動機が不純な救出劇
「あらまぁ、じゃあホノカちゃんってAIなの!? すごっ、あたし、AIって初めて見た! マジかー、世の中ってこんなに進歩してるのねー!」
『はい! 大晴くんのお父さんは、とても優秀な研究者なんです! そして、今のわたしは大晴くんによって育てられました!』
瞬きをしたら守沢が消えないかなと思って目をパチパチやる度に、三次元とホノカが交流を深めている幻影が見える。
瞬きの回数が足りないと言うのなら、2倍速でこなしても良い。
「ほほう、来間がねぇ。なんかいやらしい事とか覚えさせられてない? あと、エッチなセリフ言わされたりとか!」
『大晴くんは紳士なので、そんな事しませんよぉー。牡丹さん、ひどいんだぁ!』
静観していても事態が好転しない事はよく分かった。
そうなると、今度はこっちから動くしか手はない。
「守沢! 生徒会の仕事が押しているんだろ? じゃあ、早く行った方が良い! 生徒会の仕事はとても崇高なものじゃないか!」
「ホノカちゃんの着てるうちの制服、どうなってるの? うわっ、すごい! 上着脱げるんだ!? え、あのさあのさ、もしかして、下着も……?」
『そ、それは恥ずかしいですよぉ! あ、でもでも、大晴くんには見せられないので、牡丹さんになら見てもらいたいかもです! 可愛いヤツを見つけたんです!』
僕の言葉をせめて聞いてくれ。
生徒会が生徒の声無視し始めたら、もう組織として問題があるじゃないか。
「ひゃー! すごっ! エグい! そしてエモい!! なにこれ、もう本物じゃん! フリルとかすごい! ふむふむ、ホノカちゃんはフリフリ系が好きなのか!」
『あ、あんまり見られるとやっぱり恥ずかしいですぅ……。牡丹さんから見て、どうですかぁ? 彼女がこんな下着してたら、嬉しいですか?』
「あたしなら卒倒するくらい嬉しい! 多分、一回血を吐くね! エモ過ぎて!!」
『わぁ、本当ですか!? じゃあ、この下着のデータは大事に保存します!!』
今度は会話の内容が男子立ち入りを禁ズと僕の前に立ちはだかる。
僕のホノカが三次元と下着に着いて語り合っている。
悪い夢なら覚めてくれ。
現実だったら、直前のセーブポイントからやり直すから。
人生とか言うクソゲーはオートセーブしか実装していない事くらい知っている。
僕なら人生作ったゲームプランナー、即刻クビにするよ。
『あ! 大晴くん!』
「ほ、ホノカ! やっと帰って来てくれたのかな!?」
『いえ、メッセージが届いています! 小早川美海さんからです!』
判断に数秒を要した。
やっとホノカがこっちを向いてくれたのはお正月のようにめでたいけども、それが別の三次元の事についてと言うのはいかがなものか。
クラスのグルーブラインに僕みたいなぼっちをまぜてくれる級友たちは良い人だと思う。
おかげ様で何故か小早川さんから連絡が。
どういう事情で僕に? 理解ができない。
でも、これ以上ホノカを守沢に取られたくない。
この感情は、誰に憚る事なくジェラシーだった。
「分かった。読み上げてくれる?」
『はい。——ごめんなさい。困っています。助けてもらえませんか? だそうです。って、大変じゃないですか! 大晴くん!!』
ホノカの存在が第三者にバレた方がよほど大変なんだけど、それを言ったら怒られるんだろうなぁ。
「ええと、行った方がいいかな?」
『むーむー。大晴くんは、ピンチのお姫様を見捨てる薄情な人ではありません!!』
「だ、だよね!」
僕はさらわれたピーチ姫を放置して、ノコノコ踏み続けて残機を増やすことに喜びを得るタイプなんだけど、そんな事はどうでも良いか。
『位置情報を検知。体育館の脇にある、自動販売機コーナーのようです』
「うっ……。い、行って来るよ。あの、守沢? そろそろホノカを」
「行ってらっさーい! ホノカちゃんの事は任せといて! 命に代えてもあたしが守る!! 守沢だけに!!」
『ホノカは大晴くんの事、信じてます!!』
どうしてこんな事に。
そう思いながら、僕は指定された場所へと走った。
しょうもない事だったら、さすがの僕も女子が相手だろうと怒るから。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「うちの部に入りなって! 美術部! そんでさ、モデルやってよ!」
「やっ。困ります。本当に、美術には興味がないので」
「そんな事言わずにさ! 小早川さんが水着のモデルとかやってくれたら、部員増も間違いなしだから!」
「水着? バカなんじゃないですか? 意味が分かりません」
「おいおい! 先輩に向かってその口の利き方はないんじゃないか? アメリカではそれで良かったかもだけどさ。ちょっと個人レッスンするか?」
「やめてください。あなたみたいな人と話をするために、私は日本に来たんじゃないんです。いい加減にしてください。人を呼びますよ」
もう、実にしょうもない現場だった。
三次元のオスが、希少価値の高い三次元のメスに求愛していた。
しかも、双方の合意がなされていない様子。
これだから三次元は手に負えない。
相手は、見たところ三年生。
僕の事なんてまず知らないだろう。
とにかく僕には時間がない。ホノカが守沢に何を吹き込まれているか。
よし、最短ルートで行く。
「ヤメといた方が良いですよ、先輩。これは忠告です」
「なんだよ、お前。2年はすっこんでろよ」
「あっ。来間くん。来てくれたんだ……」
「はあ? 小早川さん、まさかこんな陰キャを助けに呼んじゃったの!? 友達いないんだ? 可哀想だねぇあぃっ!? ぐあぁぁあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「忠告しましたよね。まあ、専守防衛って事で。先にちょっかいかけたのそっちですし」
美術部の先輩の背後から、股間を思い切り蹴り上げてみた。
気配なく忍び寄る事なら任せて欲しい。ぼっちの必須スキルである。
「行こう、小早川さん。ここにいると面倒だから」
「あっ。……手」
また、「気安く触れないでよ」とか言うんだ、三次元は。
彼女はその先を言わなかったけど。
二次元だったら、今のでもうとっくにフラグ立ってるよ。
さて、小早川さんの手を引いたのはいいけど、どこに行こうか。
というか、僕にとって行き先の選択肢が1つしかないんだけど。
嘘だろう。僕の秘密の城に、まだ三次元を侵入させるのか?
「はあ、はあ! ごめんなさい、来間くん。ちょっと、足、速い……」
「あ、そうだった? これは気付かずに申し訳ない」
文武両道とは言え、やっぱり小早川さんも女子なんだな。
手はやたら小さいし、柔らかいし。耐久値振り忘れてるんじゃないだろうか。
「とりあえず、僕の部室に入りなよ」
「良いの? 迷惑じゃない?」
割と嫌だし、迷惑だけど。
見捨てたらホノカに嫌われるじゃないか。
「いいよ。さっきのヤツの仲間がいたら面倒だし」
「あ、待って、来間くん」
「なに?」
「うん。あの、助けてくれてありがとう。すごく嬉しかったよ」
何故だか、その笑顔に見覚えがある気がして、僕の心臓が鼓動を速めたが、それは気のせいだとすぐに結論付ける。
僕が三次元相手にドキドキするとか、あるはずがない。
「なかなか良かった!」
「続きが気になる!」
「更新されたら次話も読みたい!」
等々、少しでも思って頂けたら、下にございます【☆☆☆☆☆】から作品を応援する事できますので、【★★★★★】にして頂けるととても励みになります!!
新参者ですので、皆様の応援がモチベーションでございます!!
拙作を面白いと思ってくださいましたら、評価をぜひお願いいたします!!




