4/6『デザイナーになっチャオ☆』
『みんなでデザイナーになっチャオ☆』
子役タレントがウインクして、CMが終わった。
すごい時代になったなぁ。
ふむむと感心しながら公式サイトへアクセスするけど、発売から一週間経ったいまも繋がりにくいままだ。
自分で描いた絵を専用の機械に入れ被写体に合わせてシャッターを切ると、絵が本物の洋服になる機械が発売された。
今もなお愛される、【青い猫型のロボットが便利な道具として使ってたアレ】が現実に開発されてしまったのだ。
被写体の大きさは関係なくて、人形でも人間でも、動物なんかも着せ替えられるけど、人間はちゃんと被写体本人の許可を得ないとシャッターが押せないらしい。
どういう原理なのかはわからないけど、わからないからこそ世界的に注目を集めて予約が殺到。奇跡的に購入できた人たちのレビューと、そのレビューの閲覧数がものすごいことになった。
使用体験記をアップしている購入者のアカウントにアクセスが集中しすぎてサーバーダウンし、サイト全体が開けなくなったなんてニュースも見た。
これから量産化に向けて準備されているらしいけど、いまはまだ希少品。抽選受付の度にメーカーのホームページは繋がりにくい状態になっていて、訪問できただけでも奇跡的な出来事だって。
転売対策として購入時に厳しい契約があって、カメラ本体にはすべてシリアルナンバーが刻印。購入時に登録した個人情報に紐づいているらしく、転売しようとするとすぐに個人特定されるそう。おかげでそういう類のサイトには一切出品されていない。
かなり高額なのに、みんなお金持ちだなーって眺める私みたいな人もたくさんいるみたい。私を含めたそういう人たちは、サイトにあがってる体験動画を見て「おぉー」ってなってる。
中には大人顔負けのデザイン画を描く子供がいて、その子は今度プロのデザイナーとしてデビューするらしい。小学生でプロデビュー。かっこいい。
端末が一台あれば、世界中に自分の活動が発信できる。年齢や性別、国境なんて関係ない。
はぁー。いい時代になったもんだ。
なんだか触発されて、子供の頃に憧れていたけど現実に打ちのめされて諦めた夢をまた追いかけようかな、という気持ちになる。
やる気があるうちにやるか……。
重い腰をあげて、捨てられずに置いてあった画材を引っ張り出す。
とりあえず1ページ漫画から描き始めて、SNSで公開してみよう。ラッキーなことにバズりでもしたら御の字だ。
“いま”が人生で一番若いとき。夢を追うのに年齢なんて関係ない。大事なのは、“諦めない”こと。
こすり倒されて手垢だらけの言葉を繰り返しつつ、若い者にはまだまだ負けないぞ、と思いながら専用ノートにネームを切り始めた。




