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side千鶴――貴族社会なんて結局そんなもの

なろうエッセイ界では、アクセスやポイントの上げるためのハウツーがいつでも大人気です。

キャッチーなタイトルのつけ方、あらすじの書き方、投稿時間のちょっとした工夫、一話あたりの文字数の最適化――。

ポイントが伸びないときのモチベーションの保ち方や妖怪ブックマーク外しとの戦い方など、メンタル面へのサポートも充実しています。


でも、そういう話題をエッセイやあるいは小説の前書きとか後書きで目にするたびに、こむる思ってしまうのです。



アクセスとかポイントとかブックマークの増減なんて、そんな毎日毎日チェックしなきゃいいのに。

「テンプレとかにこだわらず書きたいものを書いてるんです(キリッ)」みたいな感じで「ポイントなんて気にせず好きに書いてます(キリッ)」とか言って、その建前を実践してればいいんですよ。

気にしてないふりをするの、けっこう気楽で快適ですよ。



あ、ごめんなさい、石を投げないで。

ほんと適当な作者ですみません。



 今わたしの胸元には、銀のメダルの中央に翠色の石?が嵌め込まれたアミュレットが下がっている。


 これは、昨日の謁見で剣や金貨なんかと一緒に下賜されたもので、敵から受けたダメージをある程度軽減してくれる効果があるそう。

 それも、王都そばの森の深層にいるあのシカやイノシシ型の魔物くらいの攻撃ならびくともしないとのことなので驚きである。


 そんなに凄い魔石を――!? と触るのもおっかなびっくりなわたしだったが、実はこの石に見えるもの、ドラゴンの鱗――魔石と同じような性質を持っているらしい――だという更に衝撃の事実に、思わずアミュレットを取り落としそうになってしまったのは秘密だ。


 今から数百年前。当時の勇者が魔の森で魔王軍と闘った際、軍の中核として立ち塞がったドラゴンを死闘の末討ち果たし、持ち帰られた素材が王家の至宝として伝わっており、以来歴代勇者とそのパーティーには、そのドラゴンの鱗で作られたアミュレットが与えられるようになったのだそう。


 子供みたいに目を輝かせて喜んでいたレオン君の解説によると、ドラゴンの強さは鱗に表れるらしい。勿論身体の大きさなんかもその証明のひとつなんだろうけど、ドラゴンの持つ魔力の属性は鱗の色に。その魔力の高さ、質は色の深さ、透明度に。


 このアミュレットに使われている鱗は、翡翠によく似た半透明のエメラルドグリーンをしている。


 これだけ色がはっきり出ていてしかも透明度の高い鱗なんて、一生に一度お目にかかれるかどうかだとレオン君が興奮していた。


 うん、流石王家の宝だね。





 と、まあ――そんなわけで、朝食の席を見回すと、エドガーやキースさん、レオン君の胸元にもきらりと輝いているアミュレット……って、あれ?


 え、えーっと、アルスさんは服の下に仕舞ってるのかな、多分。


「チズル様? どうなさったのですか?」


 襟元の隙間からアミュレットの鎖とか見えないかな~とか無駄な努力をしていたわたしに、キースさんが尋ねる。


「あ、ううんっ、ちょっと考え事してたの」


「考え事、ですか――」


 まさかアルスさんがアミュレットをちゃんと付けているのか気になって、透視能力を発揮できないか試していたんです。なんて正直に言えるはずもなく。


「アルスさんは、昨日の夜会でどこにいたのかなあ……って」


 と、わたしは咄嗟に誤魔化していた。とはいえ全くのでまかせという訳ではく、この事が昨夜から気になっていたのもまた事実で。


「ああ、それは確かに気になるな」


「いつの間にか広間から居なくなってたもんな、アルス」


 エドガーとレオン君も、興味を持ったらしく会話に参加してくる。


 昨日は何て言うかこう、まさに夜会!!って感じで。これまでそういったものに縁のなかった庶民なわたしを、エドガー達はそれこそ夜会の始めから終わりまできっちりサポートしてくれた。


 挨拶にやって来るなんとか伯爵とか侯爵とかなんとか令嬢への対応にまごつくわたしをスマートにフォローし会話に引き入れてくれて。かといって会話を長引かせず適度に切り上げてくれて。


 立食形式に慣れないわたしの分まで料理や飲み物取りに行ってくれて。


 及第点が出る程度には練習したとはいえ、初対面の人相手に踊るにはまだ自信のないわたしが緊張しないですむように、順番でダンスを担当してくれて。


 わたしの世話に掛かり切りになって、エドガー達が他の人と話したりする時間があんまりなかったんじゃないかと思うと、とても申し訳なくなる。

 ほら、三人は見た目も地位も申し分ない、言わば超優良物件な訳で。それなのに、勇者のパーティーに選ばれたからかまだ婚約者とかはいないらしいし。


 ――もしかして、わたしってばエドガー達の出逢いのチャンスを奪ってしまったのではないだろうか……!?


 次回からは、ちゃんと一人になってもやれるように頑張らないとなぁ……。


 と、まあ、そんな反省頻りの夜会だった訳だけど。その間我等がアルスさんがどうしていたかというと――


「香水臭くて鬱陶しかったから、庭に避難していた」


 皆の視線を受けて、アルスさんは淡々と、そう告げた。


 こ、香水臭いって……思わず紅茶を噴きそうになる。


「アルス……もう少し言い方というものが――」


 呆れたようなエドガーの声。


「そうだよ、アルス。あんだけ綺麗どころに囲まれてたんだ。一人位は気になるお嬢さんとかいなかったのか?」


 とレオン君。


「――別に、興味ないし面倒臭い」


 そう答えるアルスさんはどこまでも無表情で――


 そのことがむしろアルスさんの本気度を示しているようで、わたし達は乾いた笑いを漏らすのだった。




 ――そう。アルスさんは勇者パーティーの一人、つまり昨夜の夜会の主役の一人として大人気だったのだ。……特に年頃のご令嬢方に。


 御披露目用の正装に身を包み、貴公子然と佇むアルスさんはそれはそれは見目麗しく、目をハートにしたご令嬢方がダンスに誘われようと熾烈な争いを(表面上は素晴らしく優雅に)繰り広げていた。


 本当は、わたしも折角だから一度くらい踊らないかと誘ってみたかったんだけど、あの人の群れに気後れしている内にアルスさん会場から居なくなっちゃってたんだよね……ちょっと残念。


「――じゃあ、今度からわたしと一緒に行動しませんか?」


 だからだろうか。そんな台詞がするっとこぼれてしまったのは。


「「「チズル(様)?」」」


「えっと、わたしなんかじゃ生粋の貴族令嬢さま達には敵う筈もないってわかってるけど、それでもっ、多少は虫除けになれるだろうし! ――それに、折角の夜会なんだから一曲位は踊らないと損、じゃないですか……?」


 うう、勢いに任せてとんでもなく恥ずかしいことを言っていないか!? 自分! ――最後の方失速して俯き加減になっていく最中、ちらりとアルスさんの様子を伺うと、パンを口に運ぶ手を止め、丁度ぱちりと瞬きする瞬間だった。


「だ……だって、ほら! わたし達仲間だし……」


 ばっと勢いよく顔を上げ、半ば混乱したまま言葉を重ねる。


「それにわたし、アルスさんのことを“所詮はダンスも踊れないような野蛮な冒険者だ”とかって馬鹿にされたく「チズル――!」……あっ」


 エドガーの制止に、はっと口を押さえた。沈黙が辺りを支配する。


 ――や、やってしまった……。


 心の中でorzのポーズをとるわたし、気不味げな顔でアルスさんを見やるエドガー達。


 ……実は、アルスさんを好意的に見る人達の他に、貴族の中に冒険者が紛れ込んでいることへの嫌悪感も顕に眉をひそめる一派も存在したのだ。


 側を通り掛かった際に偶然耳に入ってしまった、悪意に満ちた言葉――。


 その場で言い返したところでどうにもならなかっただろうし、夜会の空気を台無しにしたりむしろアルスさんの立場を悪くしてしまうかもしれないからと、エドガー達に止められたからスルーするしかなかったけれど。


「――ああ、なるほど」


 至極冷静に、理解した、と頷くアルスさん。


「違――あの……これは、違くて――」


 そんな風に言われていたなんて、知らないならその方がいいだろうと、わたし達の胸の中だけに納めておこうって話し合っていたのに……。仲間を悪く言われるのは気持ちのいいことではないけど、この手の偏見はどうしても付きまとうものだからって……。


 何をどう言い訳したいのか自分でも分からないまま、“何か”を言い訳しようとするわたしに、だけどアルスさんは。


「言いたい奴には言わせておけばいい。別に気にするようなことでもない」


 ――アルスさんは、涼しい顔でさらりと言ってのけたのだった。まるで、本当にこれっぽっちも気にしていないとでもいうように。


「でも、アルスさん――!」


 一旦は納得した筈なのに、それでも、という想いが沸き上がってくる。だって――だって、アルスさんはちっとも野蛮なんかじゃない。マナーとかダンスについて一から教わらないといけなかったわたしなんかと違って、アルスさんは最初から完璧だった。なのに、なぜあんなことを言われないといけないのだろう。


 アルスさんはこの世界の平和の為に、彼等の為に頑張ってくれているというのに。


 以前冒険者ギルドでクレアさんに「貴族のお遊び」と言われた時とは全然違う。あの時は、クレアさんや他の冒険者の人達は、わたし達が勇者だって知らなかった。でも、昨日の人達は知っていたのだ。それなのに、アルスさんが冒険者であるというだけで……。


「……でも。わたし――大切な仲間なのに、悔しい」


「チズル……」


 膝の上でぎゅっと手を握るわたしを励ますように、エドガーがぽんと肩に手を置いた。


「あんな戯言、チズルが討伐を成功させれば吹き飛んでしまうさ」


「エドガー」


「だから、チズルが気に病む必要などない」


 キースさんも優しく微笑んで、


「その通りですよ、チズル様。ああですが、こちらから付け入られる隙をみせない、という意味ではチズル様の仰られる通りダンスのひとつでも踊って見せるのはいい手かもしれませんね。――チズル様を独占出来る時間が減ってしまうのは残念ですが」


 最後に、そう冗談めかして言われたのに思わず頬が熱くなる。


「俺、チズルとだったら一晩中でも踊ってられるぜ!」


 はいはーいと手を挙げながらレオン君までそんなことを言い始める。


「でも、アルスと踊るのはもう勘弁してほしいかな」


 アルスさんがレオン君を相手にダンスを披露した時のことを引合いに出されて、つい声に出して笑ってしまった。


 ――でもね、レオン君。あの時の光景、今でも侍女さん達の間で語りぐさになってるらしいよ……?



野菜のお吸い物が嫌いだった話


なんかこむるさん、その手の話が多くありません?

まあ、いろいろと過去に悲しいすれ違いがあったんですよ、きっと。



貝とかお魚のお吸い物は好きです。おいしいです。

でも、ニンジンとタマネギと豆腐とえのきの入ったお吸い物がほんとに嫌いでした。

それ以外にもきのことネギの入っているお吸い物は大抵苦手だったものです。


そんなわけで、自分で作るのはもっぱら魚介類のお吸い物ばかりだったのですが、給食でおいしかったという娘のリクエストにより作ることになってしまったのですよ、きのこのお吸い物。

作ってみてあらびっくり。タマネギとニンジンが好みじゃないのは置いといて、ちゃんとお吸い物になっているではないですか。


どうも、ママンのお吸い物は、三人分のお湯に3グラム5グラムのかつおパックを一袋ばかりしゃぶしゃぶした程度の出汁で作られていたようなのです。貝やお魚の場合は、そこからよい出汁が出るので問題なかったけど、お野菜やきのこメインだとちょっと問題になったということみたいですね。

なるほど、と思いました。



みなさん、出汁はちゃんと取りましょう。

昆布やかつお節のパッケージに書いてあるようにすれば基本大丈夫ですが、あれ、けっこう上等な一番出汁の取り方だったりするので、しっかり味をつけたい煮物なんかのときは、二番出汁を使うとか弱火で煮出す出汁の取り方をするのがよいかもしれません。

お好みに合った出汁の取り方をどうぞ。

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