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家族と愛情の増やしかた

2018/02/15

落書き倉庫にカラーイラストを一枚追加。



スマートフォンがぶっ壊れて新しくしたり設定してたり――もあったけど、しっくりくる言葉とか文章に悩んでたら3日くらいたってたんだぜ。不思議だよね。





人称の問題をゲームで例えてみようと思ったのです。


一人称をFPSだとすると、一元的三人称はTPSになるわけですね。ビューリホー

この両者の違いは、「自分が見えるものしか画面に映らない」か「周りだけでなくある程度自分も客観的に見ることができる」ということであり、本質的には一元的三人称ってやつは三人称の皮をかぶった一人称、一人称の亜種なのです。


では神の視点による三人称はというと、エイジオブエンパイアなんかのリアルタイムストラテジーということになるでしょうか。あれ、あっちこっちいろんなところに注意を払わないといけないから忙しいです。画面が忙しなく動きます。


それまで一元的三人称だったところに、唐突に神の視点的三人称が始まるとかたまに見かけますが、これを違和感なく読ませるって、けっこうテクニックとかなんやらがいるのではなかろうか、いわんや一人称をや。


つまりなにが言いたいかというと、一人称のなか唐突に一文だけ三人称の文がねじ込まれる違和感を回避する手法として、「そのとき、誰それが○○していたことに、わたしは気づかなかった」はなかなか優秀なのではないだろうかと。


ちなみに、二人称は昔懐かしゲームブックですかね。

 アルスが本日のお仕事(勇者さまご一行のお世話とも言う)を終えてやって来たのを迎えたサキは、まだ靴も脱いでいないアルスのお腹に抱きついて頭をぐりぐりこすりつけた。


「――どうした? なにがあったんだ、サキ」


 無言で腕に力を込めたサキの頭をなでながら、アルスは続いてやって来たナタンとメイシーに顔を向けた。


「昼食の席で何か問題でも?」


「いえ、そのようなことはなかったのですが……」


「会食からお戻りになってからというもの、どこか沈んだご様子で――わたくしどもがお聞きしても、姫様ご自身でも“よくわからない”と……」


 困ったような声に申し訳ないと思いながらも、胸の内にあるもやもやしたものに名前をつけることができず、とりあえずアルスにしがみついているのだ。


「とりあえず、中に上がろう」


 ぺりっと張り付いているサキをはがしてそのまま抱き上げ、アルスは優しげに笑いかけた。


「それで、今日あったことを聞かせてくれよ。話しているうちに、なにかわかることもあるかもしれないし」


 サキは、こっくりとうなずいた。





「セニエのお父さんと……お母さんは、とっても優しいし楽しい人たちだったわ。早くわたしと仲良くなりたいって」


 居間のソファに場所を移し、ナタンの家族と会ったときの話をする。


「出てきた料理はおいしかったか?」


「ええ、それはもう! あとね、お屋敷のみんなからだって、おいしいお菓子をもらったの。今度お誕生日のお祝いをしてくれるそうだから、そのときにお礼を言いたいな」


「うん、そうか」


「家の者も、みな喜びますよ」


 アルスがうなずき、ソファではなく床のクッションに座ったナタンが微笑んだ。


「本当にうれしかったの。“こっち”で新しい家族ができるなんて思ってもいなかったから――ただでさえ色んな人たちに良くしてもらって」


「みなさん、姫様のことが大好きでいらっしゃるのですよ」


 人数分のお茶とクッキーをテーブルに置き終えたメイシーが、ナタンの隣に控える。


「うん――みんな良くしてくれるわ。まるで、自分の家族同然に……」


 きゅっと、膝の上で手を握る。


「本当に、うれしい」


「サキ」


 はっと顔を上げると、気づかわしげにサキを見る黄緑色の瞳があった。


「サキ、無理に喜ぼうとしなくていい」


「ううん、わたし別に無理なんて――」


「でも、なんだか辛そうだ」


「え?」


 サキはそう言われてはじめて、「うれしい」と言っているわりには、自分がちっともそうは見えない顔をしていたらしいことに気づいた。


「うまくやっていけるかとか新しい家に馴染めるかとか、不安があって当たり前だからと思ってたけど……どうもそういうのとは少し違うな」


 ほんの少しの間、言葉を探すように眉を寄せて――今のサキの表情とどこか似ていた――アルスはたずねる。


「なあサキ、“家族が増える”のが嫌なのか?」


 心臓がどくんと跳ねる音が聞こえたような気がした。


「嫌なんかじゃない……でも」


「でも?」


 引っ掛かりを覚えていた部分が明確になるのにつられて、そこに伴う感情も急速に輪郭がはっきりしていく。


「――こわい」


 ああ、そうか――これは恐怖と、罪悪感だ。






 “こちら”に来てからというもの、サキには大好きな人がたくさんできた。


 我が子同然と公言してはばからないマーサ夫婦や工房の職人さんたちをはじめ、みんなもサキのことを気にかけてくれる。

 職人さんたちやナタンのおじいさんに、もしお父さんとおじいさんがいたらこんな感じなのだろうかと思い、ナタンとメイシーたち侍女のみなさんは優しいお兄さんとお姉さん。そしてマーサやタニアはなんだか本当のお母さんのようで――


「たぶん、心のどこかで後ろめたく感じてたんだと思う」


「後ろめたく?」


 アルスたちは首をかしげている。


「わたくしたちは、姫様からそのように思っていただけて、大変もったいなくも光栄に存じますが……」


 だからそんな風に思うことはないのだと、戸惑いぎみにメイシーが言う。


「ううん、そうじゃない……()()()()()()()()を家族の括りに入れてしまったことに対して、って言えばいいのかな」


 そうやって“家族”が増える度に、サキの中で母の存在が少しずつ端に追いやられていくような、小さくなっていくような気がして、いつか母のことを忘れてしまうのではないかと、それが怖かった。


「それで、今日ナタンのお母さんのことをすぐに母さんって呼べなくて……」


 お父さんやおじいさんがいなかったサキは、元からあこがれのようなものがあったのであまり抵抗はなかった。しかし母以外の人を()()呼ぶのは、自分を育ててくれた母への裏切りではないのかと。


 母に対する罪悪感と、そのために一瞬でもナタンのお母さんを受け入れるのをためらってしまったことへの罪悪感とが重なり、自分でもはっきりとは自覚していなかった気持ちが表に出てきたのだろう。


「せっかく娘が増えるって喜んでくれてたのに、申し訳ないわ」


 しょんぼりと肩を落とすサキの頭を、アルスはぽんぽんと軽くなでた。


「あのな、こう考えてみるのはどうだ? 大切な相手ができる度に心の中の割り当てが少なくなっていくんじゃなくて、増えれば増えるだけ入れ物も大きくなっていくんだって」


 そうすれば、母に対する愛情を目減りさせることなく誰かを“家族”にできるという提案に、サキは目をぱちくりさせて、首をかしげた。


「……増えても、いいの?」


「いくらでも増やせばいい」

 

 自信に満ちた顔でアルスはうなずく。


「でも、そうしたら父さんが五人も六人もできちゃうわ」


 母親だって、軽く三~四人はいる。


「すごいじゃないか、そんなにたくさん。自慢すればいいさ。自分には家族がたくさんいますってな」


 そんな単純なことでいいのだろうかとも思えるが、でもたしかに、本当の家族のように思える相手がたくさんいるというのは、なかなかできないことであり幸せなことであるのかもしれなかった。


「姫――」


 ナタンがやってきて両膝をつき、サキの両手を優しく握る。


「きっとお気づきになっていないだけで、姫は心の内に宝箱をいくつもお持ちなのです。それは姫が望めば望むだけ増えていき、決っしてなくなることも、色褪せることもない素敵な宝箱です」


「ナタン……」


「母君の宝箱が他と紛れてしまうのが心配なら、一番目立つところに特別な棚をもうけて、そこに置いてさしあげてください」


 それは、母が特別なままでいいと、一番大好きなままでいいということで――


「でもそれって、母さんとエリーヌ母さまを比べるってことだわ……」


「血の繋がった家族が一番で当然ではありませんか」


 と、なんでもないことのようにナタンは笑った。


「それでいいのですよ。うちの母だって、まさか姫の母君に勝とうだなんて大それたことは思っていないはずです。ですが、いつか母君と同じか、それに近い場所に我々を置いていただけるのなら、これほどうれしいことはありません――十年でも百年でも、いくらでもお待ちしますよ」


「まあナタン――百年はさすがに待ちすぎじゃないかしら……?」


 気の長すぎる発言に、思わずくすりと笑みがこぼれてしまう。


「全くだナタン。そんなに悠長に構えてたら、お前のとこのじいさんにお迎えが来ちまうぞ」


 とアルスは苦笑しながら、ナタンの手を引き剥がすようにサキを持ち上げて向かい合わせに膝の上に乗せた。それから、いたずらっぽく付け加える。


「そう遠くないうちに、サキには棚じゃなくて倉庫が必要になるかもな。俺の箱が迷子にならないようにしっかりしまっておいてくれよ」


 お城やセニエの屋敷の人たちのことを考えたら、たしかにそれくらいはいるかもしれないと、ナタンとメイシーが笑い合うなか、サキも笑ってアルスの肩におでこをくっつけた。


「いいえ、いいえ――それなら、とっくに特別製の棚に鍵をかけてあるわ」


 本当は、ナタンやおじいさん、マーサたちもそれぞれ特別製の棚に置かれていたのだろう。()()()()()こうやって悩んでいたのだから。


 そして、たぶんその棚たちは、ナタンが思っているのよりもずっと母の宝箱に近い位置にあるのだ。


ケストナーの『ふたりのロッテ』は名作ですよね。特にロッテちゃんと仲良しの犬がこむるは好きです。自分もこのわんこのように、お子たちに愛情深くあれているだろうかと自問する日々です。





この前バレンタインデーだったのでチョコレートタルトを作った。

でも、悲しいことにココアパウダーが切れていたのでキャラメルナッツを飾ってごまかした。おいしかった。



材料:

・タルト台(作っても、市販のでも)

・チョコレートガナッシュ

・キャラメルナッツ

・お好みのトッピング


作り方:

・タルト台にガナッシュを入れて平らにならし、キャラメルナッツを飾って冷蔵庫で30分ほど冷やす。

・ココアパウダーを振ったり、チョコペンやアラザンなどでデコレーションする。



も少し真面目に書きましょう。



タルト台の作り方


材料:

・砂糖 40グラム

・バター 70グラム

・小麦粉 150グラム

・卵黄 1個分(または、牛乳大さじ1~2)


作り方:

・クッキーを作る要領で生地を作る。っていうかぶっちゃけこれ、甘さちょっと控えめのクッキーだよね!

・ラップにくるんで冷蔵庫で30分ほどねかせた生地を、何度か伸ばしたり折り畳んだりしたあと、タルト型、シリコンのおかずカップなどに敷き詰めてフォークで底に穴をさくさくやって180℃に余熱したオーブンで焼き色がつくまで20~30分程度焼く。


メモ:


・めんどうなら、卵とか牛乳は別に入れなくてもなんとかなると思われる。


・小麦粉を20~30グラムほどアーモンドプードルにするのもよいでしょう。


・大きめのタルト型を使う場合は、生地が浮かないようにアルミホイルを敷いた上に重しを入れて焼きましょう。15分くらい焼いたら重しとホイルは外す。専用の重しがなかったらお米とか豆とかで……


・生地が余ったらクッキーにするとか次回タルト用に冷凍しておくとか。


・きっちり作りたい人は、こんなところを見てないでくっくなぱっど先生にお伺いをたてましょう。



ガナッシュの作り方


材料:

・ミルクチョコレート 50グラムに対して生クリーム20㏄くらい……らしい。

・ラム酒、ブランデー、コアントローなど 小さじ2分の1くらい(お好みで)


作り方:

・湯煎にかけて温めた生クリームに刻んだチョコレートを入れ、きれいに溶かす。

・ボウルの底を氷水にあてて冷やしながらクリーム状になるまでよく混ぜる。あら熱が取れた辺りで洋酒を入れる。


メモ:

・チョコレートの種類によっても生クリームの割合が変わってくるのでちゃんとしたレシピを見よう。

・チョコレートを扱うときはまな板や包丁、ボウルなどに水がつかないように気をつける。

・余ったガナッシュはトリュフにしたり生チョコにしたり。

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