第10章:影の作戦室、動く
第10章:影の作戦室、動く
盗賊ギルド:裏契約
野々山は再び、王都エンクラ・シェイドの盗賊ギルドを訪れる。
「2人ほしい。
ひとりは、思考の整理と布陣の天才=絵師。
もうひとりは、足跡すら辿る猟犬=チェイサー。
今の敵は“人ではないかもしれない”。俺のやり方じゃ、届かない」
受付嬢が頷く。
「ふたり、紹介するわ。“戦争を描いた者”と“人を追いすぎて化け物になった奴”よ」
加入者①:セニア=スケイル(戦略絵師)
・性別:女性
・外見:目が真っ白、感情を出さず、常に筆と小型スクロールを持ち歩く
・特徴:状況整理能力、視覚的な戦略構成、思考誘導のプロ
・スキル:「記憶再構築図」「多視点配置」など、頭脳型補佐
「私は、描く。思考、動線、嘘、記録――その全てを構図に変える。あなたの頭を、地図にしてあげる」
加入者②:ヴァロ=ドレイブ(追跡チェイサー)
・性別:不明(男の声だが化粧濃く、女の仕草もする)
・外見:白黒ミックスの短髪、片目が常に閉じられている
・特徴:足跡ゼロでも、気配、残留思念、心理構造から“獲物”を追い詰める
・スキル:「念嗅」「歩行回想」「逆痕把握」
「いい匂いだ、“ルディ=グランス”。化けてても、あいつには“生前の記憶”がある」
追跡任務スタート:「ルディ=グランス」の記録を潰す者
セニアの絵図には、驚くべき情報が描き出される。
「“ルディ”という名前の人物記録は、10年前から存在する。
だが、それ以前のすべての出生記録・通行記録・医療記録が消えている。
まるで、ある日突然“挿入された存在”のように浮上してる」
「魔法による偽装か?」
「いや……魔術印すらない。存在自体が最初からそこにあった“ように扱われている”」
ヴァロがポケットから黒い紙を出す。
「ここに“足音”があった。だがこれは、人間の骨格じゃない。歩幅が均一すぎる。関節も……逆だ」
決定打:「偽装された記憶の構造」
セニアが描き出した「精神記録配置図」により、“ルディ”が接した人間たちの記憶が同じテンプレート構造になっていると判明。
「つまり、“誰かに見られていたルディ”は、皆同じ“像”を見ていたことになる。
記憶に挿入された存在――それが、あいつの正体」
由美子が震えながら言う。
「そんな存在、どんな魔術でも説明つかないわ……」
英傑は静かに答える。
「……これは、魔術じゃない。“仕組み”そのものだ。
あいつ、“国家の情報そのものに擬態してる”」
次のミッション予告:記憶操作存在=コード名【レヴェレント】
野々山が最後に言う。
「名前を付けよう。
正体不明、“記憶を作られた存在”――コード名:レヴェレント」
「俺たちは今、“この国の裏書きされた真実”と戦ってる」