守沢牡丹、ラブコメに参加する
「来間くん。来間くん。スマブラやろ」
「ああ。はいはい。良いよ。相手をしてあげよう」
「やた。じゃあ、ハンデで私、トマト取らないであげるね」
「君のディディーコングは空中で僕のリンクを叩き落とすから、正直トマトがどうこうの問題じゃないんだけどなぁ。まあ、良いけど」
ニンテンドースイッチを起動。
僕は小早川さんのサンドバッグとしてゲームに付き合うことにした。
「ホノカはやらないの? 一緒にやろうよ」
『すみません! ホノカは牡丹さんとお話するので、それが終わったら参加しますね!』
「ああ、そうなの? 守沢と。どうせ実りのある話にはならないと思うけど、分かったよ」
本当に、しょうもない話に終始するだろうけど。
「コラー! 来間ぁ! あんた、失礼なこと考えてんな!? チアシューターで撃ち抜くぞ?」
「はいはい。ごめんなさい。ホノカに迷惑かけないでおしゃべりしてね」
僕はゲーム画面から目を離さずに答えた。
それなのに、僕のリンクが叫びながら画面の外にすっ飛んで行ったのは何故か。
「えへへ。来間くん、隙あり。ダメだよ。集中しないと」
「うん。集中していたんだけどね。どうして小早川さんはCPUがまだ残っているのに、僕を真っ先に狙うのかな?」
「だって、来間くんは特別だから」
「カツアゲを日常的に行う不良の、お前友達だよなってセリフくらい信用できない。君の言う特別の意味を知りたい。ああ! ちょっと、なんで始まった直後なのに!?」
僕のリンクが画面の下に落下していった。
リンクのお墓を作ってあげたいけども、今死んだリンクが何代目なのかが分からない。
玉木さんは何をしているのかと目をやると、アイマスクしてエアコンの真下にでっかいビーズクッションを敷いて、すやすやとお休み中。
いつの間にそんな布団を持って来たのか。
あと、僕のリラックマのブランケットを普通に使うの、ヤメてくれないかな。
1度貸したらずっと貸して貰えると思うの、三次元の悪い癖だと思う。
そんな事を考えていたら、リンクがまた死んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
一方、部室の端では、ホノカと守沢が内緒話をしていた。
スマブラの音が大きいし、内容にまったく興味がないので耳に入って来ない。
「ホノカちゃん、ここでハッキリさせときたいことがあんだけどさ!」
『はい! なんですか、牡丹さん!』
「美海ちゃん、確実に来間のこと好きだよね?」
『そこに気付くとは、やはり天才か、です!』
「やー。さすがに分かるっしょ! でさ、そこは良いんだよ! 問題は来間の方! あたしの勘違いじゃなければさ、あいつも、美海ちゃんの事、好きになってない!?」
『おおー! 牡丹さんすごい! 実は恋愛マスターですかぁ!?』
「これでも、人を見る目はある方なんだよ! 生徒会2年続けてやってるし!」
『牡丹さん、最近は生徒会って設定を忘れられてばかりですけど、そういえばそうですもんね! すごいですぅー!』
「え、あ、うん。……ホノカちゃん、たまに来間っぽい皮肉言うよね」
『ほえ? そうですかぁ? ホノカにはよく分かりません!』
「……うん。まあ、いいや。それで、ホノカちゃん的にはどうなのかなって思ってさ。ホノカちゃんって、来間の彼女じゃん? 美海ちゃんに嫉妬したりしないのかなって。あたしにとっては、美海ちゃんもホノカちゃんも親友だから、もしそうなら、ちょっと悲しいなって思ってさー」
『牡丹さん!! オタサーの姫みたいになっていたのに、そんなに深いお考えを! ホノカは感動しました!! 牡丹さんはとってもステキなオタサーの姫ですね!!』
「オタサーの姫って言葉が何を指してるのか分かんないけど、多分いい意味じゃないんだろうなって事は分かるよ!?」
『お気遣いありがとうございます! もちろん、ホノカは大晴くんの彼女ですから、美海さんに取られちゃうと、ちょっぴり寂しいです。NTRはあまり好みではないですし!』
「え、なに!? なんて!?」
『ただ、わたしは大晴くんが幸せになってくれたら良いのです! それがホノカにとっても一番の幸せですから!』
「うううっ! ホノカちゃん、そんなに来間の事を! あたし、感動しちゃったよ! うん。分かった! あたし決めた! ホノカちゃんに協力する! 来間でもないし、美海ちゃんでもない。ホノカちゃんに協力する!! だから、手伝って欲しいことがあれば何でも言って! その身体じゃ、不自由することもあるっしょ?」
『牡丹さん……! はい! ありがとうございますぅ! じゃあ、お言葉に甘えちゃいますね! スマホでこのコードを読み取ってもらえますか?』
「うん。これは何なの?」
『ホノカのマーキングポイントです! これを読み取ってもらえた端末には、ホノカが自由に行き来できるようになります! 牡丹さんのところにも遊びに行けるようになるんです!!』
「おお! そうなんだ! じゃあ、何でも言ってね! あたしに出来る事はどんどんやっちゃうから!」
『はいっ! あ、牡丹さん! このお話は、秘密ですよ?』
「うっ! 今のホノカちゃんの仕草……! 何て言うか、言葉で表現できないけど、すごく心が満たされるような。はっ!? これがオタクどもの言う、尊い!?」
◆◇◆◇◆◇◆◇
僕のリンクが10回目の非業の死を遂げたところで、ホノカがやって来た。
守沢に連れられて。
「ヤメてくれないかな。守沢が僕のスマホに触るの、とても嫌な気分だよ」
『大晴くん、めっ! ですよぉ! 牡丹さんの事をそんな風に言っちゃダメです!』
「そうだそうだー! 来間はもっとあたしを敬えー!」
なんだか知らない間に、ホノカと守沢が仲良くなっていた。
事情は分からないけど、なんだかそこはかとなく嫌な予感がする。
リンクの悲鳴を聞きながら、僕はそんな事を考えていた。
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