表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/366

2/12『電子レンジと回るとき』

「今日ご飯作る気力ないからコレでいい?」

 おずおず出したレトルトカレーを見て「もちろん。俺やるから座ってて」って言ってくれるカレシ、ほしい。

 って妄想しながら電子レンジの中を見る。

 箱に入れたまま温められるレトルトカレーが庫内でくるくる回ってる。

 カレーが温まったら次はレトルトご飯を温めるのだ。

 料理はできるし必要に迫られてすることもあるけど(どうしても食べたいものがあるときにだけ)、一人暮らしだとやっぱり楽なほうへ流れてしまう。

 ワンルームの小さなキッチンで窮屈な思いして作りたいほど料理好きってわけでもないし、料理好きならキッチン周りを最重要項目として物件探すだろうし。

 軽くスクワットしながら待ってたら、電子レンジがピロリロ鳴った。温め終了の合図だ。

 箱の端を持って取り出し、次はレトルトご飯のパックを入れる。指定時間をセットして温め開始。

 なんだかここのところ、同じような毎日を繰り返している気がする。レンジの中で回るごはんのように、同じところをくるくると。

 温め完了の音が鳴る。ピロリロ♪

 録画していた番組を視ながら食べようとテレビを点けたら緊急特番が映った。

『遠くにあれ、見えますでしょうか?! 隕石がですね! 尾を引いて落ちて行きます!』

 ヘルメットをかぶったレポーターが数百メートル先と思われる方向の細長い光を指さしてる。

 え、あれ、相当でかいんじゃね? そんなニュース、いままでやってもなかった……なんて考えた矢先、窓の外が光った。

 目の端に見えたテレビの角には、見慣れた街の名前。それってこの地域――――――


 突然の明転。辺りは真っ白。


『おぉ、死んでしまうとはなにごとじゃ』

 どこかのゲームで聞いたようなセリフが聞こえた。

 目の前に、光の存在。

『カレーなぞ食べとる場合じゃなかったろう。忘れてしもぅたのか』

「は」

『お前、戻る前に決めて行ったろう。あの隕石は、私が止める、と』

「え」

『もう何度めじゃ。戻ったら忘れてしまう仕組みとはいえ、少しは脳にこびりついたりしておらんか?』

「う」

 言われてうっすら思い出した。そうだ、あの隕石で街が一区画吹き飛んだ。未知のウイルスが付着していたせいで周囲の街から被害が広がり、最終的にはパンデミックが起こってしまった。

 天に召された私は神様に頼み込んだ。あの隕石を止めたいです。なんとしてもやり遂げますから、過去に戻らせてください、と。

「そうだ、忘れてた」

『このまま戻ってもまた忘れるぞ。どうする、もうやめるか?』

「やります! やらせてください!」

 光の存在は“やれやれ”といった感じで息を吐いた。

『お前のタイムループが影響して時空に歪みが出始めておる。隕石の落ちるタイミングにも影響があって、日時がズレる恐れがある。それを肝に銘じるのじゃぞ』

「はい!」

 そうして、現世とは時間軸が違う世界で修業を重ね、ようやく復活のときが来た。

 前に戻ったときも、その前も、そのまた前も同様だった。絶対に忘れるものかと誓ったのに、私はすっかり忘れて安寧な日々を過ごしてしまった。

 今度こそ――。

 そう誓って、面倒な手続きを終えて現世に戻る。もう幾度となく通った狭くて暗い道を渡って……。


 ――それから。


「今日ご飯作る気力ないからコレでいい?」

 おずおず出したレトルトカレーを見て「もちろん。俺やるから座ってて」って言ってくれるカレシ、ほしい。

 って妄想しながら電子レンジの中を見る。

 くるくる回るレトルトカレー。私の人生も同じようにくるくる……あれ? なんだか大事なことを忘れている気がする……。

 ピロリロ鳴った電子レンジ。その前でしばし考え込む。数分経ち、再度温め終了の合図が鳴る。

 そのとき、窓の外が光った。


 あれ? これって……何回目……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ