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※あくまでも現地人による考察です

テンプレな逆ハーヒロインちゃんって、何を言っても好感度が上がっていくじゃないですか、こう、悪役令嬢断罪の場面ですら。

それと、笑顔で無邪気に地雷源に突っ込んでいく傾向があったり。


あれね、自分で書いててなんとなくわかりました。

お互いに何を言っても肯定してもらえる、プラスに受け取ってもらえるっていうスパイラルが天元突破してて、自分たちだけで世界が完結してるから、周りの全てのことが好感度上げの材料にしかならないんだよ。あと、自分たちに何かあってもやっぱり燃料投下になるっていう。




つまり、こむるが何を言いたいかといいますと、うちの逆ハーども、あんなにひどいやつだとは思わなかった、こむるも書くまであんなだとは思ってなかったんだ。

きっと、千鶴さんはやつらに感覚を慣らされた犠牲者なんだ……あ、でもなるべくしてなったのかも。


前回は、不快な思いをされた方、大変申し訳ありませんでした。

 栄えある魔法大国ベルーカの宰相であるナタニエル・セニエ――ナタンには、もうじき家族が増える予定になっている。


 とはいっても、弟か妹が産まれるのではなく――両親はいまだ仲睦まじいため、そういったことが起こる可能性も一応なくはないが――彼の幼馴染みにして主のアルスが“外”の国で出会った精霊の子を迎え入れるということなのだが。


 王の婚約者問題に頭を悩ませて、どこかにアルスに見合った魔力を持つ精霊の子の娘さんでもいないものだろうかと考えたその日に、まさかその通りの相手に会えるとは思ってもいなかった。


 幸いなことにその娘さん――サキは性格も穏やかで、かといって萎縮して自分の意思を伝えられないということもない。

 お茶会や庭の散策で交わされる会話という名目でそれとなく行われている、歴史やマナーの講義でも優秀な生徒であるということだし、現状アルスの婚約者にはサキが筆頭候補ということでほぼ決定だろう。


 というより、アルスがサキを溺愛する様子を見ていれば、それ以外の選択肢に彼がうなずくとも思えない――まあ正直、せめてあと何年かは節度を持って……などと思わなくもない(ロリコ……いや、そんな単語はナタンの辞書には存在しないのだ。そういうことにした)のだが。


 今は内定だけで、正式な発表はサキの成人を待って、とも考えていたが、自分たちの派閥から王妃を出したい貴族たちからの横やりが入る前にさくっと決めてしまった方がいいのかもしれない。

 まあそれも、とりあえずは召喚された勇者の問題に方が付いてからの話である。





 今日はアルスに暇ができたということで、ふたりは一日のんびり過ごす予定になっていた。


 邪魔をしては悪いということで、普段掃除や食事などサキの世話をしに通っている侍女たちも、取って付けたような理由をでっち上げて城に残り、夕方前になってようやく夕食の準備を手伝いに出向いたはずである。


 アルスの確認が必要な書類をそろえ(アルスがサキの家を訪れる口実作りのために、本来必要でない書類まで紛れていることもあるが気にしてはいけない)、いつもならサキとナタンとでアルスを迎えるのが、今晩はサキとアルスがナタンを出迎えてくれるのかとちょっと弾んだ足取りで、城の庭園の奥にあるサキの家と繋がる木戸を押し開けたのだ。




 ――だというのに、これはどうしたというのだろう。




 呼び鈴を鳴らしたナタンに玄関を開けたのは侍女のメイシーで、沈んだ声で「姫様は今眠っておられるのです」とささやくように告げられた。


 そっと居間を覗くと、ソファに丸くなって毛布に包まっているサキと、ソファの前に腰をおろし、苦い表情でサキの髪をなでているアルスがいる。ただ事でない雰囲気だ。


 廊下に戻って音をたてないようにドアを閉め、メイシーにたずねる。


「いったい何があったのです?」


「わたくしも詳しくお聞きしたわけではないのですが……陛下と姫様が庭にいらしたときに、その、勇者様のご一行がいっらっしゃったそうなのです」


「――勇者が?」


 眉をひそめる。アルスは今、ベルーカ建国以来先送りにしてきた(直接的な被害がないため無視していたともいう)勇者召喚による魔王討伐の問題を解決するべく勇者と行動を共にしている――とはいえ、なぜこんなところまで勇者たちがやってくるのか。


「いえ、勇者様がたは果樹園の散策にいらしたそうで、出会ったこと自体はまったくの偶然らしいのですが……」


 なんだろう、とても嫌な予感しかしない。


 どうやら勇者として召喚された少女はアルスに興味を持っているらしく、勇者への対応を間違えたらしいアルスのお菓子が、しばらくクッキー1枚になってしまったのは記憶に新しいところではあるが……どうもそんなレベルのことではなさそうだ。


「陛下の――いわば冒険者仲間の方々を無下に扱ってパーティー内の空気を悪くしてもいけないと、姫様はご一行を庭にお通しになったのですが」


 それで――とメイシーは痛ましげに目を伏せる。


「お茶などをお出しして歓談の最中に、どうもそうとは知らずに、勇者様が姫様のお母様のことを話題に出されたそうで」


「母君のことを、勇者殿が――?」


 “勇者の仲間”ではなく“勇者”がという情報に疑問の声がもれる。


「ええ――それで何か大変悲しいことをお知りになったようで……それから姫様はずっと泣いてらして――」


 自分が来て少ししたぐらいに泣き疲れて眠ってしまったのだと、メイシーは答えた。


 今年の春頃に亡くなったというサキの母と、ほんの数ヶ月前に“こちらの世界”にやってきた勇者との間に、接点などあろうはずもないのに――と考えてはたと気付く。それが、“向こうの世界”のことだったら……?


 先日アルスから、“記憶持ち”は勇者の召喚に巻き込まれた者たちなのだと教えられた。


 記憶持ちの魔力が高いことが多いのは、召喚で使われた魔力を“こちらの世界”に送り返した影響なのだろうか。だとしたら、アルスやサキの魔力の高さにも納得がいく――結局これまではっきりと本人に確かめることはなかったが、ナタンはアルスが記憶持ちであると知っている。そして、おそらくはサキもそうなのだということも。


 はじめて会ったとき、サキが歳のわりにひどく大人びているのに内心驚いたが、アルスの言うところの“前の自分”を覚えているからだとすれば不思議はない。


 とするなら、勇者と“前のサキ”ないしはその母には“向こうの世界”で何か関係があったのかもしれない――


 とにかくアルスから事情をきこうと改めて部屋に入り、ソファに向かう――台所にちらりと目をやると昨日からサキが作っていたシチューの鍋は手付かずのまま、テーブルにはりんごが山盛りになったかごが置かれて……


「陛下」


 そっと呼びかけるとアルスは顔を上げ、ほんの少しだけ笑った。


「ナタン――話は向こうでしようか」


 泣き腫らして赤くなった目元を親指で優しくなでながら治療の魔法を使い、アルスは立ち上がる。


 テーブルの席についたアルスの向かいにナタンは座り、庭で何があったかを聞いた。メイシーはアルスのかわりにサキについている。


「……こんなことは、部外者の俺がぺらぺらしゃべるようなことでもないからざっとしたことだけな」


 そう前置きし、大きく息を吐き出す。


「サキが、召喚に巻き込まれた元“向こう”の住人だということは……?」


 きかれてナタンはうなずく。


「おそらくそうだろう、とは思っておりました」


「サキと、サキの母親は”向こう“で事故にあっている。それが……サキが“こっち”に来るきっかけになったわけだが」


 “きっかけ”――アルスは言葉を濁してはいるが、つまり“前のサキ”はそのときに……


「姫の母君はどうなられたのですか?」


 沈黙。それが答えだった。


「今日、勇者が召喚されるときのことが話題になって、勇者とサキたちが同じ事故に巻き込まれていたことがわかったんだ」


 思わずナタンは息を飲む。


 自分が記憶持ちとして生まれることになった原因が目の前にいるのだ。巻き込まれた側であるともいえる勇者はともかく、召喚を主導した側の者たちもいて、しかも向こうはそのことに一切気づいていない。


 サキの年齢と召喚の時期が合わないのは、異世界どうしを繋ぐ術なのだ、時間の流れかたが曖昧になるということもあるのかもしれない。


「それは――さぞやるせない思いをなさったでしょうね」


「ああ、でもそれだけならまだよかったんだよ――」


 アルスはゆるゆると首を横に振る。……まだこれ以上に何かあるのかと、ナタンは空恐ろしさに震えた。


「やつら、サキの前で笑って言ったんだ、あの親子はお互い庇い合って凄い、素敵だ――勇者の優しさが届いてきっと助かってるからって」


「まさか、そんな……ですが、それはあまりにも」


 知らなかったとはいえ、悪気はなかったとはいえあまりにも、惨いではないか。


 おいたわしい、姫様――涙混じりの声がソファの方から聞こえてきた。


 怒り、後悔、悲しみ、そんな感情がアルスの瞳に浮かんでは消える。


「勇者の話に出てくる親子っていうのがサキのことだって気づいてすぐに勇者を止めようとは、したんだ。でもサキが」


 アルスが声をあげるのを首を振って制したのだという。母親のことはちゃんと知りたいからと。


「こんなことになるなら、やっぱり止めておくべきだった」


 二人して、言葉もなく机に視線を落とす。


 メイシーのすすり泣きだけが部屋に響いていた。





 とりあえず仕事はしてしまおうと重苦しい空気のなか作業を終わらせ、アルスはサキのもとに戻り、ナタンはメイシーのいれたお茶を飲んでいる(用意したのがサキでないのが少し残念だ)。


「サキ、起きたのか――?」


 毛布の山がもぞもぞ動いている。


「……あたまいたい」


「たくさん泣いたもんなあ」


 顔を上げたサキを毛布ごと抱き上げてソファに座り、心配そうにアルスはサキの顔をのぞき込む。


「何か食べるか――食べられそうなものはあるか?」


 大丈夫か、ときかないのは、その答えがわかりきっているからだろうか。


「りんごのうさぎさん」


 顔を伏せたままサキはぽつりと答えた。


「苦手だったんじゃないか?うさぎのやつ」


 メイシーがりんごとナイフを用意して皮をむこうとするのを止め、こちらに持ってくるようにとアルスが手で招く。


「だって、風邪をひいたときもいつもこれだったんだもの」


 サキを隣に座らせ、受け取ったりんごを切り分けて器用に皮をむいていく。切り込みを入れて皮を一部残し――なるほど、うさぎさん。


「普通は、風邪をひいたときはすりおろしりんごだと思ってたんだけどなあ」


「あれ、味はいいけどすぐ食べきらないと茶色くなるじゃない。だったら枕のそばに置いておくのは、わたしが“好きな”うさぎの方がいいって、母さん……」


 ナタンは、サキとの何気ない会話のなかで、かけがえのない思い出を見つけ出してはそっと心の宝箱にしまう、そんな目をするアルスを見るのが好きだった。“今の自分”を受け入れてはいても、ふとした瞬間どこか寂しげに遠くに目をやるアルスをずっと見てきたナタンは、この変化をとてもうれしく思う、のだが。


「色が変わらないようにレモンを入れると、味が変わっちゃうし」


「――ああ、時間がたつとすごい色になるよな、あれ」


 しかし、今のアルスは悲しげにライムグリーンの瞳を曇らせ、力なく笑っている。


 木皿の上に並んだりんごをひときれ手に取り、容赦なくうさぎの頭をかじりとったサキは、やっぱりおいしくない、とつぶやいた。


「ほんとに嫌いだったの。耳のところ全然おいしくないし、でもそんなこと言えないし」


「サキはお母さんのこと、大好きだもんな」


 りんごをむき終わったアルスは、もう一度サキを膝の上に乗せた。


「嫌いだけど、でもやっぱりうれしかったの……母さんが、わたしのためだけに特別に作ってくれたうさぎ、だもの……」


 ぽろりとサキの目から涙がこぼれた。


「サキ、サキ――」


  アルスはサキを抱きしめ、ごめんな、と謝る。


「俺がちゃんとあいつらを止めていれば」


「アルスのせいじゃないわ……わたしがあのお姉さんの話を全部聞きたいって思ったから」


「それでも、あんなこと言わせちゃいけなかった――」


 自分と最愛の家族の不幸を美談として、そのうえ勇者の株を上げる道具のように扱われる辛さ、屈辱はいかほどなものか。サキの嘆きようを見ているだけで、ナタンの胸も張り裂けそうになる。


「――わたし、この国のお城のひとたち、嫌い。勇者のお姉さんも嫌いよ」


 泣きながらサキは訴える。


「あんなひとたちが使う魔法に母さんは巻き込まれたっていうの? ほんとうは呼ぶ必要もない勇者の召喚に? それでやってることっていったらあのお姉さんをみんなしてお姫さま扱い……ひどいよ、ひどすぎるよ――」


「ごめん、ごめんな――“外”のやつらを放っといた俺たちのせいだ、すまない、サキ」


 苦しげに謝罪を繰り返すアルスの胸元に、おでこをぐりぐりとこすりつけるようにしてサキは首を振った。


 勇者の召喚には実害がないと思っていたら、今こんな大きな悲しみを伴ってナタンたちの前に姿を見せている。

 これまで手を抜いていたわけではないけれど、もっと本気でこの問題に取り組まねばとナタンは誓いを新たにする。


「サキと、サキのお母さんには間に合わないけど、もう二度と勇者の召喚なんて行わせない。絶対に、“外”のやつらに誓わせてみせるから」


 自ら各国の城に乗り込んで、召喚に関する文献から儀式の間から跡形もなく消し去ってきてもいいと言うアルスに、


「でも――それじゃあアルス、ほんとの魔王さまになっちゃうわ」


 と、サキはまだずいぶん悲しげにではあるが、ほんの少しだけ笑うのだった。


「サキのためならなんだってやるし、なんにだってなるさ」


 アルスはサキの涙を優しい手つきで払い、その閉じたまぶたにキスをした。




 サキ――新しい妹が一日でも早くもと通り元気な笑顔を見せてくれるようになればいい、とナタンは願った――相手は神、精霊……いや、この場合はアルスに祈るのが確実だろうか。



こんな素晴らしいりんごがをもらえる私はきっと特別な存在なのだと感じました。


なぜだろう、ナタン氏のお話にはヴェルタースオリジナルの影が見え隠れする……





ペペロンチーノ


簡単、おいしいペペロンチーノスパゲティー。食べたあとは次の日くらいまでニンニクのにおい対策を忘れずに。



材料(二人分):

・ニンニク ひとかけ

・鷹の爪 1~2本

・厚切りベーコン 1枚(なくても可)

・オリーブオイル 大さじ2~3

・粗びきこしょう 少々(なくても可)

・スパゲティー 200グラム



作り方:


・鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩を入れる。塩加減はしっかりと少しきつめなくらい。


・スパゲティーをゆで始める。


・ニンニクはスライス、鷹の爪は種を取り除いてお好みでスライスする。ベーコンは拍子木切り。


・フライパンにオリーブオイル、ニンニク、ベーコンを入れて弱火でじっくり炒める。途中で鷹の爪を加える。


・油に香りが移ったらスパゲティーのゆで汁をお玉2~3杯加え、フライパンをよく揺するかヘラでかきまぜて油と水を白っぽく乳化させる。


・水気を切ったスパゲティーを加えて混ぜ合わせ、皿に盛り、こしょうを振る。



メモ:


・スパゲティーは少し細目(1.6mmとかそれくらい)がおすすめ。


・スパゲティーのゆで時間と自分の作業スピードとを相談して、ゆで始めるタイミングを決めよう。


・塩加減は、とりあえずはスパゲティーの袋にある分量から試してみて、自分の好みを見つけるとよいのではないでしょうか。ちなみにこむるは袋にある通りぐらいがちょうどいい。


・ベーコンは表面をかりっと焼き上げるのがおいしい。


・辛いのが苦手なお子にも作るときは、フライパンをふたつ用意して片方に材料を入れ、そのまま(種は取る)か半分に折った鷹の爪を加えて気持ち辛くなったのかも……?くらいでとり出し、大人用のフライパンに入れるといいでしょう。


・ゆで汁を加えるときは、最初の1杯は数回に分けて少しずつよく混ぜながら加える。



・ペペロンチーノのジェノベーゼ風


いったいジェノベーゼスパゲティーと何が違うの?……たぶんバジルバジルしてる割合かなあ。


作り方:

ゆで汁を加えるくらいのタイミングでバジルペーストを大さじ1ほど加える。ペーストの量はお好みで調節。



・小松菜のペペロンチーノ風


作り方:

オリーブオイル大さじ1分の材料(スパゲティー以外)を炒め、食べやすい大きさに切った小松菜2~3把加えて炒める。

ほうれん草より小松菜がこむるは好みかな。


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