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第1話


挿絵(By みてみん)





 うう…


 どうしてこんなことに…



 ここは魔族が闊歩する異世界、『アクロポリス』。


 ひょんなことからこの世界に迷い込んでしまったわけだが、どういうわけか、帰り方がわからなくなってしまった。


 学校に行く途中だ。


 突然、目の前が暗くなったのは。


 その時の記憶が定かじゃないんだが、確かに俺はあの時、自転車で坂道を下っていた。


 いつもの“道”だ。


 俺が住んでる町はちょうど田舎で、電車も通っていないような長閑な場所だった。


 家は山の上にあるんだが、まあこれが大変で大変で…


 いちいち坂道を登らなきゃいけない。


 辺鄙なところに家を建てた両親を恨む日もあった。


 それくらい、通学に苦労してた。



 それでもまだ、朝はマシだったんだ。


 山の斜面を下りるだけだから。


 長い坂道を下る。


 カーブミラーもない山道を進んでいく。


 たくさんの木々に囲まれた森を抜け、苔だらけのガードレールのそばを走る。


 緑、緑、緑。


 田んぼが広がる平原がいつも、涼しい風の向こうに現れてた。


 真っ青な空の下に映える鮮やかな杉の葉が、さやさやと揺れる畦道の向こうにぐんと背を伸ばしてた。


 川のせせらぎや、ポツンと建つ家々の、——すぐそばで。



 シャーー



 回転する車輪の音。


 流れるように通り過ぎていく景色。


 朝露に濡れるブナの葉が、瑞々しい空気のそばに煌めいていた。


 広い川の上を泳いでいく鮎の群れが、白い水しぶきにほどけていく水面のスレスレを、跳び。


 

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