表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/98

シルバー司令官、またの名を来間大晴。原作通りの必殺技で流れるようにカノジョとヒロインを守る

「なぁ、足開けよぉ!」


「はあ? バカなんじゃないの!?」

「やめてください」


「嫌がりながらも興奮してんだろ? いやぁ、エロい恰好してさぁ!」


 コスプレイベントにおけるルールは多岐にわたる。

 そのため、ここで全てを言及するのは不可能である。


 大事なものだけ説明させてもらうと、彼らはローアングラーと呼ばれる汚物。

 主に女性レイヤーを下から撮影して、スカートの中を撮っちゃうぞという、どうしようもない連中であり、中にはその画像で商売をする不届き者までいると言う。


 当然のことながら、即刻ギルティの違反行為。


 だが、高虎先輩が数時間前に言っていた通り、ここのイベントは運営が甘い。

 騒動が起きればすぐさま駆けつけるべきスタッフが、近くにいない。


 さらに不運なのが、休憩しているレイヤーさんがみんな女性だと言う点。

 先ほど仲良くなった、ポップ・ウィッチの2人組も、「やめなって」と抵抗しているが、やはり相手が男のため、強く言えずにいる。


 それも当然。

 そんな犯罪まがいの行為を平然と行うような輩を刺激したら、襲われるのではないかという想像くらい、誰でもするだろう。


「どうしましょうか、先輩」


 ここは、ベテランコスプレイヤーの高虎先輩に指示を仰ぐのが上策。

 僕がヘタに手を出すと、面倒事がさらに拡大するかもしれない。


「そうだね。まあ、強めに警告して、それで引き下がれば良し。ダメなら、運営の人間を連れて来るから、大晴くんは時間稼いでおいてくれるかい?」

「了解です。なるべく穏便に済ませる方向なんですね」


「やっぱり、強行策はイベントの興が冷めるからね。せっかく来ているのに、嫌な思いを残すのは、誰だって嫌なものさ」

「さすがです」


 そして現場に到着。

 やれやれ。せっかく引いた汗がまた流れ始めたじゃないか。



◆◇◆◇◆◇◆◇



「あ。来間くん」


 小早川さんが真っ先に僕の名前を呼んだ。

 呼ばれたら仕方がないので、返事をしなければ。


「来間! ちょっと、助けて! 変態が絡んで来る!!」

「分かってるよ。ちょっとすみませんね。ヤメてもらえますか?」


 なるべく穏便に。

 こんなルールも守れないやからを相手に穏やかに接するとか、結構ハードモードである。


 しかし、高虎先輩の指示ならば致し方なし。

 と、心に誓ったはずなのに。


「なんだよ、お前ぇ!」

「うわぁ。自分の思い通りにならないと癇癪かんしゃく起こすタイプか。ヤダなぁ。あなたみたいなのがいるから、オタクがいわれなき迫害を受けるんですよ」


 ここまでは良かった。

 ここからがまずかった。


「な、なんだとぉ!!」

『ひゃあぁっ!』


 ローアングラーAが、僕のスマホを乱暴に払いのけた。

 その結果、どうなるか。

 スマホが地面に落下して、ホノカの悲鳴が響いた。



 僕が冷静さを失うには充分な出来事だった。



「ホノカ! 大丈夫!?」

『は、はいぃー。ビックリしましたぁ』


 ああ、良かった。

 冷却装置がクッションになったのか、スマホの機能は正常に働いているらしく、画面の中のホノカも目を回しているものの、無事なようだった。


「なにスマホに喋ってんだ、こいつ。はは、キモ!」

「……ちょっと失礼」

「ちょ、おまっ、何すんだよぉ!」


 ローアングラーAの首から下げていたカメラを強引に奪い取る。

 さぞかし大事なのだろう。

 もしかして、今日のイベント以外でもそうやって撮ってきた、お宝ショットがいっぱい詰まっているのかな。


 僕は、悠然とカメラを地面に置いて、マントをバサッとやったのち、鷹のように荒ぶるポーズで喝を入れる。


「ふぅぅんっ!!」


 バキャッと音がして、カメラのレンズが割れた。

 粉々にするつもりで踏んだのに、意外と頑丈で腹立たしい。



「おまぁ! お前ぇ! ひどい! ひどいよぉ!! 何してんだよぉ!」

「ご存じない? ジャッジメント・シルバーアックスですよ」



 シルバー司令官の必殺技である。

 有体に言うと、ジャンプしてから繰り出すかかと落とし。


「し、知ってるよぉ! お前、コスプレしてるからって、技使うの反則だろ!? あと、カメラ壊しやがって! は、犯罪だぞぉ!!」


 僕は無言でカメラの元へ戻り、今度は先ほどよりも力を込めて、気合一閃。


「ふぅぅぅぅぅぅぅん!!!」


 ゴギャッと音がして、今度は蓋が弾けて、外装が割れた。

 やはり粉々にならない。今晩から下半身の筋トレを増やそう。



「な、ななぁ、何してんだよぉぉぉ!!」

「ジャッジメント・シルバーアックス・メテオですが?」



 ジャッジメント・シルバーアックス・メテオとは、ガチチアの11話で、窮地に陥ったチアーズを救うべくシルバー司令官が使った、渾身の一撃である。


「あ、頭おかしいんじゃないのか、お前ぇー!」

「てめーは僕を怒らせた」


 ああ、これは失敗。

 勢い余ってジョジョネタを振ってしまった。

 せっかくシルバー司令官になり切っていたのに。


「裁判だぁ! 訴えてやるからなぁ! 警察呼ぶからなぁ!!」

「はい。そこまでです」


 次はジャッジメント・シルバーアックス・カタストロフィだなと考えていると、高虎先輩が僕とローアングラーズの間に割って入った。

 もしかして、僕もジャッジメントされます?


「あなたのカメラはこれですね? たった今、Amazonで注文しました。住所を教えてください。ご自宅に配送いたします。……それから、このSDカードは、預からせて頂きます。通報でしたら、ご心配なく。もうしました。このカードの中身は、さぞかし良い証拠になるでしょうね?」


「えっ、あっ? あ、ああ?」

「やべっ!」

「お、おい、待てよぉ!」


 逃げ出そうとするローアングラーズ。

 そこに立ちふさがる、チアブルー。


「カメラの弁償はすると言っているじゃないですか。さあ、住所とお名前を」

「い、いらねぇよ、そんなの! もう2度と来てやんないからなぁ!!」

「それはこちらのセリフですね。はい、スタッフさん。今の2人の顔写真です」


 鮮やかに場を納めた高虎先輩。

 すると、僕の前でひざまずく。何ですか!? 僕、何されるんですか!?



「皆様、ご安心めされよ! 我らのシルバー司令官が、チアーズを襲おうとした不届き者を、見事に撃退してくれたでござる!! さあさあ、拍手をお頼み申す!!」



 いつの間にか周りに集まっていたレイヤーさんたちが、パチパチと手を叩き始めたかと思えば、それは瞬く間に伝播でんぱしていき、喝采かっさいに変わる。


 なんということでしょう。

 むちゃくちゃ目立っているじゃないか。


 とりあえず、仮面被っておいて良かったと心の底から思う僕である。

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「更新されたら次話も読みたい!」

等々、少しでも思って頂けたら、下にございます【☆☆☆☆☆】から作品を応援する事できますので、【★★★★★】にして頂けるととても励みになります!!


新参者ですので、皆様の応援がモチベーションでございます!!


拙作を面白いと思ってくださいましたら、評価をぜひお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ