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side 千鶴――これ、なんて乙女ゲートリップ?

なぜ日本人の名前はよその国の人から呼びにくいと言われるのか、なぜ日本人のしゃべる英語は平坦と言われるのか、それはアクセントとイントネーションの違いに原因がある。


例えば英語などではアクセント(音の強弱)が担当している部分を、日本語ではイントネーション(音の高低)が担当している。そのため、自分ではアクセントをつけて英語を発音したと思っていてもそれはイントネーションであるということが往々にして起こるため、日本人の発音は平坦であるとなるのだ。


そして、とにかくアクセントがどこかにないとしゃべりにくいよその国の人たちは、日本語の単語にアクセントを見いだそうとして、例えば桜島を「サックーラァジィーマ」と言い、耳で聞いたのとどこか違う、どう言えばいいのだ?と困るわけである(本当に困るかどうかは知らない)。


ということは、異世界にトリップしたヒロインの名前を正確に呼べずにカタカナ表記になってもどかしい思いをし、後に並々ならぬ努力を経て漢字表記で呼べるようになってヒロインから嬉し泣きされるヒーロー()←しつこい は、その異世界の言語体系が英語などに代表されるアクセントを多用する言語を想定されているということを示しt……うん、激しくどうでもいいことだな。

 召喚チートってすごいとつくづく思う。


 体育の成績もよくて中の上だったのに騎士団の人たちと互角に剣を打ち合えたり、地球では存在すらしなかった魔法をバンバン放てたり――


 訓練の時に着るのは、簡易騎士服の女性版みたいな感じ。色は地味だけど、襟元にリボンがついてて裾がフレアに広がって後ろが少し長くなってて、ちょっと可愛いの。


 動きやすいし一日中この格好でもわたしは構わないんだけど、夕食前には必ずマリアさんにドレスに着替えさせられてしまう。酷い時には、朝食にドレス、昼にドレス、お茶にドレス、夕食にドレス……この世界のドレスはコルセットで締め上げたりクジラのひげで重装甲を纏ったりしないからまだいいんだけど! いいんだけど!


 でも、大して取り柄もないごく普通の日本人顔なわたしが、ドレスなんて着たところで似合わないと思うんだけどなぁ。

 マリアさんや侍女の皆さんは「とってもお似合いですわ!」って目をきらっきらさせて褒めてくれるけど、お城で働く人たちって、演技力凄いよね。うっかり信じそうになっちゃったもの。


 今日はもう身体を使う訓練はないからドレスに着替えさせら……ゲフン、着替えていた。


 スクエアネックでハイウェストに切り替えが入ってるターコイズブルーのドレス。パフスリーブの袖が、肘の辺りからチューリップみたいな感じで広がってて、そのスリットの間やスカート部分の裾から、レースのついた生成り色のアンダードレスが覗いている。

 散りばめられた金の刺繍とドレスの色に合わせて、髪飾りは繊細な細工の施された金の台座にトルコ石が嵌め込まれたもの。細かく編み込んでハーフアップに結い上げられた髪を留めて、残りは背中に垂らしてある。


 なんか、中世のお姫様になったみたいな気分が味わえるよね。


「では、チズルの暮らしていた国では全ての子供が国費で学校に通っていると……?」


「うん、義務教育って言うんだけどね。六歳から十五歳まで九年間」


 その場にいた人たちが驚きに目を見開く。あ~、そうだよね、中世のヨーロッパじゃあ、義務教育なんてある筈ないもんね。





 ――なんて思ってた時期もありました。


 なんと、この国には“義務”ではないけどちゃんとした教育制度があったのだ。初等学校はだいたい二日に一度、読み書きや簡単な計算、国のことや神話なんかを教えてる。地方では神殿に併設されていることも多く、昼食にパンとチーズや干し肉などが食べられるため、子供を労働力として数えている家庭でも比較的負担なく通わせられる。おかげで識字率は高いのだとか。


 そこから先は、才能があったり裕福なところの子が中等、さらに高等と学んでいく。騎士学校や魔法学校なんかは、中等教育の時期から専門に分かれていたりするそう。


 ……なんか、別に本気でしようと思ってた訳じゃないけど、内政チートの余地があんまり残ってない気が。


 異世界だからなのか、魔法があるからなのか予想外に水事情や衛生周りは整備されてるし、定期的な炊き出しとか職業の斡旋とか、スラムの住人対策もばっちりだし。


 昔、わたしの他に日本人の召喚者か転移者がいたとか……まさかね。


 ――この時のわたしは、のんきにそんなことを考えていたのだった。






「――チズル様の国は、教育に力を入れているのですね、羨ましいです」


「学者になる訳でもないのに、そんなに勉強するのか? 凄いな」


 っと、いけない、思考が横道に逸れてしまいそうになってた。


「ふふ、義務教育の始まる前に平均3年、終わった後に高等教育を3年、そこからさらに4年専門の学校に通うのが一般的かな。わたしは、高等科の2年生に上がったところだったの」


 いつも教室がわりにしている図書の閲覧室で机を囲んでいるのは、わたしやエドガーのほかに、神官のキースさんと魔法使いのレオン君。


 キースさんは銀髪にアメジストの優しげな瞳の、とっても綺麗な人。いつも身に着けている白い法衣も相まって、儚げな美人って表現がぴったりなのよね、……男の人なのに。大神官長様のお孫さんで、将来その地位を継ぐことになっているんだって。


 レオン君は、オレンジの髪が印象的な、アイドル系って言ったら分かりやすいかな、整った顔立ちの笑顔が爽やかな男の子。わたしとほとんど歳が変わらないんだけど、史上最年少の十二歳で城の魔法塔に入った天才少年。


 騎士団にいるエドガーと回復魔法の得意なキースさん、炎の遣い手のレオン君と一緒に、わたしは魔王討伐の旅に出ることになっている。と同時に剣や魔法、その他色々なことを教えてくれる先生でもある。仲間としての相互理解や絆を深めるという狙いがあるんだとか。納得。


 ――本当は、もう一人、最高ランクの冒険者の人がメンバーに加わるらしいんだけど、まだ会ったことはない。


 もう少しわたしが戦うことに慣れてきたら、王都の近くにある森で実際に魔物を倒したり仲間同士の連携を確かめたりすることになっていて、その少し前くらいから合流するんだそう。


 そう、冒険者! 実際にわたしも冒険者になって、みんなでパーティ登録するんだって。

 魔王の脅威にさらされてる中ちょっと不謹慎だとは思うんだけど、異世界トリップでお馴染みのイベントにワクワクする気持ちはあった。


 最後の仲間は、どんな人なんだろう? エドガーたちみたいに仲良くなれるといいな――


ヒロインのテンションまで自分を引っ張り上げるのがつらい……





トマトソースメモ


・みじん切りにしたタマネギ2分の1

・みじん切りにしたニンニクひとかけ

・トマト缶(400グラム)1缶

・オリーブオイル大さじ1~2

・塩小さじ1

・コショウ少々


オリーブオイルをひいたフライパンにニンニクを入れ、香りが出てきたらタマネギを入れて中~弱火で炒める。

気のすむまで炒めたら、トマト缶(ホールの場合は手やスプーンなどで潰して)を加え、焦がさないように煮詰める。缶に残ったなかみは、水を少し入れて振り、フライパンに入れると無駄がないでしょう。

塩、コショウで味を整え、お好みの固さになれば出来上り。甘みがほしかったら砂糖を小さじ1~大さじ1加える。




・ピザのソースとして

お好みの具をのせてお楽しみください。ポテトとベーコン、チーズに少しのマヨネーズがこむるは好きです。



・トマトソーススパゲティー

茹でたパスタにかける。チキンとかポークソテーを添えるとなおよし。



・チキンソテー(ポークでも可)

塩コショウをして(お好みで小麦粉をふって)焼いたとり肉を食べやすい大きさに切り、トマトソースをかける。サラダや、薄切りにしてフライパンのはしでとり肉と一緒に焼いたじゃがいもなどをそえるとグッド。



・ミートソースに改造

合い挽き肉をフライパンで火にかけ、トマトソースを加えて味を整える。

焼く前にナツメグやコショウを挽き肉にふっておいたり、火が通った挽き肉に赤ワインを入れてパチパチいうまで煮詰めてからトマトソースを入れたりするとちょっと本格的な味に。

挽き肉は、火が通るまではかき混ぜすぎないのがコツ。

多めの油で焼いたナスを加えるとミートナスに。



・オムレツに添える

具はホウレン草やチーズ、サイコロ切りのタマネギなどが合うでしょう。



・オムライスに

食べやすい大きさに切ったとり肉をフライパンで炒め、ご飯、トマトソースを加えてチキンライスを作る。



・バターチキンカレー

ひと口大に切ったとり肉(モモ1枚)を炒め、

みじん切りのしょうがひとかけ(チューブのすりおろし可)、

バター20グラム~お好みで、

トマトソース1缶分、

カレー粉大さじ2、

ヨーグルト大さじ2、

(あれば)生クリーム大さじ2

を加え、少し煮る。塩コショウ、砂糖などで味を整える。


タンドリーチキンを作ったときに、漬けだれの有効活用としてもおすすめ。その場合、トマトソース、バター、タンドリーチキンの漬けだれ、生クリーム(なくても可)。


トマトソースがなくてタンドリーチキンがある場合、タマネギのみじん切り、トマト缶を用意し、タマネギを炒めたところにバター、トマト缶を加えて、別のフライパンで焼いたとり肉を入れる。



・イワシのトマトソースグラタン

開いて食べやすい大きさにしたイワシの水気を拭き、軽く塩コショウをして薄く小麦粉をふってフライパンで両面焼く。

耐熱皿にイワシを並べトマトソースをのせ、ピザ用チーズ、パン粉をかけてオーブンで焼く。


イワシは手開きにすると楽。骨を折るように頭をむしってお腹を破ってなかをきれいにして水で流す。お尻のあたりから骨にそって指を入れて身をはがす。

骨を取るときはしっぽのほうから、皮をはぐときは背びれのあたりを手がかりに頭のほうから。

骨は、量があるときは熱湯をかけて臭みをとり、味噌汁の出汁にするとよいでしょう。おすすめの具はきざんだ青ねぎ。できるだけ細いものをたっぷり入れよう。



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