夜の鼻歌
宰相閣下が部屋を用意してくれて
ベッドに横になり物思いにふける
「何故こうなった?」
これからの自分の人生を歌う事に
集中していたのに!
部屋を見回す
王城の一室だからか豪華で落ち着かない気持ちが強くなる
だが今日の宰相閣下とのやり取りで
すぐに斬首や吊られたり拷問という事じゃないと安心もあった
目を閉じて
明日の事は明日の自分に任せる、と
前世の曲を鼻歌で
口ずさみながら居たら
閉じた扉から
声が聞こえた
「いい曲ね」
僕は驚くも「スミマセン、五月蠅かったですか?」と扉越しに問いかけた!
「言ったでしょ?いい曲ねと」
前世の作曲家に感謝と込み上げる
嬉しさを抑えて
「ありがとうございます」
と夜間なのに大声で言ってしまった
(汗)
扉越しだが笑われているのが分かり
恥ずかしくなっていたが
「私も歌うのが好きなの」
と言うとすぐに
さっきの鼻歌を扉越しに披露してくれた
透き通る声がメロディーを紡ぐ!!
震える自分がいた!
一回しか鼻歌で聴いていないはずのこの曲を自分より高度に高めて行く!
茫然自失になっていたが
気づいて扉を開く!!
誰もいない
僕はどれくらい放心していたのか分からないまま考えるのを諦めて
眠りについた。