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クローゼットの中の“あれ”

side○○ってあるじゃないですか、まあわからなくはないんですよ、主人公の一人称で書いてるけどこのキャラクターに語らせたい!みんなも知りたいでしょ、この場面のこいつの気持ち! キャー! (/▽\)♪

みたいなやつ。わかるんですよ。



でも、主人公の一人称で書くって決めたら最後まで書ききってほしいな~とか思ったり、あと、おんなじ場面のおんなじ会話を下手すりゃ2度どころじゃなく何回も読まされるのって、面白くない。






番外あれこれ

ゲーム転生して何年もたってるのに、展開とかフラグとかキャラクターの会話内容まで事細かに覚えてる主人公ってすごい!


 生活の道具としてあるいは魔法を発動する補助として、今では我々にとって欠かすことのできない魔石であるが、主な作られ方は二種類――水晶など魔力の影響を受けやすい鉱石に魔力が蓄積してできるもの、もう一方は魔力が結晶化してできるもの――である。


 鉱山などの魔力が溜まりやすい場所、いわゆる魔力溜りから採れる魔石は前者、討伐された魔物の体内から採れる魔石が後者となる。


 それまで謎とされていた魔石の作られるメカニズムを解明し、はじめて人工的に魔石を生成することに成功したソーマ・ユートはまた、術者の魔力を補う使い方しかされていなかった魔石に特定の魔法を封じ任意にそれを発動、停止させる術をも編み出した。


 これにより明かりや調理用のコンロ、飲料水を生成する魔道具など日常生活の必需品から攻撃、防御の魔法を込めた装身具の開発が盛んに行われるようになり、人類の繁栄の基礎を築いた。


 ソーマ・ユートは、魔石の安定的な供給のために職業的に魔物を狩る組織――冒険者ギルドを設立する一方、公衆衛生や教育の普及にも尽力し、今日に至るまでその功績を讃えられている。


 また、彼を公私ともに支えたとされる複数の女性の存在も知られており、元奴隷から商家の娘、女性騎士、亡国の王女などその出自もさまざ――(本を閉じる音)










 魔道具を作成する工房で魔石に所定の魔法をかける、あるいは魔石の元となる石に魔力を込める仕事は、魔法が使える学生や主婦のちょっとした収入源になっている。


 マーサの紹介でサキが工房を訪れたとき、その年齢から最初は渋い顔をされた。しかし魔法屋敷に住んでいると言い、自分の魔力のみで魔石を作れることを実践してみせるとその場で採用が決まった。


 朝の二時間ほど工房で魔石を作って、そのあとは気の向くまま買い物をしたり料理を作ったり、森に出かけたりするのがサキの普段の過ごし方である。


 主婦の皆さまや学生さんにまじって大量生産品用の魔石を作り、時には貴族や魔法使いの特注品のための魔石(機能だけでなく見た目にも注文が細かい)を職人さんとああでもないこうでもないと試行錯誤するうちに気づいたことがある。







「もしかして、わたし魔法関係の諸々をもらいすぎたのかしら……?」


「どうしたんだ、急に」


 森の入り口の倒木に腰かけ、サキとアルスの間にはデザートの木苺のパイとタルトが山盛りになったかごが置かれている。


「ええとね――」


 サキはポットに魔法で水を注ぎそのまま沸騰させ、紅茶を入れながら説明した。もちろんその横でカップとミルクをあたためておくのも忘れない。


「わたし、神さまにいろいろほしいものをお願いした余り分で魔法を使えるようにしてもらったの。普段暮らすのに困らない程度に使えれば充分だったから。でも、周りの人たちを見てるとなんだか、その」


「自分より魔力の高い人間がいない? それも圧倒的な差で」


 サキはうなずいた。この3ヶ月で、自分より高い魔力を持った相手には、アルス以外出会っていない。学園の教師や宮廷の魔法使いはまだ会ったことがないのでわからないが、少なくとも今まで出会った一般人にはいなかった。


 おかしい。わりと好き放題にお願いしたはずなのに。


「あー、そうだな……」


 ため息をつくと、アルスは確証はないけどと話し始めた。


「まず、俺は多分だがこっちに来る際にもらった力は魔法や魔力に関するものだったんだと思う。向こうにいたころは、ゲームなんかでも剣士より魔法使いの方を好んでいた気がするし、今の俺は明らかに魔法よりだから間違いないはずだ」


 ひとつうなずいて、サキはカップに紅茶を注いだ。砂糖は入れない。

 その間にも順調にお菓子は消えていく。アルスは甘いものもそれなりにいけるらしい。よかった。


「いわゆる魔法特化の俺とサキは大差ない魔力量の持主で、自覚はないかもしれないけど、そうやって普段何気なく使ってる魔法も、そこらの魔法使いが裸足で逃げ出すぐらいのことをしてる。ここまではいいか?」


「そうなの?」


「そうなの」


 こてんと首をかしげたサキは、こっちの世界の先輩であるアルスが言うならとひとまず納得した。言われてみれば、細かい調節がいる魔法を複数同時に展開するなどという芸当は、たしかに難易度が高い――のかもしれない、たぶん。


「それで、なぜそんなことになっているのかだけど」


「うん」


「自分で思っていたよりもお願いが余ってたんじゃないのか?」


「うん――えっ?」


 どことなく言いにくそうな様子のアルス。


「家とかお金、あとは情報がメインだったんだろ? 才能とか能力なんてのを後付けで本人に付与するよりも、現物支給のほうがなんとなくコストが軽そうだし。あと――サキのお母さんの分も上乗せされてたんだよな。それで、サキのもともとの歳と合わせてだいたい……」


「七十年くらい?」


「そう、“生まれ変わる”のではなく“生き返る”ために十年は必要だから最終的には六十年分使えたことになる。考えてみろ、十八歳かそこらで死んだ俺でも“この程度”にはなれるんだ」


 逆算してみて、魔法とお金で三十五年前後、これでもかと魔法の仕掛け付き、管理維持に必要な魔力はどこからか自動供給の家と、地球産の食材を入手する仕組とで十年間ずつくらい? 言語能力と知識色々はたぶんそんなではない――。


 サキは、口の中のパイをごっくんと飲み込んで――呟いた。


「……わーぉ」


 つまり、この3ヶ月ひたすら先送りにしてきた、クローゼットの中の“あれ”も、同様の理由であんな量になったと。


(今度“収納”しとこう、無用心だし)


 なんとなく自分のものだという実感が持てず一切手をつけていなかったのだが、ようやくあれにさわっても怒られないのだと思うことができた。かといって特に大きな買いものの予定はないのだが。


「そっか――ありがとう、アルス。おかげで疑問が解決したわ」


 感謝のしるしに、アルスの手にタルトをのせた。





パイメモ


・ひと粒タイプのチョコレートを冷凍パイシートで包むと、ひと口チョコパイができる。




マカロンメモ


・湿気の多い地方では、ゴールデンウィークを過ぎたら作ってはならない。作るときは冷房、除湿をしっかりきかせること。

軽量するそばから粉砂糖がベタついてってしまいます。


・粉に卵白を合わせるのではない、卵白に粉を合わせるのだ!←計算が超面倒そうなのでやったことはまだない。


・オーブンの天板の大きさに合わせて切った紙(コピー用紙など)に作りたいマカロンの大きさの円を等間隔に書いて、オーブンシートの下から透かして生地を絞るとよいでしょう(あ、こんなのみなさんとっくにご存じですか)。


・きな粉と練乳を半々くらいでまぜると、お手軽きな粉クリームのできあがり。バニラ生地、抹茶生地などにどうぞ。ダックワーズにもよく合います。


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