14話.晴香の真実
こんにちは、ノウミです。
たくさんの小説や素晴らしい作品がある中で、私の作品を手に取っていただきありがとうございます。
これまでに多くの作品を発表してきましたが、皆様に楽しんでいただけるよう、これからも様々な物語をお届けしていきます。
皆様に「読んでよかった」と感じていただけるよう、
一層精進してまいります。
どうぞ、これからもご期待ください。
晴香からの電話を取って外に出ると、既に家の前で待っていた。
「よう、急にどうした?」
「ごめんね急に呼び出したりなんかして」
「いいよ、大丈夫。それで何かあった?」
今までとは違い、少し重たい雰囲気が流れていた。
「今日なんかあった?大丈夫?」
口から出そうとした言葉に少し考え込む。本当のことを話せば俺は楽になるだろうが、この真実を口にした瞬間から晴香の身にどんな事が起きるのか考えたくもない。
それでも、正直限界だった。やること成すこと全てが裏目に出て何も思い通りにならなかった。なぜか、毎度のことながら晴香は愛染に呼ばれてついて行っていたのも確かだ。そこを阻止することが出来るようになれば、現状は変えれるかもしれない。
二人で協力できれば、もしかすると……。
「あ、あのさ……実は」
その瞬間、異様な視線を感じて晴香の奥を見てみると電柱の奥から女性がこちらを覗いているのが見えた、その視線の主は愛染だとすぐに分かり、その視線はこちらを一点に見つめていた。
俺のことをあざ笑うかのような笑みを浮かべている。
「誠?どうしたの」
「あっ……」
晴香が振り返ると、見られたくはなかったのか電柱の影に隠れて姿を消した。
「なに、本当に大丈夫?」
「あ、あぁ……ごめん。実はさ…」
そうして話を続けようとするとまた愛染が姿を現していた、このままでは話が続けれないと感じ言葉に詰まる。
「いや…何でもない……大丈夫だから…」
「愛染さんと何かあった?」
「なっ……」
「やっぱり、何かあったんだ…」
「何でもない……本当になんでもないから…」
「私の知らないところで何があったの?」
「本当に何でもないから、大丈夫だから」
これ以上はまた時間を振り出しに戻される気がする、さっきからこちらを見つめるあの女が気になる。
そのせいか晴香の雰囲気が次第に変わり、今まで見たことのないような表情をこちらに向けていた、それはまるで俺の嘘を見透かしているような、全てを理解した上で話しているような、そんな気にさせてくる。
「いや、本当に何もないから……体調が悪かっただけだから…」
そうやって俺は家に戻ろうとする。が、晴香に腕を掴まれて呼び止められた。
「話しは終わってないよ…ねぇ、今日の帰り愛染さんと何話してたの?」
「……何でもねぇよ」
「何も、教えてくれないんだね……」
「だから何でもねぇって!!」
俺は掴まれたままの腕を力づくで振り解いた、晴香も驚いたのだろうかそのまま固まってしまった。呆然と立ち尽くしたまま何も言えずに時間だけが流れていく、今までこんな言い合いをした事は無かった。
原因は分かっている、分かっているからこそ何もできない自分に憤りを感じていた。そのせいで強く当たってしまい、晴香の見たくなかった表情を見てしまうことになったのだ。
「ご、ごめん……なさい…」
「俺こそごめん、でも本当に何でもないから…」
「……やっぱりおかしいよ…誠」
「何が?」
「昔はこうじゃなかったじゃん」
それに対しては何も言えなかった、何か変わったつもりは無かったが確かに壊されたものはあった。そのせいで俺の取り巻く環境は大きく変わってしまった、周りに影響を出さないように気を付けていたが、限界を迎えていたらしい。
その影響は、晴香が感じるほどに膨らんだのだろう。
「やっぱり、あの女がいけないんだ……」
「えっ、なんて?」
思わず聞き返してしまった、あの女と聞き慣れない言葉が飛び込んできたが恐らくは愛染の事だろう。
俺と愛染の間に何かあったと考えているらしい。
「あの女に言われてたじゃん、私の気持ちが伝わったかどうのかって!」
「なっ、聞いてたのか!?」
「やっ、ちが……違うくて…これは」
晴香がバツの悪そうに口元を抑える、先ほどと違って焦った表情で取り繕うよつに話し始めていた。
「たまたま聞いた話だから、それだけだから……」
「誰から?」
「と、隣のクラスの山田さんに」
「誰だよ」
「と、とにかく。聞いたのは聞いたの!どうなの、関係あるの?ないの?」
「な、何にもないから……本当に…」
そこでまた腕を掴んできた晴香と揉み合いになる、俺への気持ちを知ってしまった以上、この行動も理解できなくはないが流石にしつこい気が……。
「もういいだろ、ほっといてくれよ!」
「ほっとけないよ!だって、私は…」
その先は不味いと思い、また腕を振り払う。その拍子に晴香が着ていた上着のポケットからスマホが勢いよく飛び出して、転がってしまった。
俺は慌ててスマホを拾いにいく。
「ごめんごめん……つい…」
「あっ!!ちょっと待っ…」
スマホを拾い上げようとした俺を静止させるかのように呼び止められたが、上向きになった画面が目には今瞬間、その言葉の意味を瞬時に理解した。
「えっ、これって……」
「やっ、違うくてそれは…っ!」
画面に映っていたのは、紛れもなく俺の部屋だった。しかも、録画や写真などではくリアルタイムの映像が映し出されているように見える。
先程まで部屋にいた光景がそのままになっているからだ、俺は理解できずに晴香に問いかけるしかなかった。
「なに……これ…」
「や、違うくて…それは…なにか分かんなくて……急に送られてきたURLを開いたら、そうなったといいますか……、今日はそれについて聞こうと思ったの!」
「誰から送られてきたんだよ?」
「と、隣のクラスの山田さん?」
「なんで疑問系、しかもその人さっきも出たよね?知らないって…誰だよ……」
さっきまでとは打って変わって、目を泳がせながら慌てた表情を浮かべている。目線を合わせることなく、終始遠くの方を見つめている。
「説明しろ、なんだこれ?」
「………どうして?」
「いや、おかしいだろこれ!なんで俺の部屋がずっと映ってんだよ!」
しばらく黙り込んでいた、言い訳を考えているのだろうか。だか、動かぬ証拠が手元にある以上、言い訳を並べられても意味がない。
変わらずずっと奥にいるあの女の事で正直頭がいっぱいなのに、これ以上の事は頭に入ってこない。どっちに意識を向けたらいいのかも分からないまま、時間だけが過ぎていく。
永遠にも思えるほどの長い時間が流れていると感じながら、晴香がその重たく閉ざされた口を開き始める。
「誠を見ていたいって思ったから……」
「何それ、だからってこれはやりすぎじゃ…」
「だって、誠は大事なこと昔っから何も教えてくれないじゃん!私が知らない誠がいるって考えるだけでいやになるじゃん、じゃあ知りたいってなったらこんな事になるよね?ね?ね?」
「何言って……」
「だってそうじゃない?外での誠は、結局みんなが知っている誠であって、それ以外の誠を全て知りたいって思うのは純粋な乙女心だと思わない?」
どこかあの女と同じ匂いを感じた、その目や表情は同じような人種であることを感じさせていた。晴香がずっとこの思いを閉ざしていたことを知らなかった、ならいつから、いつからこのカメラは仕掛けられて…いや本当にカメラだけなのか?
そんな事を考えていると、次第に目の前にいたはずの幼馴染である晴香が急に怖く思えてきた。全身に悪寒を感じながらも、話を聞き返してみる。
「いつから?カメラだけか?」
「いつから?……産まれてからずっとだよ…誠の事を一番理解しているのは私、一番知っているのも私、それがず〜っと、なんだよ?」
「カメラだけか?」
「ん?それはね〜っ、ひ・み・つ」
そんな言い方をすると言うことは、カメラだけではないはずだが身に覚えはない。そういえばさっき、あの女との会話を聞かれている様な話ぶりだったが、まさかカメラだけではなく。
そう考えて、自身の着ている服を上から順番に叩いてはみるが特に違和感もなければ、何か仕込まれているような気配も、感触もしなかった。
「探してもまだ…これからも私が見ていてあげるから、私だけが理解者だから…ねっ?」
そんな、理解ができない会話をされても何も言えなくなるだけだ。
そのま俺も、その場を動けずにいた
すると、愛染がこちらに走ってくるのが見えた。晴香の側を勢いのまま抜き去り、こちらに向かってきた。
「えっ、愛染さんがなんで!?」
「なっ、急にな……」
「だから言ったでしょ?」
その手にはすでに砂時計が握られていた、手の届きそうな範囲にはあるが今はそれどころじゃなかった、飛び込んできた大きな情報に、頭の中を整理していくのが精一杯で、それ以外の事は何も考えることができなくなっていた。
「また会いましょう?長良さん」
そうして言われるがままに視界は歪み元の世界へと戻そうとする力が働いてきた。
何度になるか分からない時間戻しなので、流石に慣れてしまった自分もいている。この間に、今起きていることと、これからやるべき事を考えていく。
ご完読、誠にありがとうございます。
今回の作品が皆様の心に残るものとなったなら幸いです。今後も「読んでよかった」と思っていただける作品をお届けしていきますので、ぜひ次回作もお楽しみに。
これからも応援よろしくお願いいたします。
また次話でお会いしましょう(*´∇`*)




