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これ何て死にゲー?  作者: このは
3/12

3話でも死にゲー

ここまでお読みいただいたことにただただ感謝です

「おー、勇者モゲゲよ。死んでしまうとは情けない。ゴミカス以下の存在であっても再び立ち上がり魔王を打ち倒すのだー」


台詞はともかくとして、抑揚のない透き通った綺麗な声だな。と思った。


途端、骸骨の牙が迫り来る映像が瞼の裏にフラッシュバックし、体がビクン!と跳ね上がり意識が覚醒した。


・・・・・・ここは天国なのだろうか。

一面に見たこともない綺麗な花畑が広がっている。

何とも言えない良い香りのする花々のど真ん中で、緊張のまま思わず正座した僕がいた。


ふと目の前に、掌大の女性がふわふわ浮いている事に気が付いた。


オーラの様な仄かに光輝く輪郭の中に、透き通った水色の長い髪をした綺麗なお姉さんが、羽衣の様な衣装を着てふよふよ浮かんで立っていた。人間離れした綺麗な顔立ちに見惚れていると、女性の小さな口がゆっくりと開いた。


「あなたは死にましたー。名前を記入してくださーい」


無機質で何の感情も感じさせない声だが、間延びした感じがミスマッチで独特だなと思った。

ヴンというブラウン管テレビが起動する時と同じ音がして、僕と女性との間にゲームでよくあるステータスウィンドウの様な画面が開く。


「ねーむ」と書かれている項目の横に「ゴミクズデ・ショウ・モゲゲ♡」と記載してある。

これが、僕の名前・・・ということだろうか?何の嫌がらせだ?という言葉を発するまでもなく嫌な顔が表情に出ていたのか続いて女性は言った。


「変更可能でーす。名前の変更をしますかー?いいえー。それではあなたの名前をゴミクズデ・ショ・・・「ちょっと待ったあ!変更!変更を希望する!ていうか一体何なんだ!?どうなってるんだ!?あんた何なんだよ!?」ブブー!文字数が多すぎまーす。」


「そうじゃない!そういう意味じゃなくて!一体何が、何がどうなっているんだ!?全くわからないんだ!説明してくれよ!どういうことなんだよ!?」


女性は面倒くさそうに一つため息をつくと、両手を顔の横にやって「やれやれ」と言葉には出さず首を振った。


「一つ一ついきましょー。あー今のいきましょーは、生きるという意味でありませーん。あなたは死にましたからー。」


無表情なのにどことなく楽しそうだ。でも!そういうのいらないから!


再び「やれやれ」のジェスチャーを女性が披露する。ちょっとイラッとした。


「はーい。名前ー。変更するのなら勝手にどーぞ」


何であんたが不機嫌そうなんだよ!?

色々突っ込みどころ満載だが話が進まないので、ほっといて名前を変更することにした。

便利なもので思っただけで文字の消去や入力は行えた。


「あららぎ このは」


「本名ですかー。まーいいでしょー。いつでも変更できますよー。死人に名前なしでーす。次にステータスの割り振りでーす。」


ゲームか?ゲームなのかこれは?それとも天国や地獄というあの世が実はこういうシステムなのか?疑問に次ぐ疑問で頭が大パニックだ。


「あー、やっぱりー、ステータスは触れなくて結構ですー」


何故だ?またしても疑問だ。ステータスとやらに目を向ける。


あららぎ このは

レベル1

性別:男(肥満デブ)

体力:1

精神力:1

力:1

防御力:1

すばやさ:1

もういいでしょ?諸々:1よ♡



・・・・・・な、なんだこれ?肥満デブとかただの悪口じゃないか!?


「事実でーす」


「いや、人の心読まないでよ!?それになんだよ!?もういいでしょ?諸々:1よ♡って!?」


「記載の通りですー。スキルはありませーん。それでは説明しますよー。いーですかー?」


「良くないよ!?なにこれ?体力1とか!僕、縛りプレイとか興味ないからね!?断固抗議するよ!!」


「そーですかー。ご苦労様でーす。それでは説明致しまーす」


この人(?)に何言っても無駄だあ。心底そう思った。


「私の名前はーセフラ」


セフラ?セフ〇っぽい、なんか卑猥な響きだなwなんて思いかけた瞬間!


バシュウ!

目にもとまらぬ光の一閃が僕の頭部を貫いた。僕は・・・死んだ。



「おー、勇者モゲゲよ。死んでしまうとは情けない。ゴミカス以下の存在であっても再び立ち上がり魔王を打ち倒すのだー」


ここからかい・・・っていうか殺したのあんたじゃないんか?


「ていうか、モゲゲやめぃ!!」


思っただけでも殺されてしまうなんて一体全体何なんだよ・・・。


「あなたはー勇者としてー様々な地に赴く事になりましたー。おめでとーございまーす」


何の抑揚もなく、ただただ間延びした感じでセフラを名乗る女性はそう言った。

そしてどこからかパン!パン!パン!とクラッカーが鳴る音が響きわたる。ビクッと驚く僕の頭に降り注いだのは多量の細かく刻まれた色紙だった。本当にただのクラッカーだったようだ。

セフラと名乗った女が無表情のくせして、愉快なものでも見るかのような視線を向けていた。


「それではー、最初の地へ逝ってらっしゃいませー」


・・・・・・へ?そんだけ?説明終わり?ちょっと待ってくれよ!


「待ってくれ!聞きたいことがまだ・・・」


言い終わらないうちに僕の意識は一瞬で吹き飛んだ。


お目汚しを失礼します。益々精進させていただきます!

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