第14匹 竜と鬼と娘たち。
「ロアさん……落ち着いて。」
「わかった。」
「へぁ!?」
あっさりすぎて見せ場がない。
さっきから、ろくなバトルが展開されてない。
いつまでたってもバトルがないんじゃ尺的に困ってしまう。主に作者が。
「でも、そいつはボコす。」
「おい、ロア!口が悪いぞ。らしくない。」
駆けてきたリコさんは、鬼人化に何も言及しなかった。 知ってたのかな。
「それでリコはなんでメイド服?」
「コスプレしてたら、敵が……。ともかく、シア捕まえないと!」
何故かリコさんは、嬉しそうに言う。
ロアさんの友達ってことはまさか…いやいや。
シアは被疑者のリコさんに任せるか。
「シアはお願いします。」
「うん、任された。」
「え〜、ナギちゃん……」
「大丈夫。また会えるし。」
キャラデザがしっかりしてるしな。
そんな、戦いの後のちょっとしたブレイクタイムをよく思ってない人がいた。
「呼び捨て。キス。再開フラグ建築………。」
「え………。」
「狡いなぁ。ほんとに。」
ロアさんは、目がいっている。
「ロアさ〜ん?ロアさ〜ん?………まじかよ。」
残念な状況と同時に、上空で大きな鳴き声のような声が聞こえる。
「キヤァァアマ!」
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ここは、上空200m。
今例の2人は、中に入って王様救出を試みていた。
王は、傷つき気を失ったまま倒れている。
「なんかいますね。」
「あいつ……元帥?」
「ゲンスイ?」
「嫌いな奴……」
その部屋には、2人の先客が居た。
1人は、白装束に身を包みフードを深く被っている。
そしてもう1人は、床に倒れ込みもがく元帥。
「うぐっ………。う、うぅ。」
「苦しそうですよ?」
相変わらずマイペースなマイだった。
その時、白装束の男が口を開いた。
「小娘たち。そんな格好で何してる。」
秒でバレた。
それもそのはず、部屋に入ったあと身を隠していたのは、月光の差し込む部屋のカーテンだった。
要するに姿はバッチリカーテン越しに見えていた。
そう、2人は馬鹿だった。
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「なに?あの声……。」
そういや、2人置いてきたんだった。
「行かないと………。」
そう呟いた瞬間に、空から5m程の竜人が……
いや、竜鬼が降ってきた。
見た目は竜人のそれだけど、額からは角が生えていて、目は赤黒く光っていた。
「うっ。部分変化筋肉・カジキ」
着地してすぐ、攻撃を仕掛けた。
しかし、ボスっぽいやつに初撃が当たる訳もなく……。片手でいなされ、吹き飛ばされた。
「ぅう。」
「てめぇ、ナギちゃんを……」
覚醒ロアさんは、竜鬼の拳の攻撃を二本指で受け止めた。
それと同時に、竜鬼のうめぎ声と共に右腕がバキバキに折れる。
ノーモーションボコしだった。
これは、さすがにシアにはさせたくない。
偽りの牢獄 ついに最終回。
やっと着いた部屋では、リーダーのヨフタヤが王をなぶっている途中だった。
「やぁ、元帥。やっと来たか。」
歳下で上司のヨフタヤには逆らえない。
機嫌をとるのも大事な仕事だ。
「すみません。」
社会では、理不尽は当たり前だがいつまでたっても慣れはしない。
「いやいい。それより、早速仕事だ。」
「仕事?」
「こっちに来い。」
元帥は何も、見当がつかないまま歩いていった。
ヨフタヤの前に来た元帥の手首には注射器の針が刺されていた。
刺したのはもちろんヨフタヤである。
「竜鬼になる仕事だ。簡単だろ?」
その瞬間、元帥は酷い発熱と鈍痛に襲われた。
徐々に視界が真っ暗になる。
音が聞こえなくなり、やがて感覚が消えた。
どうして、こんなことに。
元帥には2人の子供がいた。
子供は、2人とも家を出ているが、今も尚慕ってくれていていい関係だった。
妻は、がんを患っていた。
医療制度の整っていない母国イルキースでは、治療が高額だった。
そのため、死ぬ気で働いていた。
お金も溜まってきて、最後の仕事として任せられたこの戦いで、運命は一変してしまった。
彼は、何を信じれば良かったのか。
そんなこと分からなかった。
ただ、愛することは間違っていないと信じたかった。




