予兆
川名製薬会社、それは日本有数の大企業。
「前薗、今日は図書館の警備に行くぞ」
前薗と呼ばれた二十歳前後の男性。彼は川名製薬会社の新人警備員だ。
「はい。立花部隊長」
立花、川名製薬会社の警備員で、第7警備隊の部隊長だ。30代前半。以外と優秀で対人技術はかなりのもの。
二人はロッカールームをあとにし、社員限定施設の図書館の警備に出る。
まずはじめに来たのは図書館。この図書館には薬品についての多くの著書が置いてある。文庫本や参考資料、漫画も置いてある。
「すみません、―――はどこにありますか?」
外見からすると、研究員だろう男が話しかけてきた。彼は少し控えめに聞いてきた。
「―――にありますよ」
「ありがとうございます!」
そう言うと彼は歩いて行った。警備員も図書館を利用するので本の位置は覚えている。
あと数分で交代の時間だ。今日はある薬品が届くらしいので数部隊が警護に当たることになっている。
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「そろそろ時間だな。行くぞ」
「あ、はい!」
前薗と立花は交代の隊員にあとを任せて裏口の搬入口に向かった。
図書館から裏口までは2分ほどかかる。廊下が二つあり、その間に防火シャッターがあるため、そこを通らなければならない。
「このシャッター、いつみても不気味だよな」
「ですね……」
シャッター付近は薄暗く、シャッターに描かれている薬物抑制のマークはさらに不気味さを醸し出している。
「さて、ここまで―――お?もう来てたのか」
「当たり前だ。時間厳守は基本だぞ」
「そうだよなぁ……」
立花隊長と話すのは第一警備隊隊長の手綱さん。60代前半のベテランで、かれこれ13年間警備員をしているらしい。
「手綱隊長、我々はまだ薬品の護送の途中、最後までやるのが仕事ですよ」
そう言ったのは第一警備隊の葉原さん。女性警備員で、手綱さんの助手。軽い身のこなしで相手を制圧するのが得意らしい。
「おっと、前薗悪いが手伝ってくれんか?」
「はい、分かりました」
前薗はそう言い、薬品の入ったケースを受け取り、護送の続きをはじめる。
「にしても研究施設まで遠いよなぁ」
「はぁ……。お前が運動しないからそう感じるだけだ」
「しかし、歩いて40分はかかりますよ?」
「確かにそうですね。時間厳守ですし、かなりの時間を要しますから急がないと遅れますよ」
「はぁ……そうだなぁ」
そんなことを言いつつ、俺達は足を早めた。何故か、前薗は嫌な予感がしてならなかった。
「にしても、かなりの危険物なのか?第二隊と第三隊までいるなんて」
「何でも世界を一変させる事が出来るかもいれないらしいわよ?」
そう言う第二警備隊隊長の九条さん。女性隊長で、美人。趣味はサバゲーらしい。
「ありゃりゃ、大変なもんだなぁ」
そう言うのは第三警備隊隊長の長谷川さん。お気楽な人。
こうしている間にも、一刻一刻と運命の時間が迫っていきてた。