第4匹 ナギの憂鬱
透き通る銀髪オッドアイちゃんだった事実を知ったホテルを出て、冒険者パーティと外に出た。
しかし、冒険者パーティとは別れたい。
事件の火種になられたらめんどくさい。
「それじゃあまた、出会うことがあったら……」
「え、待ってよ。」
魔法少女よ………ごめん、タイプじゃない。
よって、待てない。
「いや、色々用事があって……なのでまた……」
「いや、だから………待ってって。」
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彼女がしつこいのは、他でもない。
国王付きの女性補佐の命だった。
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「しつこいです!!」
「あっ………」
「いや……そんなつもりじゃ、なくて。」
魔法少女は泣いてしまった。悪いのは、俺?
「あらあら、どうしたの。」
日本では見ることない貴族衣装に身を包む女性。
そして、日常で聞くことはなかった「あらあら」を異世界で初めて聞くことになった。
「あれ?ナギちゃんじゃない?」
「え?」
あったっけ?いや、そういえば王様と話してる時いたような気が……
「王様の奥さん?」
「いや、付き人よ。誰があんな男と……」
頬を膨らまして言う。
少し経つと、オタ受けのいいボブカットをなびかせながら質問してくる。
「ねぇねぇ、付き合ってる人とかいるの?」
「いや、今は……」
これは、アニメや漫画で見た恋愛フラグ。
異世界ではどうか知らんがこれはチャン……
いや待てよ。
今、俺は少女で……相手はお姉さんで……
んん?フラグじゃない?
せめて、分かりやすく好きな人とか聞いてきたら………
「好きな人とかは?」
「いや、今は……」
あれ?どっちだ?あれ?
そんな他愛ない恋愛話を続けていると、痺れを切らしたように冒険者パーティは朝の街に消えていった。
この恋愛話好き系お姉さんは、
どういう意図があって話しかけてきたのか分からないけど、いい出会いだった気もする。
この世界について、色々教えてくれそうだし。
一応、名前ぐらいは聞いておくかな。
「お姉さんは、名前なんて言うんですか?」
あれ?口が半空きで動きが止まった。
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お姉さんは凪に「お姉さん」と呼ばれたことで、
脳内がトゥクントゥクンしていた。
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「あの、名前……」
「あ、あぁえっと名前はロアっていうの。」
急な幼児口調で、話が入ってこない。
「ナギちゃんは朝食べた?」
「いや、まだ……」
「実は私も!」
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ロアはゴリゴリ朝食を食べている。
しかも、今日ある会議に向けて目一杯。
そして今は、隙あらばどう落としたものかと、
狙いを定めていた。
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「じゃあ、一緒に食べに行かない?」
「いいんですか。ロアさん。」
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ロア……さん。
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あれ?また止まった。どうしよう。
「おーい。おーーい。」
返事がない。ただの屍のようだ。
ていうか、本当に気を失っていた。
「何あれ?」
「可哀想に……。」
ん?周りの人が何やらザワザワしている。
見ると、その中心には砂まみれの女の子がいた。
「助け……てお腹が空いて……」
と言うと、その少女は倒れて動かなくなった。
やれやれ、また屍が増えた。
そんなことがあり、今ナギちゃんはレディーたちをマグロ筋で抱えて歩いている。
両脇に花状態である。
さて、この酒場に入るか。
その店の名は、「リーリヤ」
イカ墨少女 保科 舞 の日記
夜も眠れず、仕方なく歩いてると、大きな街に着きました。
ボロボロになりながら高い高い壁に反って歩くと
膝くらいの高さの穴が空いていたので、入ってみると、綺麗な街がありました。
でも、はしゃいでると、お腹が減ってきたなぁ。