悲劇
「着いたな。あとはあいつらに渡すだけか」
「そうだねぇ」
僕たちはようやく研究施設の入り口までやって来た。あとは運んできた薬品を研究施設の警備部隊に渡せば仕事は終わり。
「それじゃ、帰りますかぁ」
僕たちは来た道を引き返す。輸送の仕事が終わり、残っているのは一般施設の見回りだけとなった。
「立花隊長、あの薬品は―――」
ゴガアアアアアアアン!!!!
「「「「「!!??」」」」」」
突然起きた爆発音と共に来た爆風で僕たちは吹き飛ばされてしまう。僕たちは誰も何が起こったか理解できなかったが、すぐに音の方へ向かう。
「な、なんだ、これは…………」
「う"う"う"う"」
そこには先ほど薬品を受け取った警備員や研究員が血まみれで徘徊している。まるでゾンビのように……。
「うぇ」
「な、なんなんだぁ?」
「痛ってぇ!?」
「長谷川!?こいつ……!」
長谷川さんが奴に噛まれている。僕たちはどうしたらいいかわからず戸惑っていた。
「前薗!危ない!」
「え……?」
僕は何が起きたか理解できなかった。気がつけば奴に押し倒されていた。
「あ"あ"あ"あ"」
バァン!!乾いた音ととに奴は倒れ込んだ。僕はすぐに離れた。
「あ、ぁ……」
僕は何が起きたのかを理解し、震えた。周りはすでに惨劇が起き、他の警備員が応戦していた。
「全員!シャッターまで退却だ!」
立花隊長が大声で指示をだし、全員が走り出す。案外やつらは遅い。
「救援を寄越してくれ!」
『了解!!すぐ向かわせる!!』
立花隊長が救援を呼ぶ。長谷川さんがいつの間にかいないことに気づいた。
「長谷川さんは!?」
「あいつ……!」
「戻るな!戻ったら死ぬだけだ、諦めろ!」
「くっ!」
もう少しでシャッターが見えてくるはずだ。
「立花!急げ!!」
「「「「「!!」」」」」
僕たちは救援に駆けつけた警備員の後ろにやつらが迫っていることに気づいた。
「後ろにいるぞ!!」
「!?」
九条さんが声をあげるも時すでに遅し、彼らは食われてしまう。
「化け物が!!」
バァン!!バァン!!
立花隊長が何発も撃ち、奴等を仕留めていく。何体も仕留め損なってはいたが、逃げるには十分だった。
「手綱と葉原は警備室から警察呼べ!!」
「あぁ」
「九条は前薗と生き残りを探せ!!俺はこの施設を封鎖する!!」
「はい!」
「わかったわ!」
立花隊長は手短に指示を出し、コントロールルームの方へ走っていった。僕は九条さんと生存者を探すため、社員施設へ走った。
悲劇は、連鎖する。