黒月の本体
目の前に現れた巨大な影は、まさに黒月そのものだった。高くそびえる姿には、無数の触手が絡みつき、まるで地獄から這い出てきたような異形の存在が、ロイたちに向かって不気味に低く唸っている。
「こいつが黒月か…」
ロイはその場に立ち尽くし、黒月の本体の圧倒的な存在感に圧倒される。しかし、すぐに深呼吸をして、自分を落ち着かせた。彼は呪装適応の力を全開にし、黒月に立ち向かう覚悟を決めた。
「エファト、これはお前の戦いだ。お前の力で終わらせろ!」
ロイが言うと、エファトは少し間を置いて答える。
「いや、お前たちの力を貸してほしい。これを一人で倒すのは無理だ。」
その言葉に、ロイは迷わず頷いた。仲間の力を合わせれば、どんな強敵にも立ち向かえる。今は、その気持ちが何よりも強く感じられる瞬間だった。
「みんな、準備はいいか?」
ロイが声をかけると、カイルとリリィはそれぞれの武器を構え、戦闘の体勢に入った。
「もちろん!行こう、ロイ!」
「私も、負けません!」
一方、黒月の本体はその巨大な目をロイたちに向け、その瞳からは冷徹で無慈悲な光が放たれていた。その目に射抜かれるような感覚が、ロイたちの心を強く揺さぶる。
「さあ、始めようか。」
エファトが剣を抜き、その刀身を空に向けて掲げた。彼の剣には、どこか不穏な黒い光が宿っている。それを見たロイは、その剣の力を再び理解した。
「エファト、その力を借りるぞ!」
ロイが言うと、エファトは無言でうなずき、力を込めて剣を振るう。その瞬間、空中に強烈な衝撃波が広がり、黒月の本体に向かって放たれた。
黒月の本体は、驚くべきスピードでその衝撃を避け、触手をロイたちに向けて振り下ろした。巨大な触手が空を切り裂き、地面を揺るがす。だが、ロイは呪装適応で触手を引き寄せ、その力で切り裂く。
「これで終わらせるんだ!」
ロイが叫び、力を込めて振るうと、呪装適応の力が触手を引き寄せ、次々と叩き斬っていく。その周囲で、カイルが剣を振るい、リリィが魔法で援護を行う。
エファトもその隙に動き、黒月の本体に迫った。彼の剣、不老剣が空気を切り裂き、黒月の本体に傷をつけていく。だが、その傷はすぐに回復し、黒月の本体はまるで無限の力を持っているかのように見えた。
「くっ…!」
エファトがその力に圧倒されそうになるが、すぐに立ち直り、再び剣を振るった。
「俺たちの力を合わせて、必ず倒す!これで決めるぞ!」
ロイが叫び、再度呪装適応の力を全開にして黒月の本体に向かって突進する。彼の体は呪いの力に包まれ、周囲の空気が震える。
エファトもその隙に、剣を振るい、黒月の本体を攻撃する。しかし、その力の反動で一歩後退せざるを得なかった。
「お前たち、後ろだ!」
カイルの叫び声が響くと、ロイたちは一斉に振り返った。そこには、新たな触手の群れが迫ってきていた。
「くそっ、間に合わない!」
その時、ロイの目の前に、エファトが飛び込んできた。
「エファト!?」
「大丈夫だ。お前たちは俺に任せろ!」
エファトはそう言うと、不老剣を強く掲げ、その力を解放した。巨大なエネルギーが剣から放たれ、黒月の触手を次々に切り裂いていく。
その瞬間、黒月の本体が激しく反応し、空気中に異常な波動が広がる。その波動により、周囲の景色が歪み、時間さえも一瞬止まったような感覚がロイたちを襲った。
「これは…!」
ロイが感じたのは、黒月の本体がその力を最大限に引き出し、何かを解放しようとしていることだった。エファトはその力に対抗するため、さらに力を込めて剣を振るった。
「終わらせる!俺が…!」
だが、その時、黒月の本体がついに全力で反撃に転じる。




