表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/131

また今度の約束

お前のレシピはレシピじゃねーよ、ですか。

詳しいつくり方なんてくっくでぱっどな先生にお聞きするか、ぐーぐる先生が表示して下さった一ページ目の中からお好みで選んでおけばだいたい問題なしですって。

こむるのメモは、少量作りたいとか日々の料理をちょっと楽にするとかバリエーションを追加するとかそういう方向性なんですから。








気が向いたら真面目なレシピとか完全料理初心者向け解説とか入れます、すいません。

「そんなこんなで、用意してもらった家で暮らしながら、とりあえず今はこっちの生活に慣れてる最中って感じね」


「なるほどなあ、俺は神さまに会ったかどうかなんて覚えていないけど、本来なら“生まれ変わる”のじゃなくて“生き返る”だったかもしれないのか」


「もしかしたらね。――今日はこんなものでいいかな、手伝ってくれてどうもありがとう」


 サキとアルスは木苺を摘みながら会話していた。今日の分の依頼は終わったからと、サキの木苺摘みを手伝ってくれたのだ。

 木苺の入ったかごを収納し、魔法で水のボールを作る。赤く染まった指先をボールに突っ込んで洗い、ぴっぴっと水を切りながらボールを消す。本当は汚れそのものをきれいにする魔法もあるのだが、水を使う方が洗った気分になれるのだ。


「お兄さんも手を洗う?」


「いや、大丈夫。それから、俺のことはアルスでいい」


 サキが魔法を使う様子を眺めていたアルスは、サキの足元に置かれている小さなかごに目をやった。


「その木苺は? しまわなくていいのか?」


「あ、これは帰り道のおやつ用」


「なるほど」






 王都へてくてく歩きながら、今度はアルスの話を聞く。


「向こうで死んだのはたしか高校生のときだった、と思う。学校から帰る途中で事故にあったんだったか――それで、気がついたらこっちに生まれてた」


「神さまのことを覚えてないのはなんでなんだろうね」


「ああ、不思議だな」


 案外、説明するのがめんどうだから、自分と会った記憶ごとなかったことにしたなんてことだったりするのかもしれない。


「ねえねえ、前世を覚えてるってどんな感じなの?」


「産まれた瞬間からはっきりした意識があってとまどった、なんてことはなかったからなあ……」


 物心ついた頃には日本人として生きていた記憶があるのが当たり前で、それが他の人には当たり前ではないと気づいたのは六歳になったあたりだったという。

 その頃すでに魔法の勉強ははじまっていたし、この世界では魔力量は本人の素質によるものであり、限界まで使って回復させることで増えたりはしないので、無茶なトレーニングを行ったり夜中に魔法書を読みふけるなどというからだに悪いこともしなかった。


 また、生活でたいして不便を感じなかったため、日本で学んだ知識や技術であれこれしてドヤ顔をすることもなく、いたって普通の子供時代を過ごし、順当に職を得て今に至る、と――


「職場はわりと自由がきくから、仕事に慣れて余裕が出てきたあたりから、週に二回くらいのペースで息抜きがてらに冒険者もやってるんだ」


「お仕事?」


「まあ、役所勤めみたいなもんだな」


「ふーん」


 なんとなく会話が途切れる。






 かごの木苺も空になり、そびえ立つ塀と大きく口を開けた門が近くなってきた。


「あのね、アルス」


 サキは少しためらいがちにアルスを見上げた。アルスは、軽く首をかしげてサキに続きを促す。


「私ね、まだしばらくはあそこに木苺をとりに通う予定なの。……アルスはまたあの森の依頼を受けたりする? ハンバーグとかエビフライのお弁当もあるんだけど――」


「三日後」


 もしよければと続ける前にアルスが真剣な顔で告げる。


「次は三日後だ。なにがあったとしても絶対に行く」


「あ、うん――じゃあ、お昼くらいの時間に入り口のところで待ち合わせね」


 どうやらこれきりにはならないようだと、ほっとして笑う。つられてアルスも笑ったところで、顔見知りの衛兵さんが声をかけてきた。


「サキちゃんお帰り――よう、アルス。なんだか珍しい組み合わせだな」


「ただいま、ジョンおじさん。木苺をとるのを手伝ってもらったんです」


 笑顔でそう言うと、ジョンと、相方の衛兵さんがアルスをまじまじと眺めた。アルスはどこか憮然としている。


「へーえ、アルスがねえ。木苺はたくさんとれたかい?」


「半分はジャムにして、もう半分はパイにする予定だから、今度お裾分けしますね」


「そりゃ、楽しみだ」


 身分証の確認が終わって門をくぐる。再度約束をして冒険者ギルドの前でアルスと別れ、サキは家に向かって歩き始めた。





木苺メモ



色々種類や時期があります。お好みのベリーを見つけてください。


ラズベリーを植えるときは、無節操に増えすぎないように気をつけましょう。


あと、ラズベリーとげが痛い。ラズベリーっ!って味や見かけからは遠ざかるけど、とげが嫌ならブラックベリーのほうが育てやすいです。


野山にベリーを求める場合、こむる的おすすめはフユイチゴですかね。11月から12月くらいにとれます。味よし、見た目よし、ジャムにしてよし。


木苺のジャムは、ストロベリーのジャムよりも色が鮮やかに作れます。作り方はふつうにジャムの作り方。


種の自己主張がストロベリーよりも激しくて気になる場合は、生の状態よりもジャムにしてから裏ごしするとよいでしょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ