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ジョンおじさんのなんでもこども相談室

味付海苔って、なんでエビエキス入りなんだろう。つらい。



こう、正直なところを申し上げますと、主人公はあんまり未来予知を働かせないほうがいいと思うんですよね。このときの俺はまさかあんなことになるとは思わなかった、とか、後に自分はこのときの行動を後悔することになる、とか。

おや、いったい何が起こるんだろう、気になるぞ。みたいな効果を狙えるっちゃあ狙えるかもしれないけど、あんまり頻繁に入れすぎると、ひねくれもののこむるみたいに、あーはいはい、フラグフラグ。くらいにしか思われなくなったりするし。

あと、そう書くことで先の展開がある程度読まれてしまうというのは、場合によってはデメリットになりますしね。

なにごとも、程々にですぞ、とこむるは思うのでした。

 その日、衛兵のジョンが冷え込む空気のなか帰宅すると、テーブルの自分の席に綿入りのベストが置いてあった。

 そのベストはところどころ縫い目がゆがんでいたり、始末し忘れた糸が飛び出たりしているが、かえってそれが手作りの暖かみを感じさせてくれる。


 これはどうしたのだろうと手に取って眺めていると、最近少しずつまた会話をしてくれるようになってきた娘が、


「これからの季節、外での仕事は冷えるから、母さんに教わりながら作ったの。あ、でもこんな下手くそなの、別に着なくてもいいから!」


 と口をとがらせながら説明してくれた(ジョンは、娘に抱きついて頬ずりしたい衝動を必死で抑えた)。


「そういえば父さん、アルスさんって冒険者知ってるでしょ、どんな人なの」


「アルスが?」


「そう、クレアさんの恋人。Sランクのすごい人だってのは知ってるけど、遠目でしか見たことがないから」


「こいびと……」


 アルスとクレアがとうとう付き合いだしたという話はまだ聞かないのだが……


「まあ、見た目はあの通りだからモテるな。性格も、薬草取りのちびどもに付き合ったりと面倒見がいいから、そこに惹かれるやつもけっこういるらしい」


「ふうん、そうなの」


 クレアに憧れている娘は、彼女関連のことになるとジョンともよくしゃべってくれる。心の中でクレアに、一家団欒に貢献してくれたことに感謝しながらジョンは続けた。


「アルスは、腕のいい魔法使いでな。剣も使えるらしいんだけど使ってるところを見たことがあるってやつはいないらしいぞ」


「クレアさんと並んでいても見劣りしないし、魔法を使うのなら剣士のクレアさんとパーティを組んでもバランスがいいし。みんなが、アルスさんならクレアさんにふさわしいって言ってるの、ほんとだったのね」


 感心したようにうなずく娘に、アルス本人の意思は関係ないのだろうかとジョンは苦笑いだ。


「アルスさん指名依頼だかで最近いなかったでしょう? それでクレアさんあんまり元気がなかったんだけど、今日はギルドでアルスさんと腕を組んでうれしそうにしてたんですって。指名依頼終わったのね、これでふたりいっしょにいられるわ、よかった」


 思い出すのは今日城門でアルスと一緒にいた、王城に赴いたときに遠目から見かけたことのあるやんごとない身分の青年。

 そして、おそらく実力者なのだろう神官と魔法使いの青年にどことなく浮世離れした印象の少女――このごろちらほら耳にするようになってきた“とある噂”とあわせて考えれば、なんとなく見えてくるものもあるのだが――


 たぶん、その指名依頼まだ終わってないと思うぞ――


 そうジョンが口にする前に夕食ができあがり、この話はここまでとなってしまったのだった。






 これが、一週間ほど前のことである。


「ふうん、じゃあミナちゃんは最近ポール君のことも気になってるんだ。――やっぱりこの前の狼のとき?」


「うん、ほら……危ないことするダニーたちを止めようとしてたの、なんか大人だなあって」


 今、ジョンのそばではサキとミナが他の子どもたちとは少し離れて話し込んでいる。


「それにね、あのときサキちゃんはかばってくれてたから見えてなかったと思うんだけど、ポールね、サキちゃんの後でわたしとダニーを自分でもかばうようにしてくれたの」


 はにかむミナに、サキはなるほどとうなずく。


「それはなかなかできることじゃないよね」


「ねー」


 ポールは元気いっぱいのダニーとは対照的に、優しげな印象のおとなしい男の子だ。そんなところがミナみたいな年頃の女の子には物足りなく感じていたのかもしれないが、今回の一件で見直したということなのだろう。


(やるじゃないか、ポール)


 ジョンは心の中でサキたちの会話に参加した。


 あの日、久しぶりに姿を見せたアルスは、やんごとない方々と行動を共にしていた。なにやら彼らの指導役のようなことをしているらしい。

 それが帰ってきたときには、なぜか薬草取りの子どもたちもいっしょで、話を聞いてみると、どうやらさるお方たちが逃がしてしまった狼と森の奥の方に入り込んだ何人かの子どもたちが鉢合せしてしまい、念のためみんなで帰ってきたとのことだった。


 子どもたちに怪我がなかったことにジョンは胸を撫で下ろし、しかし狼を逃がしたことに文句を言おうにも、相手の身分が身分なものだから何も言えず……なんとも複雑な気分になったものだった。


 幸い、あれ以来くだんのいたずらっ子たちはおとなしくしているようだ。


「それで、ミナちゃんは結局どうするの?」


「それが難しいところなのよねえ」


 ミナは頬に手を当てて首をかしげている。ダニーを好きなままでいるか、それともポールに乗りかえるべきか、それが目下の悩みらしかった。


(おいおい、ガキんちょ……)


「うーん、そうだねえ……急いで結論を出さなくてもいいんじゃないかな。そのうちポール君のいいところがもっと見えてくるかもしれないし、ダニー君のほうがやっぱりいいってなるかもしれないし」


「そっか、……うん、そうだよね」


 ミナは、今のところはとりあえず様子を見ることに納得したようだ。こういったことは焦らず自分の気持ちを見極めるのが肝心なのだと、ジョンもこっそり、うんうんとうなずく。


「でもサキちゃんはいいなあ、アルスお兄ちゃんと“そーしそーあい”で。悩みなんてちっともなさそうだもの」


(ちょっと待て! どこで覚えてきた、そんな言葉!)


 思わず吹き出しそうになるジョン。見ると、隣に立っている同僚も、なんだかしゃっくりを飲み込んだような奇妙な顔をしていた。


「えー、そうでもないよ」


 サキは、困ったような顔で笑っている。


 ジョンの娘も憧れるクレアの相手にふさわしいと、クレアを信奉する者たちのお眼鏡にかなったらしいアルスだが、ひとつ彼には大きな問題があって――


「そんなことないって。だってアルスお兄ちゃん、サキちゃんのこと大好きじゃない」


 娘には大変申し訳ないのだが、ジョンの目から見て、アルスは全くといっていいほどクレアに気があるように思えないのだ。

 それはクレアだけでなく、彼に思いを寄せている他の女性たちに対しても同様なのだが、今ミナが言ったとおり、サキといっしょにいるときのほうがよっぽど“それらしく”見えるという始末。


「ほら、今アルスお仕事で忙しいでしょ、依頼人さんのところにずっとお泊まりしてるんだけどね」


(それってつまり王城の……)


「そこで、この前のお姉さんも一緒に暮らしてるから――」


「あのお姉ちゃん、アルスお兄ちゃんと一緒に住んでるの? そっかあ、そういうのって、なんか不安になっちゃうよね、わかるなあ」


「うん。アルスのことを信じてないってわけじゃないんだけど……」


「大人の“いろか”にころっと“まいって”しまわないか心配になっちゃうんだよね」


(おーい、ガキんちょ!)


「そうなの。この前だって、月がきれいって、言われたって……あんなに気をつけてって言ったのに、きれいって……」


「お月さま?」


「あ、うん、なんでもない――」


 月がいったいどうしたのかはわからないが、ともかく、全身でアルスのことを慕っていると表現するサキと、それはもう過保護なほどにサキをかわいがるアルスの組み合わせは、端から見ていてとても微笑ましいものである。――あるのだが、当人にとっては“微笑ましい”だけではすまない感情が存在しているようで……


(女の子ってのは、あっという間に大人になっちまうんだなあ……)


 娘がいっしょにお風呂に入ってくれなくなったのも、ちょうどあの子たちくらいの年のころだったっけとしんみりしていたら、くるっとミナがこちらに振り向き、サキの手を引いてジョンのところまでやって来た。


「ねえねえ、ジョンおじさん」


「ん? どうした、ミナちゃん」


「あのね、アルスお兄ちゃんと一緒にいるお姉ちゃんいるでしょ? あのお姉ちゃんってどんな感じ? アルスお兄ちゃんを狙ってるの?」


「ねらってって……」


 ここ一週間ほどのアルスたちの様子を思い出す。


 おそらく、増えつつある魔の森の魔物たち、それを率いる魔王に対抗するために召喚されたのだろう勇者――その黒髪の少女を取り囲み、気を引こうと必死なやんごとない身分の方をはじめとする三人の青年。青年たちと楽しそうに会話しつつも前を行くアルスが気になるのかちらちらと目をやる少女に、彼らはまた躍起になって気を引こうとし――すぐ後ろで繰り広げられている恋の駆け引きに全く我関せずのアルス……


(……うん、これはひどい)


 苦笑いを浮かべながらジョンは質問に答えた。


「あー、そうだなあ……今のところはまだそれほどでもない……かもしれない」


「だって! よかったね、サキちゃん」


 弾むミナの声と、なぜかジョンと同じような苦笑でうなずくサキ。


「サキちゃん――ミナちゃんも。みんな来たよ! そろそろ行こう」


 そこにダニーが呼びかけて、


「はーい、今行くね! じゃあジョンおじさん、行ってきます」


「行ってきます!」


「ああ、気をつけて行っておいで」


 ぱっと駆けだし、子どもたちの群れに合流するサキたちを見送る。


「近頃のガキどもはほんと、ませてやがるなあ……」


「全くだ……」


 ジョンは同僚とふたり、しみじみとため息を吐くのだった。

そういえば、まだオムライスについてまじめに書いてなかった気がする。



・オムライスの具は基本的にはみじん切りのタマネギとニンジン、刻んだとり肉。我が家ではよく刻んだぶなしめじが入る。ニンニクの芽を入れるのもおいしい。



・どのタイミングでケチャップを入れるか、けっこう分かれるかもしれない。


・具を炒めた時点で入れる、具とご飯を炒めあわせてから入れる、ご飯とケチャップをあらかじめ混ぜておく。


・ベタベタさせたくない場合は、ご飯を入れる前に塩こしょう、ケチャップを加えて少し煮詰め、水気をとばす。ウスターソースを小さじ1~大さじ1ほど入れるのもよいでしょう。


・ご飯にむらなくケチャップを混ぜたい場合は、最初にご飯とケチャップをよく混ぜておくとよいかもしれない。そのとき、バターをひとかけ加えると風味がよいでしょう。



・卵が上手に巻けない、ふわとろオムレツを作ってのせるのが難しい。

そんなときは、スクランブルエッグを上からかけてしまえばいいと思う。お子が小さくて巻いた卵だと食べにくそうなときにもスクランブルエッグで。

・ピザ用のチーズを混ぜ込むのもおいしいですね。クリーミーに仕上げたい場合、コーヒーフレッシュをひとつかふたつ加えるのもありです。



全然まじめに書いてないって?だって分量なんていつも適当だもの。

・ふたり分で、だいたいタマネギ4分の1、ニンジン4~3分の1、とりもも肉3分の1枚、卵3~4個ぐらいで作っています。ケチャップは赤いご飯が好きならたくさん、程々が好きなら程々に。

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