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野々山英傑 出世物語  作者: 斉藤
英傑 出世編
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第4章:リーダーの値段

第4章:リーダーの値段

ワームの証明切断


討伐証明として、ワームの外皮を指定部位で切り取る必要があった。


「こことここを繋ぐ線の中心……だな。由美子、頼める?」


「任せて。衛生も考えて切るわよ」


由美子のナイフがすっと皮を裂いた。すると――


コロッ……


「……え?」


中から、うす紫の輝きがこぼれ落ちた。


拳大の、透明度の高い宝石だった。


「なんだこれ……宝石……?」


「魔核……じゃない。ただの石じゃないぞ。貴族向けの、“喰宝石しょくほうせき”だ」


レサが目を見開いた。

ギルドでの鑑定


ギルドの鑑定士が汗をかきながら言った。


「……市場価格、最低でも金貨500。場合によっては、もっと高値がつく」


「えぐ……」


英傑は思わず呟いた。Cランクが普通に1ヶ月働いても届かない金額。それが、いま目の前にある。


ギルドの冒険者たちがざわめき始める。


「おい、こいつら一体何者だよ……」


「見たかあの連携。リーダーの指示で全部動いてたぞ……」

英傑、決断する


「ねえ、使っちゃうの? 貯めといた方がいいかもよ?」


由美子が耳打ちしてきた。


「……いや、使う。いま、俺たちの“名前”を売るチャンスだ」


英傑はカウンターを叩いた。


「今日この場にいた冒険者、全員に一杯おごらせてくれ!」


ギルド全体が一瞬静まり――


「ウオオオオオーーー!!!!!」


大歓声が上がった。


酒が飛び交い、テーブルが揺れ、他のパーティーからの「一緒にやろうぜ!」の声も飛び交う。


英傑たちは、完全に“注目のパーティー”となった。

数日後──上位依頼板


ギルドの推薦枠に、新たな名前が刻まれる。


【Bランク特例推薦】

パーティー名:野々山隊(仮)

リーダー:野々山英傑

特記:戦術指揮に優れ、前衛・後衛・特殊班の連携力抜群。

評価:浮遊喰いワーム討伐(高難度)+喰宝石発見報告による信頼度上昇


パーティーの面々


「名前売れたな、リーダー」


「ケガガン、お前笑ってるじゃん」


「……いや、まあ、悪くない」


「みんな、誇っていいわよ。あんたら、もう“ただのCランク”じゃない」


由美子の声に、全員が無言でうなずく。


英傑は椅子にもたれ、ひと息ついた。


「……さて。金もある。名も売れた。次は――もっとデカい依頼だな」


少年の目が、次の戦場を見据えていた。

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