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15話.新良誠の気持ち

こんにちは、ノウミです。


たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。

これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。


皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、

一層精進してまいります。


どうぞ、これからもご期待ください。

そうしてまたいつもの朝に戻った。

いつもと違うところは、この部屋に晴香がカメラを仕掛けていると気付いてしまった事だ。変に意識する事も問いただす事もできない、今はまだ何も知らないままの俺でいるからだ。「きっついな……」


おおよそのカメラの位置は分かっている、分かっているからこそ余計に辛い。それとなく外せればいいのだが、どのような形で設置されてるかは分からない。下手に刺激してしまえば、晴香に何をされるか。「今日は休もうか…」そんな言葉が自然と漏れる。どんな顔して会えばいい、どんな気持ちを抱えていたらいい、どんな話をすればいい。そんな、行き場のない感情だけが重くのしかかりこのベットから体を動かせなくなっていた。


布団の中に戻ろうとした時、ベットの上に置いていたスマホが俺の心臓に共鳴するように振動していた。怖くて画面を見れなくなり放置していると静かに振動は収まっていく。だが、こちらの意に反するかのようにまたスマホは振動し始める、諦めてスマホの画面を覗くと…そこには知らない番号が表示されていた。余計に怖くなったスマホを放置し三回目の振動に、諦めるかのように通話ボタンの上に指を置く。「もしもし?」


「ごきげんよう、新良さん」


その声は全身の血の気を引かせていく、その一言だけでこの電話の向こう側が愛染だと分かってしった、奇しくも少しだけ安堵する自分がいた事に驚く。最後のあの瞬間、だから言ったでしょ?と呟くような言葉をしていた理由を知りたいと思ってしまったからだろう、今までと違ったその言葉の意味を知りたいと。


「どうして俺の番号を?」

「琴浪さんに聞きましたのよ。カメラの事を黙っていると、その引き換えにね」

「前から知ったのか?」

「えぇ、初めて家に上がった日にね」


そんな前、いや…むしろずっと前からカメラを仕掛けられていたのだろうか。いや、カメラだけとは限らないが。「それで、朝早くから何の用で?」


「あら、愛する人の事を心配するのは当然の事ではなくて?」

「心配……だと?」

「えぇ、昔からの幼馴染の知らなかった一面、それも受け入れ難い事でしたでしょう。その真実に辛い思いを抱えて一人俯いているのではと」

「お前がそれを言うか?」

「あら、私は純粋に愛しているのですよ。その愛を…存在を独り占めしたいと考えるのは当然の事ではなくて?」

「反吐が出るよ、もう俺に関わらないでくれ……」

「あら、関わらなくても晴香さんとの関係や、これからの事が変わるわけではないのよ?」


愛染の言う通りだった。正直、あの場で時間を戻してもらったのは感謝すら覚える。この時間に戻れば、真実を知っているのは俺だけになる、このまま気づかないふりを続けていれば今までと同じ関係にいられる事が出来るだろう。だが、それは本当に俺の望む事なのだろうか、真実を知った上で今までと同じように接する事が出来るかと言われれば怪しい、正直今この時間ですらカメラのあるであろう場所が気になって仕方ない、あの奥から晴香が覗いているかと思えば余計に。


「もう切るぞ」

「ちゃんと言ってくれるのね?優しい」


俺はたまらず通話を切断する、スマホを片手に部屋の中には薄気味悪いぐらいの静かさが漂っている。今までと同じようにならなければ何をされるか分からない、だがら今までと同じ関係を演じる必要がある、それに加えて告白されないような立ち回りも。カメラに関しては自然に取り外せないかと考えたが、今はまだ難しい。俺は諦めて学校に行く支度を始めて部屋から出ていく、あの電話があってから気持ちが少しだけ軽くなった。口が裂けても言えないが。


そうしていつも通りに家から出ると、晴香も同じタイミングで家から出てきていた。このタイミングですらカメラで見られて伺っていたのかと思えば気持ち悪く思えてくる、挨拶を交わし学校へと向かう。「ねぇねぇ、誠…一つ聞いてもいい?」


「なに?」

「電話、なんで折り返しくれなかったの?」

「えっ、電話?」


焦りながらもすぐにポケットからスマホを取り出し、着信履歴を確認する。一番上には愛染だと思われる電話番号から二回の着信があったと表示されていた、その下には不在着信として晴香の名前が記されていた。どうやら、朝の一回目の着信は晴香だったらしい。


「ご、ごめん。気づかなかったよ」

「ふーんっ、そうなんだ…気づかなかったんだ」

「なんか用だった?」

「いや、特に大した用事じゃないから大丈夫だよ」

「ごめんって、本当に大丈夫?」

「なんでもないよ〜っだ!」


目を閉じて舌を出しながらその顔をこちらに向けてくる、昔なら可愛く思えただろうが今はそんな気にならない。この顔の奥に隠したものに怯えるしかない。今はただ、カメラをどうしようかと考える事しか出来ないでいた。


そうして何度も繰り返された一日を無事に終え、晴香と一緒に帰る事なく一人で帰路に着く。話しかけれないようにと足早に教室を出ていき、電車に駆け込む。


部屋に入ってすぐに家の大掃除を始める、わざとらしく部屋の掃除と模様替えをする事でカメラの場所を特定し、なんとか撤去しようと考えたのだ。家に着いてすぐに行動に移す、本棚や机、ベッド周りを掃除しながらカメラの位置を特定させる。予想通りにそれは本棚の中にあった、一つだけ重量のある見覚えのない本が一冊だけ置かれていた。本棚はあるものの、普段は読むことはもちろん見る事もないので、俺の性格を考えて上でここに設置したのだろう。


変わらずにカメラに気付かないふりを続けて、掃除を終わらせる。次に、模様替えをするつもりで本風のカメラを隠すようにして移していく。終わった頃には夜になっていたが、これで部屋の中を覗かれる心配は無くなった。


「終わった…とりあえずは……」上手く誘導できたと思う、はやる気持ちを抑えながら作業をしたので、普通以上に疲れていたのかベットに横たわってすぐに、瞼が重くのしかかっていた。それに抗うこともできずに、静かに眠りの中へと意識を落としていく。


久しぶりにちゃんと寝た気がする。ここ最近、気がつけば時間を戻されて同じ朝を迎えていた。ちゃんとした睡眠がここまで心地いいものだとは感じたことは無かっただろう、それでも問題が何一つ解決された訳ではないが、ただ今この時間だは自由だと感じる。


次に目が覚めた時には日付が変わってすぐの深夜だった、そのまま眠ってしまったので制服のままだった。こんな時間まで親に起こされることは無いのかと、寂しくも感じてしまった。体を起こし、気分転換も兼ねて風呂に入る事にする。


一階に降りながらふと考える、「これで、日にちが変わった……」ずっと同じ朝を迎えていた俺にとって、次の日を迎える事は感慨深いものだった。これが続けばいいが、問題は山積みになっている。愛染と晴香の事で頭が埋め尽くされていく、相談者がいない事がここまで苦しいとは思わなかった、誰にも言えないし誰にも相談出来ない。


また眠たくなりそうな瞳を擦りながら風呂場につく、家の中はまるで一人しかいないような静かさに包まれていた、そこには水の音だけが響き渡る。このシャワーと一緒に、嫌な感情と記憶の全てを流していけたらどれだけ楽だろうか。それが出来ないから、今こうして悩んで苦しんで、もがいている。


長い事シャワーを浴びた後、風呂場から出るとスマホが振動しているのに気がつく。この深夜に電話をかけてくる人物など見当もつかないが、あのスマホだけは見たくないと感じてしまう。


恐る恐る近づくその画面には思った通り、今は見たくない画面が表示されていた。


晴香 と……。

ご完読、誠にありがとうございます。


今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。


これからも応援よろしくお願いいたします。

また次話でお会いしましょう(*´∇`*)

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