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三次元が水着に着替えたら

「それでは、続々と行くでござるよ! 次は守沢氏!」

「ちょっとー! 松雪、あんた、あたしのだけエッチぃヤツにしてんでしょ? 分かってんだからねー?」


「なんでそんなに嬉しそうに言うのかな? 守沢、露出癖に目覚めたの?」

「来間先輩、女子って時々冒険したくなるものなんすよ!」

「うん。分かりみが深い。来間くん。これ大事なところだよ」


 僕だけが怒られると言う理不尽。

 まあ、いいさ。

 早いところ消化試合をこなしてくれ。


 もう僕はホノカの水着姿で心が満たされているから。

 少々の事では腹も立たない。


「チアイエローは原作に忠実な仕上げにしておいたでござる! フリフリのトップスに加えて、ボトムスは紐という攻めたデザイン! 守沢氏に似合うと思うでござるよ!」

「おおー! チアイエローの水着だぁ! 水着回マラソンで飽きるほど見たのに、現実で着るとなると、なんかアガるね! サンキュー、松雪!!」


 勝手にアガっている守沢をニコニコ見つめる小早川さん。

 そして、動物病院に連れて来られた猫みたいになっている玉木さん。


「では、玉木氏! チアホワイトの水着は小生の完全に創作となってしまったので心苦しいのでござるが、精一杯のアイデアを盛り込んだでござる!」

「やっ! 自分はもう、ホントにアレなんで! 撮り専からのポジションチェンジにもまだ適応してないので! 何ならジャージとかで平気っす!!」


 玉木さん、無駄な抵抗を試みる。

 本当に無駄なんだから、ヤメた方が良いのに。

 周りを見て見るといい。ほら、誰も聞いていない。


「チアホワイトはロリっ子なので、露出は控えめのビキニに。トップスはスタンダードなものでござるが、ボトムスはビキニの上にホットパンツを履くスタイルでござる! いかかでござろうか?」


「ま、松雪先輩! 自分、嬉しいっす! これなら着れるっすよ!!」


「ちなみに、ホットパンツの下はティーバックバージョンも用意してござるが」

「タマちゃん。冒険してみよう? 私、タマちゃんが恥ずかしがりながらティーバックを履いて、ソワソワしながら海で遊ぶ姿、見たいな。絶対にエロいと思う。大丈夫、ホットパンツ履いてるから、ティーバックは見えないし。でも、何かのハプニングで見えるかもしれない可能性があるって言うだけで、人は興奮できるんだよ」



「美海せんぱぁぁぁい!!!」



 どうにかティーバックを回避した玉木さん。

 小早川さんの魔手から逃げおおせるとは、少しずつやるようになってきた。

 後輩の成長と言うものは、見ていてなかなか思うところがある。


 僕は育成ゲームも好きだから。


 そして、トリは小早川さん。

 もう、クールな表情はどこへやら。

 見ているだけでワクワクしているのが伝わって来る。


「チアレッドは、特別仕様でござる! 原作の良いところをさらにアレンジしたでござるよ!! ホルターネックのトップスのカラーリングをホノカ氏とお揃いの赤と黒に! そして、スカートビキニのヒラヒラを少し短くしたでござる!!」


「わぁ。これ、絶妙にエロくてすごく良いですね。さすがです、松雪先輩」


「牡丹先輩。美海先輩って恥ずかしがったりしないんすか?」

「やー。あたしの知る限りでは、一度も見た事ないねー。美海ちゃんは特別なんだよ。普段から学校でも注目集めてるしさ」

「なるほどー」


 甘いな、2人とも。

 小早川さんの大胆さは、そういうのじゃないのに。


 彼女は、完璧に役になり切るために羞恥心を捨てるのであって、元から恥ずかしがる素養を持ち合わせていない訳ではない。

 僕は小早川さんの恥ずかしがるところを何度か見ているし。


 そして、コスプレに対するその姿勢は尊敬に値すると思っている。


「では、早速着替えて、海で遊ぶでござるか!」

「「「はーい!」」」


 僕たちは、自部の部屋に戻り水着へとコスチュームチェンジする。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「ちょっと、高虎先輩。どういうことですか」

「おお、大晴くん! いや、引き締まった体にマントと仮面がよく映える! 1枚良いかな? はい、笑って!」



「笑えませんよ! なんで先輩普通の海パンなんですか! チアブルーは!?」

「いや、実は自分のコスの事をすっかり忘れてね! イベントじゃないから油断しちゃった!」



 とんでもない裏切り行為である。

 僕なんか、律義に銀のマントと水泳キャップ代わりにゴツい仮面を被っているのに。


「おっ待たせー! ぷーっ! 来間、ウケるんだけど! なに、そのかっこ!! ぷーっ!!」


 チアイエローが最初に出て来た。

 せっかく意外と似合っていたので褒めてやろうかと思ったのに。

 相手が男だったら、ジャッジメント・シルバーアックス案件である。


「ちょ、美海先輩! 押さないでくださいっす! これでもやっぱり恥ずかしいんすよぉー!! ちょ、えっ、なんで強く押すんすか!?」

「私、推す時は全力でって決めてるんだ」


「勘違いじゃなかったら、それ漢字違いませんか!?」

「ううん? 合ってるよ。わぁ。来間くん。カッコいい」


 小早川さんに感想を言われてしまった。

 こうなると、僕も返さない訳にはいかない。

 隣でホノカ先生が目を光らせているからだ。


「小早川さん、髪、ポニテにしたんだね」

「うん。濡れちゃうから黒くはできないけど、キャラに近づけたいから」


「……良いと思うよ。水着も似合ってるし。ちゃんとチアレッドになってる」

「本当? えへへ。嬉しい。来間くんのお墨付きだぁ」


『陽菜乃ちゃんも可愛いですよ! それで、結局下はティーバックにしたんですかぁ? じゅるり』

「し、してないっすよ! 健全なビキニっすよ!! 肉食系だらけっすか、ここ!?」



 着替えが終わったら、プライベートビーチとやらに繰り出すのが良い。

 ちょうど昼下がりで、これは海水浴が捗る環境が整っていると思われた。

「面白かった!」

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