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ホノカさん、ストライキする

 手を繋ぐくらい、どうしたと言うのだ。

 合宿の際、2日続けて海で小早川さんを引っ張らされた時だって、手を掴んでいたじゃないか。

 あれと一体何が違うのか、僕には理解が出来ない。


「えへへ。来間くんの手、あったかい」

「……小早川さんの手はひんやりしてるね」


 それなのに、どうして僕の手は熱を発しているのか。

 手だけではない、実は先ほどから首の上くらいから先が妙に熱い。


「ね。2人でちょうどいい温度になってる。えへへ」

「そうだね。うん」


 僕はこの異常な体の反応を、照り付ける太陽による日射病だと半ば強引に決定づけた。

 ならば、どこか日陰で休憩をしなければならない。


「飲み物でも買おうか。あそこに売店が出てるし」

「ほわぁ。私、ソフトクリーム食べたい」


「分かった。僕が奢るよ」

「え。でも、来間くん入園料も払ってくれたよね? 悪いから自分で払うよ」


 ダメだ、こんな押し問答している間にも、体温の上昇を感じる。

 下手をすれば倒れると察知した僕は「デートでは男が財布を持つのがマナーらしいよ」と、三次元の悪しき慣例に屈する事にした。


 そんなふざけた話があるものかと日々憤慨していた三次元のルールに、まさか僕が従う日が来ようとは。


「すみません。アイスコーヒーとソフトクリームください」

「かしこまりましたー。少々お待ちください」


 体力ゲージは赤に限りなく近いオレンジ。

 だが、どうにか耐えきれた自分を僕は褒めちぎってやりたいと思った。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「はむっ。ん。冷たい。ありがとう、来間くん」

「気にしなくて良いよ。休憩したかったのは僕なんだし」


 僕はアイスコーヒーに大量のガムシロップとミルクを入れる。

 普段はブラックで飲んでいるものの、今日は糖分が大量に必要だと判断した。

 まだ昼なのにこの消耗はまずい。


『美海さん、美海さん! 大晴くんにもソフトクリームを一口分けてあげたらどうでしょう? まさにデートって感じで、良い思い出になると思うのです!!』


 ホノカさん、冷却デバイスに換装してあるのに、もしかして彼女も日に当てられたのだろうか。

 ちょっと提案が僕の予想の斜め上を行っている。


「あ。それ、ラブコメでよく見るシチュだね。うん。やってみる」

「いや! やってみなくて良いよ! あれは二次元のお話だから!」


『大晴くん、大晴くん! ホノカは二次元の住人ですよぉ? むーむー!!』


 ホノカさん、小悪魔っぽい表情で「ふっふっふー」と笑う。

 一生見ていたいくらい可愛いが、僕はどうしたら良いのだろうか。


「来間くん。来間くん。はい、一口どうぞ。あ。思い切り食べちゃダメだよ? 私の分がなくなっちゃうから」

「それなら、僕が一口貰うのも悪いし」


「わっ。溶けちゃう。来間くん。早く、早く」

「え!? あ、ちょっ! ……はぐっ」



 僕はもしかすると、今日を終える前にストレスで死ぬのかもしれない。



「あ。来間くん、結構ガッツリ食べた。もぉ。ちょっとって言ったのにぃ」

「……咄嗟のことだったから、ついね」


 ホノカの無茶振りはどうにかこなした僕は、やたらと甘い口の中をスッキリさせるべくコーヒーを口に入れた。

 そして、コーヒーをことさら甘くした事を後悔するのだった。


 さらにここで、思わぬ事態が僕を襲う。


『あっ! ああー! これはいけません! ちょっとスマホに不具合が出ているようです! ああー。これはいけませんよぉー。ちょっとホノカは原因を探りますねー』


「え!? ちょっと、ホノカ!?」


 そう言うと、ホノカの姿がスマホから消えてしまった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 守沢家。


『ふぃー。こんにちはー、牡丹さん!』

「やほー! ホノカちゃん、いらっしゃーい! 飲み物用意しといたよ! ちょっと良い麦茶! 成分表示を読み込ませるんだったよねー?」


『ほわぁぁ! 牡丹さん、優しいですぅ! スキャン完了です! では、失礼して。おおー! 香ばしくてのど越しがステキな、とってもいい麦茶ですねぇー!!』

「水ようかんもあるかんね! それで、ホノカ隊長、作戦の首尾はどうでありますか?」


『よくぞ聞いてくれました、牡丹隊員! なんとですよ! あの大晴くんが、美海さんのソフトクリームを食べたのです!! 間接キスですよぉ!!』

「マジで!? あの来間が!? あたしの知ってる来間は、三次元が口を付けたものなんて食べられないよ。とか真顔で言うんだけど!?」


『あははー。ひどいですよぉ、牡丹さん』

「おっと、これは失礼しました! ホノカちゃんの彼氏だもんね! 悪口言っちゃった。ごめん、ごめん!」


『とっても良い雰囲気を察知したので、手筈通り、ホノカの超ナチュラルな演技で二人きりにして牡丹さんのところへ避難して来たのです!! ふんすっ!!』

「いやー。それにしても、あの来間が美海ちゃんと普通にデートしてるとか。いや、ホノカちゃんの進言があったにしても、マジかぁー!!」


『しばらく牡丹さんのところに居てもいいですか?』

「もちろん! そーゆう作戦だったもんね! お菓子のストックは万全だよ!!」



◆◇◆◇◆◇◆◇



 ホノカが何だかわざとらしい言葉を残してどこかに行ってしまった。

 いくら彼女の言う事を妄信する僕だとは言え、ホノカが嘘をついている事くらいは分かる。


 毎日どれだけ彼女と会話をして、何回彼女の顔を見つめていると思うのだ。

 逆に、それで分からない理由を知りたい。


「ホノカちゃん、どうしたのかな? 具合悪いのかな? 心配」

「いや、多分だけど何か用事があったんだと思うよ。まあ、僕たちは気にせずに、デートを続けるとしよう」


「ほわっ。来間くん、意外。ホノカちゃんがいくなって泣きわめくと思ったのに」

「甚だしく失礼だなぁ。むしろ、ホノカが自分の不在を理由にデートを打ち切られるのは嫌だろうなって思っただけだよ」


「そっか。来間くん、今日も優しい」

「普通だよ。まだお腹空いてるでしょ? お昼ご飯にしようか」


 ホノカの真意までは分からないが、とりあえずデートを続行する僕たち。

 小早川さんの胃袋を残りの千円札8枚で満たせるかどうかが、目下の悩みである。

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「更新されたら次話も読みたい!」

等々、少しでも思って頂けたら、下にございます【☆☆☆☆☆】から作品を応援する事できますので、【★★★★★】にして頂けるととても励みになります!!


新参者ですので、皆様の応援がモチベーションでございます!!


拙作を面白いと思ってくださいましたら、評価をぜひお願いいたします!!

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