第3章:評価は、戦場で上がる
第3章:評価は、戦場で上がる
ギルドの雑務板で目を引いた依頼
【急募】
森の交易路にて「浮遊喰いワーム」確認
小規模隊の討伐求む(報酬高)
※巨大化・潜行あり。単独不可。推薦条件:B級以上
「推薦ランクB以上?……俺たち、まだCだよな」
「でも、条件に“読み書きができるリーダー”って書いてあるぞ」
由美子がニヤリと笑った。
戦場:交易路脇の森
地面が波打つ。
ズズ……ズズズズ……!
「きたッ!」
森の土が盛り上がり、地割れとともに巨大な口が開いた。牙のないヌメッとした口内、赤い舌がべろりと揺れている。
「浮遊喰いワーム!こいつ、地面の音に反応するぞ!」
野々山が叫ぶ。
「レサ、音を立ててこっちを引きつけろ!ジューダは風→火に切り替え!風で位置特定、火で焼く!ケガガン、俺の指示まで待て!」
「了解!」
「ジューダ、いくぞ。風ッ!」
「カチッ……風装填」
バシュッ!
銃口から放たれた風の弾丸が、森に空気の波紋を描く。その反射で、ワームの位置が浮かび上がった。
「そこだ!火ッ!」
「カチッ……火装填」
ゴォッ!
地中から飛び出したワームの胴体に、火の弾が直撃。体液が飛び散る。が、それだけでは止まらない。
「オグデ!左から回って、目を潰せ!」
「……わかった」
影のように滑り込むオグデヘリ。ナイフでワームの感覚器官を一刺し。
「今だ、ケガガン!首元!」
「オオオオッ!!」
剣が唸り、ワームの首に叩き込まれた。
ブシャアアア!!
地面を引き裂きながら、ワームが倒れる。
「とどめッ、由美子、毒矢!」
「いくわよ!」
シュッ!
矢が喉元に突き刺さり、ワームの動きがピタリと止まる。
……
……
静寂。
「討伐、完了」
ギルド帰還
依頼主と立ち合いギルド員が、口をぽかんと開けていた。
「……お、お前ら、本当にCランクか?」
「まあ、書類上はね」
由美子がさらっと答える。
「こいつら、頭は野蛮でも、連携はプロだぞ。あんな指示出せるの、ギルドの上層にもそうはいない」
ギルドマスター代理が腕を組みながら言う。
「野々山英傑。お前、今後うちで推薦依頼受けていけ。仮ランクB相当の扱いを認める」
ギルドでの評価が、明らかに変わった瞬間だった。
「……にしても、みんな強ぇな……」
英傑は笑った。
「でも、お前の指示なきゃ、誰もまとまってねぇよ」
ケガガンがボソリと呟いた。