第11章:スキル召喚《構造創出》
第11章:スキル召喚《構造創出》
王都・野々山隊の作戦室。
セニアの広げた連結図の上に、野々山が魔力式スクロールを置いた。
「使うぞ、俺の唯一のスキル。“専門家召喚《Constructum Pro》”」
由美子が息をのむ。
「それって……チュートリアルで言ってた、“構造を動かす知識”を引っ張るやつ……!」
「俺の武器は剣でも魔法でもない。“人”だ」
英傑はスクロールを起動した。
空間がねじれ、光が差し、6つの影が具現化される。
召喚された専門家たち:
経済のプロ:片桐 壮馬(日本・元財務局官僚)
鋭利な目、言葉少な。財政・金融構造に精通。異世界の税制度を即座に解析。
情報操作のプロ:伊佐木 葉(元ジャーナリスト)
話術と印象操作の天才。フェイクニュース、群衆誘導のプロ。
外交のプロ:ダルヴィン=カルス(地球外地域出身)
多文化交渉のレジェンド。非言語・魔法言語を含む交渉術の使い手。
文化・教育・人的交流のプロ:八雲 美空(国際教育学者)
教育制度と人的ネットワーク構築の天才。NGO式の小規模システム設計が得意。
スパイ部隊(コードネーム:灰雨)
盗賊ギルド最深部から派遣された隠密組織。人数不明。連絡はノイズ符のみ。
人権・NGO・投資のプロ:ユーセフ=カラマン(第三国出身)
“倫理を盾にした経済侵攻”の専門家。貧民保護と同時に国境政策へ切り込む。
経済的懐柔のプロ:古牧 紗南(企業買収戦略家)
言葉ひとつで人を動かす。貴族・商人層の“痛点”を突く天才。
セニアの結論:「レヴェレントの原点」
その直後。セニアが記憶連結図の最終版を描き終える。
「……出た。“全員の記憶が一致する最古地点”」
由美子が地図を覗き込む。
「北西の国境地帯、旧エルゼン神殿跡。
公式には100年前に消滅した宗教施設……でも、ここで“最初の目撃記憶”が発生してる」
ヴァロ=ドレイブが低く言う。
「本物のルディ=グランスも、そこに送られていた記録がある。
つまり――レヴェレントは、あそこで生まれた」
英傑の指示:「次の戦場は、構造そのもの」
「よし、チーム分割だ」
経済・情報・人権組は王都残留 → 貴族層と官僚を懐柔し、“法と金”でレヴェレントの動きを制限
セニア・ヴァロ・灰雨は先遣部隊 → 旧神殿を調査し、“出現の原因”と構造を調べる
英傑・由美子・ケガガンら戦闘班はバックアップとして控え、“出現の第二波”に備える
「これはもう、“敵個体”じゃない。
俺たちはいま、“記憶を食って国を乗っ取る構造”と戦ってるんだ」
次回予告:《旧神殿突入:記憶の座標》
セニアたちが神殿で発見する「記録にない祭壇」
レヴェレントの“記憶の核”に触れる者が発狂していく
英傑が“虚構の歴史”を暴く構造戦に突入