闇へ堕ちゆく
事件発生から2時間。未だに奴等はいる。立花はベレッタM92を撃つ。
「地下は奴等が少ないな」
非常用電源のお陰で多少は明るい。奴等は5体ほど居たが殺られるようなことは無い。
カチッカチッ。
「弾切れか」
立花はベレッタを捨て、警備員の傍らに落ちていたレミントンM1100(散弾銃)を拾う。
「弾と弾薬は、あるな」
立花はすぐに移動を開始する。
バァン!!
一発で2体を仕留め、辺りを見る。奴等は見える範囲にいない。
「着いたな」
立花はようやく緊急制御室に到着した。扉を開きなかを確認する。奴等はいないようだ。立花は注意しつつ中に入った。
「確か、これがこうで………良し!」
立花は何とかシステムを回復させることができた。立花はおかしな気配に気づき、その場から飛び退いた。
スパン。
刀が空を切った。
「なっ!?」
そこには恐らくやつらと同じだろうが、体格が大きく違う者がいた。奴は刀を手にしている。
「まじかよ……」
立花は直ぐに撃った。バァン!!バァン!!しかし奴はびくともしていない。
「くっ!ヤバイ!」
立花は急いで走り出した。
―――――――――――――――――――――――――
「はぁ……はぁ……」
彼女は製薬会社から一直線に警察署へ向かっていた。悲鳴など、聞こえなくなってしまった。
「っ!?」
不意に建物の影から1体が現れ、彼女を押し倒す。
「うぐっ!」
「あ"あ"あ"あ"」
「ぐぐぐ……なんて力を……!」
彼女何とか噛まれぬように力を振り絞る。
パンッ!!
銃声とともに奴の頭が撃ち抜かれた。彼女は奴を横へ倒し、銃声がした方を見る。そこに居たのは探している警官ではなく、自衛隊員だった。
「無事か?」
「は、はい」
彼はホルスターに銃をしまいつつ、訪ねてくる。彼は肩に掛けていた64式小銃をもつ。
「俺は若狭」
「私は飛田です」
若狭は辺りを見渡し、言う。
「注意を怠るな」
「はい!」
飛田はベレッタM92をもつ。
「警察は……?」
「避難所を設置、防衛している」
飛田はホッとした。警察が避難所を防衛しているなら安心だ。
「川名製薬会社はどうなっている?」
「最悪で、奴等が多いです」
若狭は少しうつむきで「そうか……」と呟く若狭の表情は、かなり暗かった。飛田はそれに気づくことはなかった。
「生存者は?」
「何人かいます!私が見ただけでも10人以上はいます!」
「よし、救助に行かないといけないな」
若狭は無線機で生存者がいることを伝える。
「俺が避難所まで送る。付いていてくれ」
飛田は頷き、若狭について行く。未だに悲劇は続いている。