表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/366

2/1『寒空に消える誘い文句』

「ねぇキミ、魔法少女にならない?」

 夜風を入れるために開けていた窓、虫が入らないように閉めていた網戸の外から声が聞こえた。なんかのアニメに出てきそうな高い声。

「……いや、私もう、40超えてるんで……」

 驚くより先に出てきた冷静な返答に、そのアニメ声が不思議そうに言う。

「あれ? そうなの? 見えないね」

「はぁ……」

 キャッチの人から幾度となく聞いたその言葉を、私は信用していない。

「ねぇこれ、この網、開けてそっち入っていい?」

「いや、知らない人入れるのはちょっと」

「人じゃないけど」

 ほら、とアニメ声の主が発光した。

「まぶっ」

 手で遮って光量を調節。手の先に見えたのは、ぬいぐるみのような可愛い生き物だった。いま流行りの宇宙渡航者のようだが……。

「怪しすぎでしょ」

「えっ、可愛いでしょ!」

「だからこそ、ツリ目的の見た目って判断されますよ。そういう“鬱展開”のアニメみたいの、望んでないんで結構です」

「なんだぁ。この見た目なら喜ばれるって聞いたから頑張ったのに」

「本当の少女だったらあるいは。でもいまどきそういう、訪問販売? みたいの流行りませんよ。防犯意識高い子多そうだし」

「世知辛いなぁー」

 悲しそうに眉根を寄せるぬいぐるみっぽいもの。

「魔法少女勧誘しなきゃならないほど治安悪くないですよ、この街」

「ミクロだねー。視点がミクロ! もっと宇宙に目を向けないと!」

「よくわかんない生き物に言われたくないです」

「まぁいいよ、ほかの家行くわ。ちなみに貴女、お子さんは?」

「いないっす。生粋の独身なんで」

 謎の生き物は口を開けて息を吸って「…………」なにも言わずに閉じた。

(嫌味な生き物だな)

 思ったけど言わなかったのに表情でバレたらしく、「言いたいことあるなら言えばいいのに」なんてブツクサ言いながらその生き物はぴこぴこと右手を振り「じゃぁねぇ〜」全長30センチくらい身体を翻し、夜空へ消えた。

「なんだったんだ……」

 結局本当の意図はわからないまま、その日は終わった。

 数日後、テレビを見ていたらニュースが流れた。

『……その生物は【魔法少女にならないか】などと言い、女児から食べ物を巻き上げるなど…………詐欺行為の疑いがあるとして、警視庁では注意を呼びかけ……』

 画面には、こないだ見た生き物の写真が映った。画面下には【視聴者投稿】の文字。

 こないだより少しやつれたようなその顔は、演出なのかそれとも……。なんにせよ、やっぱりいまどき流行らない方法なのだなと痛感した。

「世知辛いねぇ〜……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ