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side千鶴――地雷をがんがん踏み抜いていくスタイル

連続投稿3/3


会話はデッドでドッジボールだ!あとサッカーしてるつもりが向こうは蹴鞠してたりとかもあるよ!



なんかね、こうね、”……“とか”――“がてんこ盛りの文章を自分が書いてると思うとむずむずしてくるの。

 ……サキちゃん、日本人じゃなかったのか。


 顔立ちもアジア系の感じだし、アルスさんの時とは違って自信あったのになぁ~。思わずため息が漏れる。


「わたし、そとのくにのことはあんまりしらなくて……ごめんなさい」


 はっ、気を使わせてしまった!? 申し訳なさそうなサキちゃんに慌てて手と首を振る。


「ううん、全然謝らなくたっていいんだよ! わたしこそごめんね。サキちゃんがわたしの国の人に似てたから、もしかしてそうなのかなって思っちゃったの」


「ああ、確かに。髪とか目とかもおんなじ色してるもんなあ、チズルとサキちゃん」


 なるほどとレオン君がわたし達を見比べながら頷く。


「そう言えば顔立ちも似ているな。この系統の顔は、我が国では珍しいかもしれん」


「そうやって並んでいると、お二人はまるで仲の良い姉妹のようですね」


 わたし達みたいなアジア系の人達は、大陸の西の地域に多いんだってエドガーが教えてくれ、キースさんが聖母の笑みを浮かべる。


「チズルが来たニホンってとこは、皆黒髪で黒い目をしてるんだっけ? なんか不思議な感じだよなあ」


「この世界の人達は色んな色をしてるもんね。――なんか、サキちゃんを見てたら懐かしくなって来ちゃった」


 中世の街並みとか、カラフルな髪と目の人達とか、新鮮で楽しいんだけど、時々現代日本が懐かしくなるのもまた事実で。


 なんていうか、こう。お米と醤油と味噌が無性に恋しくなっちゃうんだよね。


「懐かしいって、チズル――元の世界に帰るとか言わないよな」


 ちょっと遠い目をしてたからか、不安そうにわたしの手を掴むレオン君と、それを嗜めるキースさん。


「レオン……そもそもチズル様に無理をお願いしているのはわたくし達なのですから――」


 そんな二人にわたしは苦笑して。


「うーんと、それなんどけどね、まだレオン君とキースさんには話してなかったっけ」


 わたしは気遣わしげなエドガーに大丈夫、と目配せしてこの世界に召喚された時のことを説明した。


「あの日、わたしは塾……えっと、個人で通う学校みたいなもの、かな。塾から帰る途中でね、春の、新しい学年に上がったばかりで。それで道を渡ろうとした時に、トラック――こっちで言うと大きな荷馬車……みたいな乗り物にに轢かれそうになって――」


「そんな……! 大丈夫だったのか!?」


「ちょうどその瞬間だったの、この世界に召喚されたのは。だから、わたしを召喚してくれた人達は命の恩人なんだよね」


 わたしが無事だったと知ってホッと息をつく二人。サキちゃんとアルスさんもじっとこっちを見ていた。


「――そんなわけでね、わたし、多分あっちの世界では死んだことになってるんだと、思う……だからね、だから、もう帰れないの」


 エドガー達ははっと息を飲む。


「帰れない……?」


 これはエドガーにも初めて話すことだった。


 ……ずっと。それこそ、この世界に来てからずっと考えていたことだ。


 勇者召喚されて元の世界に帰れる場合、召喚される直前の状態で、っていうパターンが多かったように思う。

 つまり、向こうに帰った瞬間わたしはトラックに轢かれてしまうという訳で……。

 ここで過ごしたのと同じだけ時間が経過した状態で帰るのだとしても、わたしはあの事故に巻き込まれて死んだことになっているんじゃないかって――。


 実はわたしは、この世界に召喚されてから一度も元の世界に帰れるか尋ねたことがなかった。


 それは、“元の世界に帰る方法がないのを確定させる”のが怖かったというのもあるけど、もし帰る方法があったとして、そのことによって“元の世界でわたしが死んでいることを実感する”のが怖かったからでもあって……。


「「「チズル(様)……」」」


 皆、痛ましげにわたしを見ている。……ふふっ、変なの。エドガー達が事故にあった訳じゃないのに。


「そりゃね、帰りたくない訳じゃないけど、今の状況にはちゃんと納得してるの。だから安心して?」


 小首を傾げて笑ってみせる。


「――召喚の儀式が、間一髪で間に合ったことに感謝せずにはいられません。本当に、よくぞご無事で……」


 すっとわたしの手を取ったキースさんは、そのまま両手で押し頂くように額に当てた。あぅ、ちょっと顔が熱い。


「そうだね、今こうしていられるのも皆のお陰だよ――」


 その時、ふとミントグリーンのスカートが脳裏を掠めた。


 ――――?


 ああ、そっか――


「うん、でも……あの人達は無事だったのかな……?」


「あの人達?」


 思わずぽつりと漏れた言葉をエドガーが繰り返す。


「あ、えっとね、その事故に……わたし以外に巻き込まれた人達がいたの――エドガーやキースさんくらいの歳の女の人と、多分、そのお母さん」


 一瞬のことでどうなったのかちゃんと見てはいないのだけど。


「お互いを庇い合うようにしててね、ああ、そうじゃなくてお母さんを庇おうとした女の人を、お母さんが突き飛ばしてた……のかな?」


「へぇ? そんな状況で相手のことを思いやれるって、なんか凄いな」


 レオン君が感嘆の声をあげた。


「ね、凄いよね? わたしもそう思うの」


「その二人は、とても強い絆で結ばれていたのでしょうね……大丈夫、きっと無事ですよ」


「そうだと、いいんだけど」


「そうさ、チズルのその優しい気持ちが、祈りが届かないはずがない」


 だから大丈夫、と皆に励まされて。わたしもあの二人はきっと無事だと思えるようになってきて。


「だね、あんなに素敵な人達なんだもの。絶対助かってるよね!」


 そうわたしが笑顔で言うのと、青い顔をしたサキちゃんが手に持っていたカップを落とすのは、同時だった。


「あ! サキちゃん、大丈夫!? お茶がかかったりしてない!?」


「うん、なかみはからっぽだったから――」


 強張った手で落としたカップを拾おうとして、取り落としている。

 そこにアルスさんの手が伸びてきてカップを拾い上げると、もう片方の手で流れるようにサキちゃんを膝の上に乗せた。


「サキ――サキ。無理するな」


「うん、うん、だいじょうぶ……」


 サキちゃんはアルスさんの服をきゅっと握り締め、肩口に顔を押し付けるようにしている。アルスさんは宥めるようにその背中をぽんぽんと叩いた。


「サキさんみたいな子には刺激の強い話でしたね……びっくりさせてしまいましたか」


 申し訳なさそうに眉を下げるキースさん。


 ああ……またやっちゃったよ。いつも、エドガー達と話してるとつい話が弾んでマリアさんとかアルスさんを置いてきぼりにしちゃうんだよね……。


「サキちゃん、怖い話とかしちゃってごめんね……」


 そろっと顔を上げたサキちゃんは、まだちょっと顔色は悪いけど、それでも笑顔を見せてくれた。


「ううん、ちょっとびっくりしちゃっただけだから――わたしのほうこそごめんなさい」


 ほっとしたわたし達は紅茶のお代わりを淹れて貰って少し歓談した後、サキちゃんの住む魔法屋敷を後にしたのだった。


「アルスさん、今日は遅くなるんだってね」


「ま、しゃーないさ」


 帰りがけに、一緒に帰らないかアルスさんに訊いて見たんだけどまだここにいたいからって断られてしまった。


「アルスさんは、本当にサキさんのことを大切にしてらっしゃるんですね」


 一緒に帰れなくて残念だな、って気持ちと、わたしは……わたし達はアルスさんにとってまだサキちゃん以下なんだな……という、どこか嫉妬めいた気持ちがちらりと顔を覗かせる。


「あの娘の前だと、アルスもすっかり“いいお兄さん”とかいう奴になるな」


「いい兄貴っていうか、むしろ溺愛してなくね?」


 違いない、と笑い合いながらも、その自分でもまだよく理解出来ていない感情はわたしの中で行き場をなくして少しずつ折り重なって……。







 ――わたし達は知らなかったのだ。


 サキちゃんのお母さんがわたしと似たような事故で亡くなっていたということを。

 どんな想いでわたし達が呑気に交わす会話を聞いていたかということを。――それどころか……


 そして……アルスさんに縋るようにして涙を流すサキちゃんの悲痛な叫びも、わたし達が知る由もなく――


「優しさなんて、祈りなんて何の役にも立たなかった……! あんなの、ちっともいい話なんかじゃない、お願いだから、美談になんかしないでよ……!」


 

そういえば2017/11/04に落書き倉庫に1枚追加してた。



おいしいパンを作ろう


生きてるパンではないけど。

貧乏性のこむるは、ホームベーカリーとイーストの限界に挑戦します。



丸パン(小)10~12個分


材料:

・強力粉 200グラム

・薄力粉 50グラム

・砂糖 20グラム

・塩 2グラム

・バター 20グラム

・牛乳 180グラム

・ドライイースト 3グラム



作り方:


・牛乳は電子レンジ、小振りの鍋などでお風呂くらいの温度に温める。バターは常温に戻しておく。


・ホームベーカリーがある場合は材料を入れ、生地作りの発酵までセットする。一次発酵は40分くらい。


・手でこねる場合は、ボウルに塩、ふるった粉、バター、砂糖、小麦粉の中央をへこませてドライイーストの順に入れ、温めた牛乳をドライイーストの辺りをめがけて注ぐ。


・ゴムべら、スケッパーなどでざっくりまとめ、手のひらの付け根で台にすり付けるようにこねる、叩きつけるようにこねるなどお好みの方法で。


・ひとまとめにしてボウルに入れ、ラップをかけて暖かいところに置いて一次発酵させる。オーブンレンジの発酵機能を使うのもよいでしょう。


・発酵が終わってガス抜きをしたら、はかりを使って12個の場合は38~40グラム、10個の場合は46~48グラムに切り分けて丸め、固く絞ったふきんをかけてベンチタイムを10~15分ほどとる。


・四隅をつまんでおしりの方に引っ張る感じできれいな面を出しながら丸め、固く絞ったふきんをかけて30分ほど二次発酵させる。


・間隔をあけて天板に並べ、180℃に余熱したオーブンで13~14分ほど焼く。


メモ:


・ぶっちゃけ、パンの作り方なんてそこら辺を検索したらもっとわかりやすいのがたくさん出てくる。


・3グラム分包タイプのイーストを使うのが便利。


・離乳期のお子用にふわふわ加減で作っていたものなので、オール強力粉、もしくは薄力粉30グラムとかでももちろん大丈夫。


・牛乳は同量の水または水とスキムミルク10グラム程度でも可。


・無塩バターを使う場合は塩を3~4グラムにする。


・焼くときに茶漉しで小麦粉を振りかけると可愛い。


・焼くときに水や牛乳を表面塗るともっちりぱりっと焼き上がる印象。ホームベーカリーでそのまま食パンにしてしまうときも、ベーカリー内の湿気のためか固めに仕上がるような気がする(こむるの温度管理その他がよろしくなかった可能性もあり)。


・季節や小麦粉の種類によって水分量を加減する……らしい。そんなプロのわざこむるには無理だ。


・冷めたらすぐ食べる分以外は冷凍するのがよいでしょう。食べるときは、すぐにトーストせずにレンジで10~20秒ほど温めるとよいでしょう。切り込みを入れてマーガリンをはさんで焼くのが好き。

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