最悪の事態
「着いた!」
立花は何とかコントロールルームにたどり着いた。
「ちっ!まだ居やがるのか!」
奴等は3体、恐らく二人は巡回員だ。立花は素早く拳銃ベレッタM92を構え、やつらを一人一人撃ち抜く。
「システムは……!?」
システムはすでにダウンしていた。既にコントロールルームでは制御できない。システムを戻すためにはまずはシステム制御盤がある地下室にいかねばならない。
「手綱!警察は!?」
『今向かってる!』
「よし!」
手綱からの通信を聞いた立花は地下室に向かった。奴等は多い。地下室にたどり着けるのだろうか。
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「あ"あ"あ"あ"」
「邪魔だぁ!!」
パンッ!!パンッ!!
「やばいぞ、これは」
奴等8人に囲まれている須藤は歯軋りをする。彼がいるのは3階のオフィス。
「はっ!?」
彼は気付くとオフィスの中央に追いやられており、更に奴等が集まってきていた。部屋の中にはおよそ20体。絶体絶命で、彼の持つS&W M19(コンバットマグナム)の残弾はおよそ五発しかないのだ。
「もう、無理だ……」
須藤は諦めたように座り込んだ。そして―――
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手綱は現在、会社のエントランスで生存していた警備員5人と警察が来るのを待っている。葉原は他の生存者と警備室に残してきた。奴等は今のところエントランスにはいない。
「どうしようかなぁ」
「隊長、通信ができません!!」
「うわぁ……」
突然通信機が使えなくなった。これはかなり不味いことである。通信機が使えないということは誰とも確認がでいないことなのだ。
「不味い!外にもいるぞ!!」
「「「「「!?」」」」」
その叫びに全員が外を見る。外には既に奴等がかなりいた。彼らが来る前に奴等は外に出ていたのだ。
「もう、終わりだぁ……」
「しにたくねぇよぉ……」
既に何人かが絶望してしゃがみこんでしまった。中には発狂するものも出てきた。
「最悪だなぁ」
「隊長、私が外を見てきます!」
「しかしなぁ」
「行かせてください!隊長!」
手綱はしばらく考え、答えた。
「必ず、生きろ」
「はい!」
それが、彼女の聞いた手綱の最後の言葉となった。
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「前薗君、そっちは!?」
「駄目です!」
前薗と九条は生存者を探して社内を走り回っていた。しかし生存者などいない。諦めかけたとき、銃声がした。二人は走った。
それはオフィスからしていた。二人は直ぐに奴等を撃った。
「大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ」
「とにかく外へ行こう!!」
生存者が1名。須藤だった。須藤は何とか冷静になり、九条達と走り出した。
彼らはまだ知らなかった。既に外も危険だということを。