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side 千鶴――ペリドットの瞳の人

なろうにおいての登場人物紹介は、マンガや小説というよりは、ゲームの設定資料集のキャラクター設定、ゲーム本編で語られることのなかった裏設定を楽しむ感覚に近いと感じる。

スキルやレベルの存在する異世界が舞台であったり、VRゲームを題材にした作品が人気であることを考えれば、これは当然の流れであるのかもしれない。

 応接室の窓際に静かに佇んでいたその人を見て、わたしは思わず息をのんだ。


 朝の光を紡いだような金の髪、斜めに流したその前髪の下から覗く切れ長の目、意志の強そうな瞳の色は――そうだ、宝石の、ペリドットにそっくりなんだ。

 すっと通った鼻筋、引き結ばれた薄い唇。全てのパーツがバランスよく納まっている。


 すらっとした長身を紺色の服に包み、普段は腰に巻いた革のベルトに提げているだろう剣を右手に持って――あれ、話では凄い魔法使いの人だって聞いてたような……? 格好も魔法使いっていうよりは軽装の剣士っていうほうがしっくりくるような……


 内心首を傾げている間に、どんどん話は進んでいく。お互い名乗り合い――そっか、アルスさんっていうのか――


「えーっと、アルス、さん? これからよろしくお願いしますね。わたしは高垣千鶴――あっ……と、チズル・タカガキです。一応、その、勇者、をやってます」


 わたしが自己紹介すると、アルスさんは僅かに驚いたように目を見開いて、それから、「よろしく」と返してくれた。


 そうだよね、普通、わたしみたいな平凡な女子高生が勇者だなんて思わないよね。わたし自身未だに違和感バリバリなんだもん。

 それに、一応勇者をやってます……って、もっと言い様があったでしょう!? 自分!


 なんだか、恥ずかしついでにいつも訓練で着ている簡易騎士服?で来たことまで恥ずかしくなってしまった。

 ドレスを着せたがるマリアさんたちを、勇者として新しい仲間に会うのだからドレスはなんか違う気がすると言い張ったのだけど、せめて、ちゃんとした騎士服(式典とか改まった場面用に準備されてる)で来ればよかった……。


 意味もなく服の裾をぱたぱたはたいて皺を伸ばす。


「――勇者殿は、剣も魔法も使うと聞いているが」


 落ち着いたトーンの声――ギルドの冒険者っていうから、もっと荒々しい人が来るんじゃないかって勝手に思ってたけど、全然そんなことなかったみたい。


「あ、はい! ……その、エドガーやレオン君に比べたらまだまだ全然なんですけど……」


「そんなことないって、チズルは全く素人の状態からたった3ヵ月で上級魔法が使えるまでになったんだぞ? 剣術だって、もうそこらの新米騎士じゃあ相手にならないんだろ、もっと自信持てよ!」


「レオン君……」


 三人掛けソファの後ろから寄り掛かるようにして、レオン君が覗き込んでくる。にぱっとどこかいたずらっぽい笑顔。わたしの両脇に座るエドガーとキースさんも、わたしを励ますように頷いてくれて。


 彼らの役に立てるよう、足手まといにならないよう、もっともっと頑張ろうと、そう思った。








 騎士団所属の王族E氏の証言


 ――ああ、あの者が護身用にしては随分と本格的な剣を持っていたので、どれくらいのものなのか騎士と手合わせさせてみたのだ。――それは当然だろう、いざというときにチズルを託すに足る男かどうか知る必要があったのだからな。

 ……まあ、お前は私が守るからそんな時は来るはずないのだがな……いや、なんでもない。

 しかし驚いた、あの男剣も相当使うぞ。それも我流などではなく、正統な剣術を修めた者の動きだ。あれに魔法も取り混ぜてということになれば、私でも勝てるかどうか……いずれにせよ、チズルが目指すべき完成形のひとつであるかもしれないな。





 炎の天才魔法少年L君の証言


 あいつ凄いんだぜ! そう、アルス! そりゃあさ、魔力量は俺よりも少ないし炎の最上級魔法が使える訳じゃないけどな、なんつーか、無駄がないんだよ。最小限の力で最大限の効果を出すのが上手いっていうのかな。

 あと塔の魔法使いは、騎士団に守られてでっかい魔法を打っ放すってのが戦場で求められる役割りなんだけどな、うちの奴と模擬戦したときの立ち回り――あれは、周りに頼らず一人で敵に対処するための動きだった。さすが、ソロでSランクに上り詰めただけあるよな! 俺もまだまだ突き詰めるところがあるって気付かされたよ。

 待ってろよ、チズル。俺今よりもっと強くなって、何があってもチズルを守れるようになるからな!





 美貌の神官K氏の証言


 ――ええ、そうですね、わたくしは戦いについては然程得手ではないので殿下やレオンさんのように詳しいことは申し上げられないのですが……ああでも、彼の使う魔法は、魔力の練り方も制御も実に見事でしたね。わたくしも見習いたいものです。

 他に気付いたこと、ですか――ああそういえば。訓練場に向かう途中回廊で宰相閣下と擦れ違った際、御言葉を頂いた時のことですが、アルスさんの所作や受け答え――あれは、宮廷の作法をしっかり身に付けているのではと……幾分崩してはいたようですが。

どうやらこの国のものよりも幾分古めかしい印象を受けましたが、もしかしたら彼は何処かの国で由緒ある家に生まれたのかもしれませんね。

 ――いえいえ、そんな。チズル様は異世界からいらしたのですから、マナーなど不完全で当たり前ではないですか。そうやって我々の文化に馴染もうと努力なさるお姿も、大変好ましいと思いますよ。

 おや、どうされました? お顔が赤く――ふふ、チズル様は愛らしいお方ですね。








 うわああああ、もう、なんなの、なんなの!? アルスさんはどんな人に感じたか訊きに行った筈なのになんでわたしがダメージを受けてるの!?


 皆自分の顔面偏差値をちゃんとわかってるのかしらっ。あの顔であんな甘い笑みを浮かべてあんなことを言われたりしたら、なんか変な勘違いをしちゃいそうになっちゃうじゃない。

 ああいうことは、ド平凡な庶民のわたしなんかじゃなくて、もっとこう、婚約者候補とかの貴族の令嬢あたりにやるべきじゃないの? わたし相手じゃ、イケメンの無駄遣いにしかならないよ!


 と、まあ、それはさておき。アルスさんは表情豊かっていうよりはクール系な感じだけど、エドガー達もそれぞれアルスさんのことを認めてるみたいだしひと安心かな。え、わたし? もちろんわたしもアルスさんのこと凄いって思ってるよ。エドガーやレオン君みたいに理論立てては説明出来なかったけど、剣と魔法、両方を訓練してるわたしにとってお手本にするべき人だろうってのは感じられたし。


 魔物を相手にしたときの戦い方とか、少人数での森の歩き方、夜営の仕方――アルスさんはこれから暫くは、仲間であると同時にわたしたちの指導教官的な役割りも持つことになる。


 少しでも早く教えを吸収して旅立って、魔族に苦しめられてる人達を助けてあげないとね!





そろそろネタがない。


鶏とカボチャとレンコンの南蛮風?


材料:

・鶏もも肉 1枚

・カボチャ、レンコン 各50~100グラム

・塩、コショウ 少々

・かたくり粉 適量

・サラダ油

・しょうゆ、砂糖、酢 各大さじ2


作り方:


・鶏肉をひと口大に切り、塩胡椒を軽くふってなじませておく。


・カボチャとレンコンを薄切りにする。レンコンは酢を少々たらした水にさらす。


・しょうゆ、砂糖、酢をあわせて沸騰させ、たれを作る。


・鶏肉にかたくり粉をまぶし、180度の油で揚げるか多めのを入れたフライパンで揚げ焼きにする。揚げたての熱いうちにたれを入れた皿、またはバットなどに移す。


・カボチャとレンコンも素揚げにして、または鶏を揚げ焼きにして残った油で焼いてたれに漬ける。




メモ:

・鶏を1枚肉の状態で揚げてももちろんよい。お好みで。


・お好みでタルタルソースをそえる。


・たれを、水溶きかたくり粉で甘酢あんにするのもいいでしょう。


・たれの味が濃すぎると感じたら適当に水で薄めて調節。


・人参、玉ねぎなどお好みの野菜を加えて栄養と色どりを……これ、豚肉に変えると酢豚じゃね?


・おかずとしてだけでなく、サンドイッチの具としても。

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