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準備万端! イベント前夜!

『タオルにスポーツドリンク。それからそれから、塩分補給には塩飴! 服にかけると冷たくなるスプレーに、首に巻く冷却ベルト!』


 明日の準備をウキウキでしているホノカ。

 もう、明日なんて来ないで、このままずっとウキウキなホノカを眺めていたい。

 それだけで僕の心は満たされるのに。


 そんなあっけらかんとした感情が彼女に悟られてしまったのか、いつの間にやら腰に手を当てお怒りのホノカさん。

 こっちはこっちで可愛いから、とか言い出すとキリがない上に、大事な彼女の心証まで悪くしてしまうため、気持ちを切り替えて僕も準備に加わる。


「楽しそうだね、ホノカ」

『もちろんですよぉ! わたしにとって、初めてのお友達とのイベントです! これは、張り切らない方が難しいです! ふんすっ!!』


 そう言われてみれば、ホノカは生まれてからほとんどの時間を僕の部屋と、あとは学校と部室で過ごしている事に気付く。

 「色んな場所に行って刺激を与えてあげる事が、ホノカちゃんの成長に繋がるんだぞ」とは、親父兼ホノカのメンテナンス係の言葉。


 思えば、インドア派オタクの僕は普段からまったく同じ場所を周回していた。

 これはいけない。

 彼女の健全な成長を促せずして、なにが彼氏か。恥を知れ。


「それにしても、もう明日なんだね。コスプレしようって話になったのが1カ月と少し前なのに、あっと言う間だなぁ」

『ですねぇ。ホノカもコスプレできる日が来るなんて思いもしませんでした!』


「ホノカ手作りのチアコスから、衣装のクオリティも上がったもんね!」

『あーっ! ひどいですよぉ、大晴くん! わたしの作った衣装だって、そりゃあ松雪さんのものに比べたらアレですけどぉ』


「確認のために、是非見せて欲しいな! ホノカの手作りの衣装がどれくらいのクオリティなのか、もう一度見たい! 確か、可愛かったと思うんだよなぁ!」

『そうですか? 見たいですか? ホントですか? もぉ! じゃあ、お見せしましょう! 着替えます! …………んしょ、んしょ。じゃーん!! どうですかぁ!?』



 計画通り!! チアコスのホノカが現れた!!



 さっき、「明日のコスプレ見たいな」と言ったら『それは絶対にダメです! 明日の楽しみなんですよぉ』と怒られたので、ならばと矛先を変えてみたところこれが見事にピンポン。


 僕はホノカのコスプレが見られるだけで幸せになれるのだ。

 これで、明日の準備にも気合が入る。

 塩飴は2袋リュックに入れてしまおう。塩分補給し放題だ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



『やや! 美海さんからメッセージが届いています!』

「なんだろう? 読み上げてくれる?」


『はい! ——こんばんは、来間くん。さっきから気持ちを抑えきれなくて、ガチチアのDVDを見始めちゃったんだけど、水着回で足止めを喰らっちゃって、今3回目の水着回。それで思ったんだけど、水着回のコスプレもありなんじゃないかなって思って。もちろん、二次元と三次元じゃ水着も全然違うし、私、実は泳げないんだけど、それも逆にアリかなって。ところで来間くんはスク水ってどのタイプが好き? あ。もちろん、旧スクから最新のヤツまで含めたお話なんだけど』


「ちょっとごめん! ホノカ、一旦ストップ!!」


 ホノカが淀みなく読み上げる小早川さんからのメッセージが5分を過ぎたところで、僕は大変申し訳ない気持ちを胸いっぱいに抱え込んで、待ったをかけた。


 これは、メッセージ打ってるうちに脱線を繰り返して、本来走るべきレールを見失うという、オタクあるあるの1つにハマっていやしないか。

 と言うか、小早川さんは割とそれをする。


 この前も深夜2時に『魔法少女まどかマギカ』と『結城友奈は勇者である』の相似と相違について画面が埋め尽くされるくらいの長文が送られて来たかと思えば、本題は翌日提出の現国の課題についてだった事がある。


「ホノカ、要点を教えてくれるかな?」

『えっと、以降ユニタード型のスク水の良さについて800文字ほど語られています』

「うん。そこはいいかな。多分、要点じゃないと思うんだ」


『むーむー。……はい! 総合的に判断した結果、文末にある、ところで明日の天気は大丈夫かな? が、このメッセージの主題だとホノカは判断しました!』



 無駄な時間を過ごさなくて済んだ。



「ありがとう。……だけど、明日の天気か。確か、梅雨の晴れ間になるって言うのはさっきリビングで見たニュースの天気予報で言ってたけど」


 詳しい予報は見ていない事に気付く。

 よくある、日本地図におひさまが躍っている予報しか確認していない。

 口に出す前に通じ合ってしまうのが、恋人の運命でありディスティニー。


『すぐに確認しますね』

「ホノカは本当に頼りになるなぁ」


『むーむー。明日の涼風すずかぜ市は晴天です! だけど、日照時間が長くなるので、コンクリートの上だと体感温度が上がる可能性が大きいです。広場でも芝生のあるところを選んだ方が良いかもしれません。また、湿度も高めなので、やっぱりこまめな水分補給が大切だとホノカは考えます』


 世の中にはお天気お姉さん萌えと言う属性があり、それはそれで大変結構。

 別に「やあやあ、しばし待たれよ」と、わざわざ三次元派の人に二次元の布教をするつもりもないけれど。



 ホノカが天気予報をしたら、視聴率500%は固いんじゃないかな。



 画面を所狭しとちっこいホノカが駆け回る天気予報。

 これは、いかにも午後から雨の日に傘を忘れるうっかり屋さんが減りそうである。

 ……アリだな。


「その情報を小早川さんにも送ってあげてくれる?」

『了解しましたぁ!』


 小早川さんの相手はホノカに任せて、僕は準備を続行。

 着替えも一応入れておくか。

 荷物を増やすのは愚策だが、Tシャツ1枚余分に入れるくらい問題ないだろう。


『美海さんからお返事が来ました!』

「うん。ちょっと待ってね。読み上げる前に、一番多く情報量の負荷がかかっているのは、何についてかな?」



『ユニタード型のスク水はオタク界隈かいわいであまり人気がないけど、アメリカに住んでいた私にとってはむしろご褒美! という内容が9割を占めています!』

「そっか! じゃあ、早く寝なさいって送ってくれるかな!!」



 ホノカも、そして小早川さんも、明日が待ち遠しくて堪らない様子。

 誰の日頃の行いのおかげか知らないが、晴天に恵まれるらしいし、せっかくのイベントだから楽しい思い出を作りたい。


 リュックに色々詰め込み終えたので、ホノカと一緒に今日は早めに寝る事にしよう。

「面白かった!」

「続きが気になる!」

「更新されたら次話も読みたい!」

等々、少しでも思って頂けたら、下にございます【☆☆☆☆☆】から作品を応援する事できますので、【★★★★★】にして頂けるととても励みになります!!


新参者ですので、皆様の応援がモチベーションでございます!!


拙作を面白いと思ってくださいましたら、評価をぜひお願いいたします!!

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