転生王女の真っ黒政権〜婚約破棄は裏から操り、新しい扉は開かせ、都合の良い真実の愛を芽生えさせよう〜
悪いことしまくりで人を破滅させるのが得意な真っ黒王女の話です。
こんにちは皆さん。
私はとある大国の第13王女です。
突然ですが私、転生者です。
いわゆる異世界転生って奴です。
今時珍しいのですが、異世界にはトラックにひかれたり、魔法陣に飲み込まれたりはせずに穴に落ちて行きました。
まあ、穴に落ちてその落下の衝撃で死んだのですがね。
で、気が付けば赤ん坊だったわけですよ。
最初は魔法の存在に興奮しまして、さらに王女という身分で生活面では安泰だと安堵しました。
異世界に転生したわけでまあしばらくはうきうきとした気持ちでいたのです。
それもすぐになくなってしまいましたがね。
皆さん、後宮というのはとても怖いところです。
ぶっちゃけ王女になんて生まれたくありませんでした。
私は何人もいる側室の一人から生まれたのですが、それはそれは身分の低い母から生まれました。
乙女ゲームよろしく、王が身分の低い母を愛してその真実の愛の結晶として私が生まれたのならいいのですが、残念ながらそのようなことはなく、ただ単に容姿のきれいな母を王が気に入って無理やり囲い込んだだけです。
というか私が生まれたから母は側室になったわけですね。
で、私の肩書である第13王女からも分かるように王には正室も他の側室もいます。
この人たちは子供も含めてだいたいは後宮にいます。
となれば始まるわけですよドロドロの戦いが。
嫉妬や権力など様々な理由で女たちの戦いは繰り広げられます。
口による嫌味なんてかわいらしいほどです。
毒殺暗殺なんでもござれのドロドロ合戦です。
この数年で何人の側室の方が亡くなられたことか。
そしてその争いは女たちだけにとどまりません。
主な理由として権力争いですが子供たちにまで被害が及びます。
といううか弱い子供にターゲットを絞って攻撃してくることもしばしば。
王子なんて最悪ですね。
あの人たちなんか潜在的に暗殺の危機に瀕していますから。
王子が殺されるなんてかなりの大問題なのでそうそう殺すことはできませんが、それでも権力争いで殺される危険が潜在的に高いです。
まだ王位継承の低い王女の方が身の安全が保障されています。
王女に生まれてよかったかもしれません。
まあ、暗殺されたりとかはよほどのことがない限り起こりませんしそこまで頻繁に起こる事ではないですね。
その代わり虐めとかはよくありましたよ。
一番ターゲットになったのは母でしたね。
先ほども言ったように母の身分は低いです。
貴族ではあったのですが、まあ、一番低いです、
男爵家の庶子だったかな?
ふわっふわのザ・ヒロインみたいな見た目でしたけど残念ながら現状はヒロインとは程遠いです。
幸せとは程遠いです。
思えば母もかわいそうな人ですね。
あんな人に目を付けられなければ幸せに生きていけたはずなのに。
一番身分が低いためストレス発散のための生贄となっています。
要するに後宮内のいじめのメインターゲットが母なのです。
身分が低いので虐めても問題にならないと皆様思っていらっしゃるのですよね。
侍女ですらほとんど見下していますし。
そんな状況でも王は何もしません。
王が気に入っているのは母の容姿だけですからね。
それに気に入っている人はほかにもいます。
あいつはただの女好きなだけです。
母のは何もしません。
そしてそんないじめにも耐えられるほど強い人ではないので最近はすぐに倒れます。
たぶんもう死にますね。
何とかしてあげたいのですが残念ながら私はまだ赤ん坊です。
なんともならないのですよ。
ははは、私は無力です。
苦しんでいる母一人助けることが出来ないなんて。
転生してもチートなんてないんですよ。
いえ、一応あるにはあるんですけどね。
私固有の能力なのかはわかりませんが。
でも今はチートには程遠いです。
神様、私はチート能力が欲しいです。
母を守れるような力が。
そして月日は経ち、母は死にました。
妹を生んで。
あんな今にも死にそうな状態で妊娠して妹を生みました。
妹だけでも無事なのは奇跡な状態でした。
母は弱くて不幸な人でした。
でも私と妹は守っていました。
何もできない母でしたが私は大好きでした。
今までありがとうございます。
これからは私が何とかして見せます。
せめてこの子が幸せに暮らせるように。
そのためならどんなことでもしましょう。
ー▽ー
さらに月日は経ち私は立派なレディーの一歩手前になりました。
はい、まだ13歳です。
それでもだいぶ前に後宮から王宮に住むようになったんですよ。
まあ、あそこに住むのは子供の間だけですけどね。
いろいろあって成長したのですが、はっきりいってこの国は腐っていやがります。
後宮なんてまだかわいい方です。
賄賂や罪の擦り付けは横行しているし、有能な人は左遷されたり処刑され、クズな有能や無能は重宝されています。
まあ、賄賂でだいたい決まっている感じですね。
そしてその賄賂の資金を捻出するために各地で税が上がって国民は貧しい。
さらには派閥争いでまとまらない内部。
兄たちも成人している人もいますからね。
そろそろ王位が王から譲られる時期です。
一応王太子は決まっていますが、どうなることやら。
一度変わっていますし。
そしてそんな状況で外部からの圧力。
左遷された有能な人達が頑張っていますがいつ戦争が始まるかわかりません。
一応この国は大国なのですが、いまの状態だと負けるでしょうね。
まあこんな国滅べばいいとは思いますが、そうなったらなったでかなり困るのですよ。
ほら私たち王女ですし。
処刑されるかもしれません。
大国故にかなりあくどいことをやってきたわけですし。
そしてそんな混乱を収めるはずの王はといえば、何も考えていなかったりするんですよね。
いえ、女のことは考えているようです。
このままでは第二第三の母が生まれることでしょう。
まあ、今の状況を簡単に言えば難易度ヘルです。
このままでは確実に幸せにはなれません。
私も妹も。
ではどうするか。
決まっています。
私も派閥争いに参加します。
第13王女なんて王位継承権があってないようなものですが。
しかし、私は転生者。
育ったチート能力があります。
今はチートと呼ぶにふさわしい力となりました。
これを駆使して派閥争いを勝ち抜きます。
そうしないとたぶん母以上に不幸になるんですよね。
私も妹も。
ちなみに私のチート能力は見通す力です。
しょうもないと思うことなかれ。
千里眼的なのも出来ますし、魔力とかも視ることが出来ます。
やろうと思えば近い未来を予見したり人の心を視ることだって可能です。
他にもいろいろできますよ。
この力のおかげで暗殺を防いだりできたんですよ。
それに人の心を視れば私に心酔するように誘導することが出来ます。
つまり味方なんていくらでも増やせるし、私に対して裏切りをすることなんて不可能です。
人の心を視るのは結構きついのですが仕方ありません。
ふふふ、兄たちは派閥争いで足の引っ張り合いに夢中ですが、周りにいる人達はそこそこ無能です。厄介な人たちもいますが、数は少ないです。
身分が低くても有能な人たちって探せばいるんですよ。
それにあなたたちが追いやった人たちもいます。
数は力なりです。
とりあえず派閥争いに一石投じます。
石と言っても特大の爆弾を投げるとしましょう。
ー▽ー
というわけで味方を増やしましょう。
いえ、すでに数と能力では結構いるのですが、いかんせん身分的に役に立つ人がいないんですよね。
つまり、派閥争いに参加するための後ろ盾となる大物貴族の味方が必要な訳ですよ。
まあ、そんな人なんて都合よくいないんですけどね。
そんな大物貴族はすでに誰かのお兄様の後ろ盾となっています。
ではどうするか。
簡単です。
ないならあるところから奪えばいいのです。
しかも奪うなら一番の大物を。
私の狙いは最大派閥である現王太子派のトップであるガルウェン公爵です。
最大派閥のトップなだけあって能力は高いし、権力もある。
何より後ろ暗いことを許容範囲でしかやっていない。
え、後ろ暗いことをやっているクズ野郎じゃないかって?
政治は綺麗ごとだけではないですからね。
いうなれば必要悪です。
彼の場合はそのことを自覚しているので問題はありません。
他にも能力も権力もある人達もいますが、彼らは許容範囲外です。
もろ自分の利益しか考えていませんからね。
まあそんな彼らをも差し置いてガルウェン公爵はかなりをお買い得品なんですよね。
能力的にも性格的にも。
権力も能力もあるおかげで左遷もされずに中央に居残り続けていますし。
しかし、そんな彼にも欠点があります。
娘に激アマなのです。
娘さんが今の王太子のお兄様に一目ぼれして、よーしパパ頑張っちゃうぞとした結果、婚約者になっちゃったんですよね。
それ故に王太子のお兄様の後ろ盾となっているわけですが。
あ、ちなみに当時はそのお兄様は王太子ではございませんでした。
いろいろあってなったんですよね。
一応正妃様の子供ですし王位継承権が高かったのもありますが、彼が王太子になれたのは公爵が頑張ったからですね。
あのお兄様はわがままなただの子供ですし。
あ、今時は俺様系っていった方がいいですかね。
実際は顔だけしか取り柄がないんですけどね。
なんであんなのに娘さんは惚れたのか。
あ、顔ですね。
一目ぼれですし。
とにかくこのお兄様は俺様系の王子様なのですよ。
だからこそ公爵さんを手に入れるのは簡単なんですけどね。
実はお兄様、貴族が通う学校に通っていまして。
とある男爵家の庶子と出会いまして。
真実の愛に芽生えたらしくて。
もうすぐ卒業でして。
卒業記念パーティーがありまして。
そこで婚約破棄をするらしいのです。
わー、どっかで見たことっがあるシュチュエーションだなー。
きっと他にも真実の愛に芽生えた方がいらっしゃるんだろうなー。
きっと公爵の娘さんは傷つくんだろうなー。
可愛そうに。
きっと不当な理由に違いありません!!
同じ女の子として味方になってあげないといけませんね。
ふふふ。
ー▽ー
「イザベラ・ガルウェン!! この場をもって貴様との婚約を破棄する!! そして新たにマリアベル・ベイオークと婚約をここに宣言する!!」
はい、きました!!
婚約破棄宣言!!
いやー、生きている間に実際に聞くことになるとは思いもしていませんでした。
「な、何故ですか!? わ、わたくしは婚約を破棄されるようなことは何も」
「知れたこと!! 貴様は公爵令嬢という身分を振りかざして愛するマリアにーーーーーーーーーーー」
あー、はいはいテンプレテンプレ。
いやー、聞くに堪えませんね。
やれドレスを破ったとか、やれ階段から突き落として殺そうとしたとか。
イザベラさんはそんなことしていませんよ。
あ、イザベラさんって公爵の娘さんですよ。
まったくこのお兄様は何を言っているのですかね。
イザベラさんはとてもお兄様の事を思っているのに。
マリアベルとかいうヒロインちゃんのこと知っても一時の気の迷いだと健気に待ち続けたのに。
本当に見る目がないですね。
あーあ、かわいそうなイザベラさん。
今にも倒れそうじゃありませんか。
まあ当然ですね。
一途に慕って来た相手から嫌悪の視線が向けられて。
その相手はほかの女を大事そうに抱えて。
それどころかさらにその女を守るように騎士団長の息子とか自分の弟とかも舞台に上がって自分を非難する。
1人の女の子に向かってなんてひどいことを。
同じ女の子として味方をしてあげないといけませんね。
「お兄様、話は聞かせていただきました!!」
バーンと扉をあけて会場に勢いよく入場します。
そしてしっかりした足取りでイザベラさんの前に立ちます。
「なんだシスティーナ。今は大事な話をしているんだ。今すぐ帰れ!!」
あ、システィーナというのは私の名前です。
主人公の名前がこんなに後になるなんて。
作者は何を考えているのでしょうか。
何を言っているのかって。
ふふふ。
知っていますよ。
全部見えていますから。
まあ、今はそんなことどうでもいいですね。
「そうはいきません。大勢の男性が一人の女性に寄ってたかって虐めるとは何事ですか!? 王侯貴族として、いえ、一人の人間として最低ですよ!!」
ここでイザベラさん対して私は味方だとアピールしつつ彼らの印象を下げる。
だって事実ですもん。
問題ないですよね?
「な!? 貴様、兄に向かって何て事を」
「でも事実ですよね?」
そしてそんなことを一度も言われたことがない頭パッパラパーなお兄様は私の言葉に対して綺麗なお顔を真っ赤に染める。
まあ、甘やかされて育ってきましたしね。
誰かさんの努力のおかげで暗殺も今までされませんでしたし。
いろんな世界があるなんて知らないのでしょね。
だからこそ俺様系なのでしょうが。
「黙れ!! いいかシスティーナ。イザベラはなーーーーーーー」
あーはいはい。
さっき聞きました。
そこのヒロインちゃんを虐めたんですね。
階段から突き落としたんですね。
そんな女よりヒロインちゃん方がいいのですね。
ヒロインちゃんはみんなに優しい聖女のような存在なのですね。
「わかったかシスティーナ。」
「ええわかりました。お兄様方がこんなにも愚かだということが」
「なんだと!?」
さて、ガルウェン公爵を手に入れて派閥争いに参加するためにもあなたには消えていただきますよお兄様♡。
「だいたい、なんですかあなたは」
懐から扇子を取り出してヒロインちゃんに向ける。
「わ、私!?」
なにをそんなに驚いているのやら。
「あなた以外いませんよ。たかが男爵家の分際で王太子であるお兄様に近づいて、しかも婚約者がいるにもかかわらずお兄様を誘惑するとは。しかもお兄様だけには飽き足らず他の方々まで誘惑して傅かせる。知っていますよ。あなたのような人の事を淫乱というのでしたね」
侮蔑の目を向けながらはっきりという。
そのとたん、お兄様方から非難の嵐。
いえいえ、事実を言ったまでです。
マリアはそんな女じゃない?
謝れ?
ふふふ。
誰に対してそんな口をきいているのですか?
私は仮にも王女ですよ?
お兄様以外不敬罪を適用しましょうか?
さて、ここからさらに油に火を注いでいきます。
ふふふ。
皆さん顔が真っ赤ですよ。
ゆで蛸みたいです。
あ、たこ焼きが食べたくなってしまいました。
「もう我慢ならない!! お前今すぐマリアに謝りやがれ!!」
案の定耐え切れなくなった一人が私に向かってきます。
騎士団長の息子さんです。
狙い通りです。
彼が一番怒るように言いましたからね。
騎士団長の息子なだけあって鍛えていますが、まだまだですね。
動きが丸見えです。
どう動くかも先読みすることなんて簡単だし、どうしたら相手が転ぶかなんて簡単です。
最後の一歩を踏みだして私に触れようとする瞬間、足をかけます。
完璧な角度とタイミングならこれだけで案外転ぶものですよ。
「お前? 誰に対しての物言いですか? それに王女である私に手をかけようとするなんて。衛兵、この者を捕えなさい」
彼はあとで使いますからね。
ここでひとまず退場していただきます。
あ、この衛兵たち。
私の手の者です。
お仕事が早く、大変優秀なので流れるようにして騎士団長の息子さんをどこかに連れて行きました。
お兄様が止める暇もないくらいに。
続けざまに次のカードを切ります。
予定より早くに来てしまいましたが、まあ、いいでしょう。
間髪入れずに現れるのはガルウェン公爵。
「お父様」
「うむ。イザベラ、辛かったな」
ガルウェン公爵はすぐさまイザベラさんの元もまで行き優しく慰めます。
イザベラさんをこのようにしたお兄様方に怒り心頭です。
「はい、でも、システィーナ様がわたくしに手を差し伸べてくださったのです」
「そうか。システィーナ王女殿下。ありがとうございます」
「いえ、一人の女性を複数人で虐めるなんて言語同断ですので。それに困っている臣下を助けるのは王族として当然のことです」
「まだ幼いのになんと立派な。このお礼は必ずいたします」
「ええ、楽しみにしていますね」
はい、後はガルウェン公爵にお任せしましょう。
彼に任せておけば安泰です。
結論からいきますと、婚約は破棄とヒロインちゃんの確保でその場は解散ですね。
イザベラさんは恋は盲目状態から覚めたし、ヒロインちゃんは他国とつながったスパイだと分かり実家は没落。
お兄様方は無事ですが、派閥の力はガルウェン公爵が抜けたことにより激減。
この件の醜聞もありますし彼らは終わりですね。
ふふふ。
全て計画通りです。
全てはお兄様がヒロインちゃんに興味を持ったことから始まりました。
ヒロインちゃんは別に他国とつながっていません。
一応実家はつながっていますが全体的に見れば微々たるものです。
ヒロインちゃんは本当に何も知らないんですよ。
私がしたことは人と情報を用意しただけです。
ヒロインちゃんには、お兄様とお兄様に近い人たちの情報を提供するとある子爵家のお嬢様を。
そのお嬢様はわたしの手駒の一人です。
彼女にヒロインちゃんにお兄様たちの居場所とか好きな事とか教えてあげたんですよね。
恋愛ゲームとかの親友キャラのごとくなぜお前がそんな情報を知っている? みたいな情報を。
ヒロインちゃんも王子様とかお姫様とか大好きな夢見る少女です。
お兄様たちに近づけてうまくいって暴走してしまったんですね。
でもだからって逆ハーはいけませんよ。
あ、ちなみに彼女が受けていた虐めは半分は不幸な行き違いです。
子爵家のお嬢様が自分のドレスとか切り裂くのが趣味で、自分のドレスに似ているヒロインちゃんのドレスを間違って切り裂いてしまって、謝ろうにも虐め疑惑が出て謝るに謝れなかったんですよね。
でもお嬢様はいい子だから弁償したんですよ。
代わりのドレスをヒロインちゃんは受け取りましたもんね。
持つべきものは友達だと勘違いされていましたが。
あと、最後の階段だけはヒロインちゃんが自分から勝手に落ちました。
たまたま、階段を降りようとしたヒロインちゃんの後ろの窓から突風がふいて。
たまたま、落ちてきたヒロインちゃんをお兄様が受け止めて。
たまたま、イザベラさんに似た後ろ姿をした人が近くにいてお兄様がそれを目撃しただけです。
イザベラさんにはこの時アリバイがありましたしね。
イザベラさんに人を階段から突き落とすなんて恐ろしい真似はできないのです。
本当に事故とは恐ろしいものです。
私が王城から学校のほうに向かって放った風の魔法がたまたまそんなタイミングで人を一人突き飛ばすくらいの威力になって誰かに当たるなんてことにならないように周囲に注意して魔法の練習をしないといけませんね。
ちなみに、遠くに小さな魔法を飛ばすのは大の得意です!!
あと、なぜあの場にガルウェン公爵来たかというと私が情報を流しただけです。
公爵家の影の方にガルウェン公爵に伝えるように頼みました。
決定的な証拠とともに。
娘に激アマなガルウェン公爵なら絶対に飛び出して特急で会場に来ますからね。
タイミングよく伝えるようにお願いしたのです。
ちなみに影の方はわたしの信者です。
ちょっとお話したら簡単に崇めるようになってくれました。
これも日ごろの行いが良いからですね。
さてさてさて、ガルウェン公爵を味方に引き入れますか。
身内の不始末を理由に何度かガルウェン公爵の屋敷に行ってイザベラさんとお友達になっているんですよ。
女だてらしっかりした理想を抱いている私にイザベラさんは憧れをいだいています。
ガルウェン公爵にもイザベラさん経由で伝わっているでしょう。
ガルウェン公爵は娘に激アマですからね。
イザベラさんが私を応援したいって言ったらきっと応援してくれます。
彼には是が非でも私の後ろ盾になっていただかないといけませんからね。
とりあえず彼には宰相になっていただきませんと。
で、ゆくゆくは息子さんに引き継いでもらいましょう。
あ、ヒロインちゃんの取り巻きになっていた方ではありませんよ。
もう一つ下の息子さんです。
こちらはかなりの素質をもっているので大丈夫でしょう。
なんでこちらの息子さんはしっかりしているのに兄の方は残念なのか。
ちなみに兄の方はこの世にはもういません。
私はなにもしていませんよ。
ガルウェン公爵が家を追い出しただけです。
まあ、あんなあまっちゃんが市井にほぼ無一文で降りて生きられるわけございませんよね。
閑話休題。
無事、ガルウェン公爵には仲間になっていただきました。
ええ、ええ、わたしの理想に感銘をいだいてくれたようです。
多少お顔が青くなっていますが疲れているのでしょう。
今日はもう休まれた方がよろしいのでは?
大丈夫ですかそうですか。
まあ、しばらくは私の補佐をそれとなくしていただければいいので今までよりはお仕事も楽になりますよ。
イザベラさんと一緒にいられる時間も長くなりますよ。
これを機に家族サービスを存分にしてあげてください。
大丈夫です。
あの事は目を瞑りますから。
あ、これからもイザベラさんとは仲良くさせていただきますね。
おや、お顔が真っ青ですよ?
何か心配ごとですか?
大丈夫ですよ。
全てうまくいきますよ。
ふふふ。
ー▽ー
はい、お兄様が都落ちしました。
王太子の称号がはく奪されたんですよね。
まあ、婚約破棄を公然としたあげく王妃にしようとしていた人が他国とのつながりのあるスパイだったわけですからね。
こうなっても仕方ありません。
これで新たな王太子の座をかけての派閥争いがヒートアップしますね。
まあ、まだ表立って参加しませんが。
足の引っ張り合いなんてナンセンスですからね。
やるならば水面下から一撃で引きずり降ろさないといけません。
という訳で次の狙いは第3王子のお兄様です。
ここにも欲しい人材がいるんですよね。
文官はガルウェン公爵がいるので次は武官です。
このお兄様の評価なんですが武官にかなり高いんですよね。
側室腹なのですが、戦えば百戦百勝の常勝無敗の王子様です。
この人について行けば大陸制服も夢じゃない。
そう思って彼についている武官も多く側室腹ながら一大勢力を築いているわけです。
まあ、そんなすごいお兄様がいらっしゃったら私が行動を起こしている訳ないのですがね。
確かにお兄様は個人としてはかなり強いのですが、集団戦、つまり指揮能力はそんなにないんですよね。
ではなぜ常勝無敗の王子様なのか。
大国故の戦力差なのもありますが、一番の理由は影の英雄がいるからです。
その英雄とはハーゲイ伯爵。
若くして英雄の名に相応しい武力、知力、判断力、指揮能力を持っていますし、何よりもカリスマがあります。
彼のおかげでお兄様は戦に勝ち続けています。
実はお兄様の派閥の大部分はお兄様ではなくハーゲイ伯爵について行っているんですよね。
そのカリスマ性はとどまるところを知りません。
ぶっちゃけ彼が王だったらいいのにとすら思います。
まあ、ついて行っているのはちゃんと仕事をする立派な人だけですが。
他のお兄様について行っている人たちはダメダメなんですよね。
軍需物資の横流しはするは、碌に働かないわ、足は引っ張るは。
残念ながらお兄様はそんな人たちを重宝しています。
完璧にいいようにされています。
身分があるから尚更質が悪いです。
いかに戦力差があっても、実質的に動ける人ってこれらの対処のせいで相手よりも少なかったりするんですよね。
にもかかわらず常勝無敗なのはハーゲイ伯爵のおかげです。
是が非でも欲しいです。
彼さえ手に入れば彼の有能な部下は一緒についてくるし、無能な輩は機能しなくなった派閥内で勝手に自滅します。
では、どうやってハーゲイ伯爵を仲間に引き入れるかです。
実は彼、ヤンデレのゲイなのです。
ものすごいパワーワードですね。
いえ、まだヤンデレでもゲイではありませんね。
表面上は普通だし、本人ですら気が付いていないというかそんなわけないと否定しているのですが、無意識化で彼は男の人の方が好きなのです。
ふふふ。
大丈夫ですよ。
そのような方は一定以上いらっしゃいます。
なにも恥ずかしい事ではありませんよ。
確かに今は異端扱いですが、別世界ではみんなに認知されています。
むしろ、薄い本の読んで興奮なさるご婦人なんかもございます。
結婚できる国なんかもございます。
立派な文化なのですよ。
そんなに否定しなくてもよろしいのです。
ご自身を否定することは可能性の否定となってしまいます。
素直になってご自身をさらけ出しましょう。
それが新しい扉を開くための一歩です。
何、御心配には及びません。
僭越ながら私がお手伝いして差し上げます。
ふふふ。
さて、では行動を開始しますか。
そろそろいい塩梅に仕上がっているはずです。
実はこの時のために騎士団長の息子さんを捕えたのですよね。
私に危害を加えた罪で近々処刑になるのですが、何と、脱獄してしまったんです。
ああ、なんと怖い。
どこに消えてしまったのでしょうか。
怖くて怖くて夜も眠れません。
まあ、脱獄させたのは私なのですが。
ええ、私が扉を開くお手伝いをさせていただきました。
あ、違いますよ。
私を襲った犯人の牢屋の扉を開けるなんて恐ろしい真似は私にはできません。
私がしたのは新しい扉を開くお手伝いですよ。
ハーゲイ伯爵の前段階としてね。
まあ、私は女なので無理なのですが。
ですので専門家にお任せしました。
私、中央には仲間は少ないのですが外側には結構いるのですよ。
左遷されたり、元々いたりした方々とは何度もお話させていただいています。
便利ですよね、転移魔法って。
長距離転移ってこの世界では伝説上の魔法なのです。
せいぜいが自分の視覚範囲内でしか使えないのですよね。
まあ、見えない場所の座標計算とかそうそうできませんからね。
でも私には千里眼があります。
見える場所には転移できるので、つまりそういうことです。
閑話休題。
それでその専門家ですが、オカマ辺境伯です。
本当にこの名前なのです。
日本語にしたら大変ですね。
まあ、名は体を表すのか本当にオカマなのですが。
オカマで男が大好きで何人も洗の、コホン! 更正させているどうしようもない方ですが、能力は確かです。
緊張状態にある隣国を神がかったかのように戦争を回避していますからね。
趣味さえなければいい人なのですが。
まあ、今回は彼に依頼して騎士団長の息子さんをお預けしたわけです。
心をバッキバキに折りまして女なんて信じられない状態にしておきました。
あとは彼にお任せすれば大丈夫というところでした。
そして実際には更正には成功していました。
今は辺境伯はパトロンとしているお店で働いているようです。
まあ、つまりそういうお店です。
再開したときはご本人かと疑いました。
あまりにも変わっていたので。
新生騎士団長の息子さんは私の事をお姉さまと呼びます。
背筋がぞわぞわとしました。
絶対に妹には会わせたくありませんね。
なんでも、正しい自分に生まれ変わらせてくれたことを感謝しているようです。
心の底から。
辺境伯、何をしたらこうなるのですか。
いえ、見たくありませんでしたので見ていませんでしたので。
ま、まあ辺境伯はいい仕事をしてくれました。
これからも適度な距離感で仲良くさせていただきましょう。
...なんでオカマってこんなにも強いのでしょうか。
ー▽ー
さて、騎士団長の息子さんもとい新生さんを連れて帰ります。
彼にはハーゲイ伯爵と恋人になっていただきましょう。
どう恋人になっていただくかというと、まずは居酒屋的なところでお友達になっていただきます。
もちろん騎士団長の息子ではなく新生さんとして。
いえ、もう見た目から変わっているので大丈夫でしょう。
なんで監禁されていたはずなのにこんなにマッチョになっているのですかね。
不思議です。
で、ハーゲイ伯爵なのですが、決まって城下町の居酒屋に飲みに行きます。
警備隊などが多い酒場です。
貴族が行くようなところではないのですが、彼はこのお店を気に入っているようです。
一応勧誘を目的としているのですが、警備隊の筋肉を見て悦に浸っている部分があります。
無意識下でこちらが本命でしょう。
そこで飲んでいるハーゲイ伯爵に声をかける新生さん。
そのほとばしる筋肉はハーゲイ伯爵の目に留まったようです。
新生さんとハーゲイ伯爵はあっという間に仲良くなりました。
まあ、二人の相性はいいですからね。
私はそういうのも視ることが出来ます。
しかも、ハーゲイ伯爵情報も教えているので完璧です。
と、ここでハーゲイ伯爵は新生さんを勧誘しました。
まあ、見るからに即戦力ですもんね。
思っていたよりも早くに勧誘されましたね。
もう少し時間がかかるかと思いましたけど。
これでハーゲイ伯爵と新生さんの距離は縮まります。
ここからは怒涛の展開です。
ハーゲイ伯爵の部下となった新生さん。
部下と上司の関係ですが友人関係は続いています。
さらには新生さんのカミングアウト。
もう我慢できないと襲い掛かります。
拒みながらも最後には受け入れるハーゲイ伯爵。
そして開かれる新しい扉。
無事ハーゲイ伯爵は新しい自分を手に入れたのです。
...ひどかった。
自分で画策しておいてなんですがとてもひどいですね。
さて、ここからはもう一つの扉を開いてもらいましょう。
実はハーゲイ伯爵なのですが、同じ派閥のとある侯爵の事が好きなんですよね。
倒錯した愛情と共に。
監禁して好きなようにしたいと思っているんですよね。
もちろんこちらも無意識下ですが。
本人は侯爵の事を人として尊敬しているだけ。
そんな感情を持つなんて持っての他。
こんなこんな感情をもつなんてお兄様に申し訳ない。
贖罪として侯爵のために粉骨砕身働かなければ。
これがハーゲイ伯爵の封じられた本心です。
しかし、新生さんのおかげで箍が一つ外れました。
さて、ここから誘導していきす。
「ごきげんようハーゲイ伯爵」
「これはこれはシスティーナ王女殿下。わたくしに何か御用ですか?」
うーん、取るに足らない私に対しても紳士ですね。
いい人です。
ええ、ええ、わかっています誰にでも欠点はございます。
しかし、それは恥ずべきことではございません。
「少しご相談したいことだございます。お時間よろしいですか?」
「ええ、王女殿下の頼みとあらば」
「ありがとうございます。ここではなんですので場所を変えましょう」
場所を変えて密偵がいないか確認する。
大丈夫ですね。
「それで、どうされました?」
「あの、私、見てしまったのです」
「何をですか?」
もじもじしてから恥ずかしそうに言う。
「その、伯爵と男の人が、その、せ、接吻をなさっているところを」
もちろんそんなの見ていない。
見たくありませんでしたし。
それでもそのことは知っているのですよ。
そうするように命令したのは私ですから。
「お、王女殿下、そ、それは」
冷汗をかくハーゲイ伯爵。
まあ、ふつうは異端扱いですからね。
バレたら最悪処刑です。
辺境伯の所は寛容ですが。
むしろ奨励していますからね。
「私、素晴らしいと思います」
「え?」
ポカーンとする伯爵。
「私、愛というのはただ一つの道だけじゃないと思うのです。人がそれぞれいるように愛にも人それぞれです。確かに同性同士の愛は否定されています。しかし、それでもなお人目を忍んで連れぬくその姿勢に私は感服いたしました」
とまあ、応援していますよというような事を何度も言う。
これで私という理解者が出来ました。
最初は青い顔だったハーゲイ伯爵も喜んでいます。
完全に私に対して心が開いていますね。
最後に私王なら寛容になれるのにとほのめかして今回は終了です。
良き理解者を得たハーゲン伯爵。
誰かを愛することは悪い事じゃない。
それを植え付けることが出来ました。
ここから次第に膨れ上がっていくでしょうねお兄様に対する感情は。
トドメの一手を刺しましょうか。
新生さんとは別れてもらいます。
新生さんに呼び出されるハーゲイ伯爵。
そこで別れ話を切り出されます。
「ど、どうしてなんだ! 僕たちはあんなにも愛し合っていたのに!!」
「ごめんなさい。でも、わたし、もう無理なの」
字面だけ見たら普通ですが、これ、男と男ですよ。
それもムッキムキの。
「だってあなたの心には別の男がいるもの」
「なっ! そ、そんなことはない!!」
「いいえ。私にはわかるわ。あなたが本当に愛していいるのはその男だけ」
「ち、違う!! 僕が本当に愛しているのは」
「もう、自分に素直になって。あなたは散々自分に嘘をついてきたのでしょう? 私はあなたが幸せなら幸せなの。さようなら」
はあ、別れました。
見るに堪えませんね。
見た目だけなら元王太子のお兄様の方がマシです。
さて、彼氏に振られて意気消沈のハーゲイ伯爵。
そこでたまたま私と出会います。
「どうされました?」
「王女、殿下」
「何かお困りのようですね。私が相談に乗りますよ?」
何時ぞやの部屋に向かって話始めます。
ぽつりぽつりと。
ふふふ。
私は聞き上手です。
今の彼なら何でも話してくれます。
誘導すれば侯爵の事も。
「そううですか。あなたが本当に愛していたのは侯爵だったのですね」
弱っている彼にさらに言葉で誘導します。
あなたは間違っていない。
それも愛です。
愛さえあれば許されることです。
しかし世間の目もあります。
今は隠れてやるしかありません。
大丈夫、私に任せてください。
その代わり今度は私の味方になってくださいね。
ええ、ええ、それをしても許されるのです。
私とあなたの二人だけの秘密ですよ。
では、侯爵を監禁しましょうね。
ー▽ー
最近恐ろしい事件がありました。
とある侯爵が神隠しに合ったのです。
なんの痕跡もなく消え去りました。
とても恐ろしいですね。
怖くて夜も眠れません。
まあ、私が転移魔法で攫っただけですけどね。
ハーゲイ伯爵は満足しています。
私に忠誠を誓うほどに。
これで、お兄様の派閥も終わりですね。
ハーゲイ伯爵が向けたら無能しかいなくなるし戦争したら負けるでしょうね。
まあ、戦争になって負けると困るのでハーゲイ伯爵にはまだお兄様の元で働いていただきます。
今、お兄様の派閥が無くなっても困りますしね。
どうしてかといいますと、お兄様の派閥に匹敵する派閥がもう一つあるからです。
今までは、元王太子のお兄様と第三王子のお兄様ともう一つの派閥の三大勢力が争っていたのですが、一つは消えましたし、ここでお兄様の派閥が消えてしまいますと勢力が保てなくなるんですよね。
なので今はこのままです。
仕事ができない侯爵が消えたところでそこまでバランスは崩れませんし。
いつでも消せるお兄様の派閥はいったんこのままで次に行きます。
もう一つの派閥のである第2王女の派閥です。
王女ですが、正室腹なので王位継承権は高いです。
となると当然神輿にする人が出てきます。
お姉さまは人ととしてあまり問題ありません。
どちらかというと女性だてら王になるという決意がありますし重要性も分かっています。
王族としての役割を懸命にこなそうとしています。
わがままでも喧嘩っ早いわけでもありません。
では何が問題なのかというと、人を信用しすぎなんですよね。
派閥の人たちが自分を王にと望んでいる。
ならば皆が望むような立派な王にならなければ!!
お姉さまはそう思っています。
それは悪い事ではありませんが、お姉さまの周りが腐っているんですよね。
もし仮にお姉さまが女王になったらこの国は腐り堕ちます。
立派な傀儡政権の誕生となります。
それだけは避けなければなりません。
なのでお姉さまの派閥は消えていただきます。
大丈夫です。
お姉さまには悪いようにいたしません。
身分違いの恋って素敵ですよね。
身分の差を超えて実る愛。
どんな壁があろうとも共に乗り越えていける愛。
最後には結ばれる愛。
それこそが真実の愛だと思います。
え、お兄様の真実の愛は邪魔したって?
なんのことですかね?
私はそんなことするはずないじゃないですか。
あんなのは真実の愛なんかじゃありませんもの。
これから私がお姉さまに用意するものが真実の愛ですよ。
わたしにとってね。
ふふふ。
ー▽ー
というわけで、お姉さまには王子様に迎えにきていただきましょう。
お姫様を迎えに来るのは王子様ですからね。
なんてロマンチックなのでしょうか。
特にロマンチックなのはお姫様がピンチの時に駆け付ける王子様ですよね。
例えば、賊に襲われているところを助けたり。
とってもロマンチックですね。
おや、これは。
お姉さまがとある町に出かけているところに賊が表れたではありませんか!?
ああ、お姉さまがピンチです!!
賊の中には手練れがいます。
今の護衛では守り切るのは難しいです。
手練れの護衛が出発の前日に腹痛で倒れたりしなければこのようなことにならなかったのに。
これではお姉さまが殺されるかもしれません。
おや。
誰かが馬に乗って駆け付けてきました。
まるで王子様みたいだ。
華麗な剣技で賊たちを倒していきます。
とても強いですね。
負けを悟ったのか賊たちは去っていきました。
お姉さまは助かりました。
突如加勢した方にお姉さまがお礼を言っています。
おや、少し頬を染めていますね。
まあ、仕方がありません。
命の危機を助けていただいたのですから。
しかも王子様のようにかっこいい方に。
惚れても仕方ありませんね。
まるで物語みたいでね。
ふふふ。
さて、あの方が来るまでしばらくは妹と遊んでいましょうか。
そして数日後。
なんと、私の目の前にはお姉さまを助けた方がいらっしゃるではありませんか!?
まあ、私が呼んだだけですがね。
この方はロミオさんと申します。
いえ、本名は違うのですが。
まあ、いろいろあって本名は使えないのですよ。
ロミオさんとは子供のころからの知り合いです。
私は今も子供ですけど、ロミオさんは立派になりましたね。
ロミオさんは世界中を渡り歩く冒険者なのですよ。
とある目的のために旅をしているのです。
そしてその正体は本物の王子様です。
まあ、元が付きますが。
別に廃嫡されたわけではありませんよ。
そんなのは真実の愛がどうとか言っている方だけで十分です。
彼は亡国の王子様なのですよ。
戦争で滅んでしまい、処刑されそうになっているところを私が助けたのです。
そして、とある目的のために旅をしているのです。
かなりファンタジーチックな目的なので彼の話を本にしたら売れるんじゃないですかね。
まあ、それはいいとして。
今はただのロミオさんとして私の食客として呼んだのです。
しばらくは王宮で過ごしていただきましょう。
そして、数日後。
ロミオさんとお姉さまが再開しました。
今は彼らと共にお茶会を開いています。
「まあ! ではお姉さまはロミオ様にお助けいただいたのですね!! まるで物語の王子様とお姫様みたい!! とっても素敵です!!」
とまあ、こんな感じにお姉さまにロミオさん存在を植え付けます。
運命の相手として。
もちろんロミオさんにも。
「そういえば、うんと昔の事なのですが、お姉さまって仲のよろしい方がいらっしゃいましたね」
ええ、本当に仲のいい方がいたんですよ。
ちょうどロミオさんを幼くした感じの。
ええ!?
ロミオさんってここに来たことがあるんですか!?
その方がロミオさん?
じゃあ、10年ぶりの再会じゃないですか!!
素敵ですね。
まるで運命みたい。
あーあ、ロミオさんみたいな方が私のお兄様だったらいいのにな。
おや、もうこんな時間。
お姉さまもお忙しいですしそろそろ解散しましょう。
はい、いいところで切り上げます。
そして後日、またお茶会を開きます。
ということを何度か繰り返してお姉さまとロメオさんの距離を縮めます。
そして二人は人目を盗んで合うようになっていきました。
そう、二人は愛し合うようになったのです。
しかし、身分の違いが二人を分かちます。
お姉さまは女王候補の王女。
ロメオさんは元は王子といえども今は身寄りのない旅人。
二人が結婚することなんてできないのです。
二人ともそれを重々承知しています。
しかし、それでも止めることのできないこの想い。
今はこれでいいと人目を忍んで会っていました。
しかし、それが周囲にばれてしまいました。
やはり身分の違いが二人が共にいることを許さないのです。
「という訳でロミオさん。お姉さまを連れてお逃げください。お姉さまもそれを望んでいます」
ならばやることは一つしかありません。
駆け落ちです。
「...お前、これを望んでいたな?」
「さあ、なんのことでしょうか?」
「ジュリエットが邪魔なのだろう?」
あ、ジュリエットはお姉さまの名前です。
だから、私は彼にロミオと名付けたのです。
「いえいえ、私はただお姉さまにお幸せになっていただきたいだけです。それに、このままではお姉さまは誰かと結婚しますよ。もちろんあなた以外の方と。それではお姉さまもあなたも不幸になってしまいます」
「...お前、ろくな死に方しないぞ」
「ちゃんとした死に方ができるならこんなことしませんよ」
本当に。
私も彼も苦労する。
「それはともかく、あなたの最後の目的地はここですので。それが終われば旅は終わり。お姉さまと幸せに過ごしてください」
「そうさせてもらう」
「これは、私からの報酬です。好きに使ってください」
「ありがたく貰おう」
「さて、そろそろ時間です。逃走ルートは頭に叩き込みましたか?」
「ああ、大丈夫だ」
「ならお別れですね。お気を付けて」
ー▽ー
次に日の事です。
お姉さまがロミオさんと駆け落ちしてしまいました。
お姉さまという神輿を失ったお姉さまの派閥は崩壊。
残るお兄様の派閥は我が世の春、とはいかず、ハーゲイ伯爵とその部下が抜けて大幅な弱体化となりました。
ここで私が舞台に上がります。
ガルウェン公爵を後ろ盾にハーゲイ伯爵やその他を味方につけて一気に一大勢力に。
そして、甘言と脅しでその他貴族を吸収します。
準備は整いました。
最後の仕上げといきましょう。
決戦の日は建国記念日。
王族や貴族は謁見の間に集められます。
全員が集まったところで私が登場し、玉座の目の前まで行きます。
「なんの真似だシスティーナ」
「今日からこの席は私のものです、今までお疲れ様でした。老害はとっとと席譲ってくださいな」
「とちくるったかシスティーナ。娘と言えども王である儂を侮辱した罪は重いぞ。衛兵この者を捕えよ!!」
お父様の合図とともに近づいてくる衛兵。
そして、お父様を掴みあげました。
「な!? 儂ではなくそこの娘だ!!」
「お父様、皆さんの意見を聞きましょう。私が王に相応しいかお父様が王に相応しいか」
「何を言っておる! 成人もしていない小娘が王に相応しいわけなかろう!!」
「では、私が王に相応しいと思う方、挙手をお願いします」
そして、お父様の目にはあり得ない光景が写りました。
その場にいたほとんどの方が手を挙げたのです。
王族や衛兵はまでもが。
「な、バカな。ありえん」
「ということでこの席は私の物です。衛兵、お父様を連れて行ってください。丁重にね」
これでうるさいのは消えました。
一部の王族や貴族はこんがらがっていますが、しょせんは一部です。
この場にいるほとんどの者が私を新たな女王と認めました。
様々な思惑がありますが。
「さて、新しい女王になったシスティーナです。今日は大事な建国日。我ら王国は新たな一歩を踏み出すのです。そのためにも、粛清を始めます」
静まり、困惑し、騒ぎ出す会場。
ええ、今から始めるのは粛清。
国を腐らす元凶たちには死んでもらいます。
「静かに。悪いことをしていなければ何も起きませんよ。悪いことをしていなければですがね。ふふふ」
この日から私は悪魔の女王と呼ばれることになりますが、知ったことではありません。
全ては私と妹が母のようにならないためです。
幸せになるためです。
たとえ悪魔と呼ばれようとも。
ふふふ。
書いていてめっちゃ楽しかったです。こういう真っ黒なのはどう? というアイデアがあれば教えてください。
評価や感想があれば作者が喜びます。
登場人物紹介
システィーナ:主人公。どうしてこうなったというレベルの真っ黒さん。腹黒とかいう域を超えている。人の心が読めてしまうので精神が捻くれてもおかしくはない。敵以外は不幸にするつもりはなく使い捨てる気もない。敵は不幸にもするし使い捨てる気満々。水面下で動いて一気に破滅させる。
妹:名前はセレスティーナと決まっていたけど登場しなかった。姉のシスティーナと違って清らかな心の持ち主。
元王太子:真実の愛(笑)
ヒロインちゃん:乙女ゲームの主人公。
イザベラ:箱入り娘。主人公の事は尊敬している。本性は知らない。
ガルウェン公爵:有能さん。主人公の本性をしっており恐れている。けど、認めている。娘に激アマ。
騎士団長の息子:もとい新生さん。新しい扉を無理やり開かされた。
オカマ辺境伯:オカマ。いろんな意味で最強。
ハーゲイ伯爵:ヤンデレなホモ。それさえなければ英雄なのに。
侯爵:被害者。だけど主人公が許容しないレベルの屑。
王女:ジュリエット。大変だけど幸せに生きている。
ロミオ:ファンタジーの主人公。システィーナは恩人だけどいろいろ複雑。なんだかんだでやはり幸せになっている。
王:女好きの無能。何故彼が王になれたかというと宰相が強かったから。その宰相は死にました。




