ゲームが強いホノカと小早川美海
放課後。
文芸部の部室。
もう部室棟までの移動が難関クエストなので、部室に着いたらゴールした感が強く、小早川さんが入部して来てからというもの、活動意欲が低下していた。
そんな僕を見て、察しの良い恋人は気を利かせてくれる。
やっぱりホノカが一番! 他は着外!!
『3人でゲームやりましょう! ゲームです! 親睦が深まります!!』
確かに、毎日のように小早川さんが真正面に座っている状態で過ごす部活は、なんだか圧迫面接を受けているようなストレスを感じていた。
そこにホノカの天才的な提案である。
テレビの方を向けば、小早川さんが視界から消える。
さらに、ホノカとゲームができる。
あと、大事な事なのだが、小早川さんに僕のオタク力を見せつけておかなければならない。
彼女もそれなりにオタク力がある事は認めよう。
アメリカ育ちでその知識量はすごい。重ねて認めよう。
だけど、ここはハッキリさせておきたい。
どちらがより優れたオタクであるかを。
ひいては、より優れたオタクこそが、ホノカに相応しいのだと。
そうだとも。
最近、ホノカが小早川さんのところに遊びに行く頻度が増えているから、ジェラシー燃やしているのだ!!
女々しいと言ってもらっても構わないけど、女々しいって言葉自体が微妙な立ち位置にあるから、同士諸君は気を付けて罵ってもらいたい。
ちなみに、『女々しくて』はセーフ。盛り上がるから。
ゴールデンボンバー、また紅白に出ないかな。
「小早川さん、好きなゲームを選んで良いよ」
「いいの? じゃあ、えっと、これがいい!」
意気揚々と取り出したのは、大乱闘スマッシュブラザーズ。
ふふふ、愚かな。策に溺れたね、小早川さん!
僕の操るリンクがどれだけ強いか、ご存じなかったとは、お気の毒さま。
だけど遠慮はしない。
相手が女の子だろうと、手加減しないのが僕のジャスティス。
ただし、ホノカには優しくしちゃう。
『わたしはネットワークから参加します! ではでは、やりましょう!!』
「えへへ。楽しみ。来間くん、きっと強いよね」
それぞれがキャラクターをチョイスしたら、ゲームと言う名の戦争開始。
覚悟はよろしいか。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ごめん。ちょっとアレだなぁ。なんかラグがあるんだよね、僕のswitch。おかしいなぁ。ちゃんと入力してるんだけどなぁ」
分かっている、同士諸君。何も言うな。
スマブラでラグの話を始めたら荒れる。
しかも、それは己の無力を認める事と同義。
だけど、その上でちょっとだけ語らせて欲しい。
小早川さんのディディーコングが鬼強いんだけど。
そのトリッキーな動きは捉える事ができないし、僕のリンクをすぐにぶっ飛ばしてくるし、トマト出たと思ったら秒で取るし。
そしてホノカのプリンには攻撃できない。
もう、女の子が好きそうなキャラと言えば、ピンク色してるって相場は決まっているし、ホノカもプリンも可愛いので、手の出しようがない。
「そうだったんだ。やっぱり。来間くんがわざと手を抜いてくれてるのかと思った」
「きぃぃぃっ! ああ、いや、失礼。そうなんだよ、ちょっと手心をね」
『でも大晴くんのリンク、CPUのパックマンにもやられてましたよ! あはは!』
だってCPUレベルマックスにするんだから、仕方ないじゃない!!
僕はホノカを攻撃できないし、パックマンはウザいし、ディディーコングは煽りがムカつくし!!
ここは、戦略的撤退をする事にした。
別に、スマブラ強いからってオタクの優劣が決まる訳でもないし。
そこに固執することもないかなって。
「ちょっと違うゲームもしようか。小早川さん、こうやって並んでするゲームってあんまり経験ないんじゃない?」
適当な言い訳をつけて、クールなヒロインの攻略に掛かる僕。
まさに外道!
「うん! あ、おっきい声、ごめんなさい。すっごく楽しい。次は何しようか?」
『はいはい、はーい!! ホノカは桃鉄やりたいです!!』
ホノカさん、素晴らしい提案をしてくれる。
桃鉄は、持てる知略を総動員しても運の要素が強い、思った通りの結果がなかなか出せないゲーム。
そこに活路がある。
「私、古いヤツしか知らないけど、大丈夫かな?」
「平気、平気。やってる事はほとんど変わってないから! やろう、やろう!!」
僕の復権。小早川幕府が強権を掲げるのもここまで。
王政復古の大号令だ!!
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ちょっ!? なんで!? あっちいけカードで被弾率、僕だけ高すぎるよね!?」
『大晴くん、悲しいけどこれ、戦争なんです!』
「いいさ、ゴールは広島! このまま振り切る!!」
「私、ばちあたりカード使うね。来間くん、ごめんなさい」
「ちょっと!? 嘘だろ!? あ、僕の出雲そばがボンビーに売られていく」
短期決戦の桃鉄では、物件の買い占めが肝要。
そして、今、うちのボンビーが苦労して育てた出雲駅の買い占めを瓦解させた。
そのついでにキングボンビーになった。
目的地のうんちはまだ消えない。
ハメ技じゃないか!!
事が事だけに、下手すると友情にひびが入る悪質プレイ。
だけど、ホノカとの絆は強固に出来ているので無傷!
そして、小早川さんとは桃鉄がきっかけで崩れるほど絆がまだない。
『やりましたぁ! ホノカが一番ですよぉ! ふんすっ!!』
「んー。負けちゃった。二番だね。でも、すっごく面白かった」
僕の成績?
負債が500億越えた辺りからよく覚えていないけど、多分健闘した方じゃない?
順位ってさ、無理に付けない風潮らしいし。今の世の中さ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
『ふぃー。3人でゲームすると、楽しいですねぇ! 大晴くんも心なしかいつもよりも表情が引き締まって、イケメン度マシマシです!!』
「ホントに!? ……この苦境に耐えた事にも意味があったのか!」
「うん。ゲームしてる時の来間くん、コロコロ表情が変わって面白いね」
「……ちょっと待って? 桃鉄は良いとして、スマブラでも僕の表情見ながらプレイしてたの?」
「そうだよ? あ、嫌だった? だって、来間くんすごい顔するんだもん。ふふっ」
「それは多分、ディディーコングのせいかな」
ちょいと新入部員に社会の厳しさ教えてやるわとイジワルなお局様を演じたら、見事にざまぁされた。
これが今流行りの……!
こうして、『小早川美海はゲームが強い』という情報が僕の脳内に増えた。
しかし、これは結構大事な記憶。
次からは、協力プレイ系のゲームをチョイスしよう。
時代はイカだよ、イカ!
『あれ? 大晴くん? そう言えば、今日って博士のお夕飯作るんじゃありませんでしたか? もう6時半ですけど』
「ああ、熱中し過ぎて完全に忘れてた。まあ、多分大丈夫だよ。……ご飯炊いてなかったなぁ」
帰宅後、キッチン付近で倒れている親父を回収。
自分の体力ゲージの減りに気付かないとは愚かな。
だけど、今日は自分も結構な勢いで愚か者な気がして、速やかに晩ごはんの準備をする僕なのであった。
「なかなか良かった!」
「続きが気になる!」
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