黒月の本体に突き立てた。その一撃に、黒月の本体が大きく反応し、まるで封印された力が解放されるような轟音を立てた。
「これで終わりだ!」
ロイはその力を吸い込み、ついに黒月の本体の封印が完了した。その瞬間、黒月の本体はその姿を完全に消し去り、空間に静寂が広がった。
「やった…!」
ロイは息を切らしながら、倒れ込む。だが、その顔には安堵の表情が広がっていた。仲間たちも無事にその戦いを乗り越え、互いに顔を見合わせて安堵の表情を浮かべた。
「お前、すごいな、ロイ。」カイルが笑顔で言うと、リリィもにっこりと微笑んだ。
「本当に、ロイがいなかったらどうなっていたか…」
だが、その瞬間、ロイはふと不安を感じた。黒月が倒されたことで、何かが解放されたような気がしたのだ。
「…これは本当に終わったのか?」
エファトが少し黙った後、低い声で言った。
「いや、まだ何かが残っている。あの力を封印しただけでは、完全に終わったわけではない。」




