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ヒロイン力が足りない

おでこを“こつん”と合わせたり、照れ隠しに口を覆って横を向くヒーロー(どうしてもこの表現に違和感を拭えない)とか、そんなギップリャなことこむるには書けない。




作者は乙女ゲーム(MMO)やったことありません(^_^;)いろいろ至らない点があるかもしれませんが大目に見てやってください。


――なんてことを書く暇があったらしっかり調べろと言いたい。時代小説を書く作者は、自分は江戸時代に生まれてないので……とでも言うのかと。

 工房にサキを迎えに来たアルスは、出てきたサキを見るなり問答無用で抱き上げると、間近でサキと目を見合わせ、


「どうした、サキ。何があったんだ?」


ときいた。


「アルス……融君?」


 じっとアルスを見つめ返し、こてんと首をかしげる。


 最初、その音が示す意味を理解できなかったのかアルスは怪訝な顔をして、数瞬のちに目を大きく見開いた。


(ああ、やっぱり――)


 あれは、ただの都合のいい夢などではなかったのだ。













「つまり、俺たちが“こっち”に来ることになったのは、勇者を召喚した余波のようなものだと――いもしない魔王を、倒すための勇者を召喚して……」


 人に聞かれてはあまりよろしくない話題だからと、詳しい説明は草原に着くまで待ってもらった。


 今、ふたりはいつもの倒木に腰かけ、桃のコンポート入りクリームブリュレを食べている。


「どうもそういうことらしいのよね。わたし、この国の偉い人たちのこと嫌いになりそう」


 いや、もともと勇者召喚なんて面倒そうなことをしている時点で、好きか嫌いかでいえば嫌い寄りではあったかもしれない。


「そうか、そんな話を聞かされたら憂うつにもなるよな」


 アルスが、食べ終わったクリームブリュレの入れ物を名残惜しそうに見つめる。サキは、“収納”からよく冷えたクリームブリュレを取り出し、上にかかっている砂糖を魔法で炙った。


「うん、それもあるんだけど……神さまからこの話を聞いたとき、思っちゃったの。そっか、じゃあ母さんが死んじゃったのはあの人たちのせいだったんだ、わたしのせいじゃない。よかったって――」


 ぱきぱきと、飴になったカラメルを割る音がふたつ響く。


「……理不尽な仕打ちに怒るより、そんなくだらない理由で死ななきゃならなかったことに憤るより、まずほっとしてしまったのよ。――この国より何より、そんな自分が、一番嫌いだわ」


 イノシシ型の魔物に襲われたとき、自分のせいだと思ったとしても口に出してはいけないと、アルスに言われた。全くその通りだったとサキは思う。


 もし一度でも口にしてしまったら、自分の中でそれが”本当“になってしまっていただろう。

 自分のせいではないと現実から目をそらしているだけではないのか、と不安に怯えるのも、トラックの運転手やエスター王国の上層部を憎むのも結局は苦しいのだけれど、自分のせいで最愛の母が亡くなったと自分を責めるのは、きっと、もっと苦しい。


 その最も苦しい選択肢が消えたことに安堵して、母の死を純粋に悲しめなていない自分に気づいてひどく落ち込んだのだ。


「――寿命を全うしての大往生でもない限り……いや、だとしてもかな。色んな感情がついて回るのは仕方がないさ」


「だけど――」


 ぽすっと膝の上に抱き上げられ、肩に頭を押し付けられる。


「今はぐちゃぐちゃのままで大丈夫、そのうち折り合いが付くようになるから」


「……そんなゆっくりで大丈夫なの?」


「ああ」


 ぽんぽんと背中を叩かれる。


 今日はよく晴れているはずなのになぜか局地的に雨が降ったようで、アルスの肩口が濡れてしまった。








「――ああ、そっか」


 薬草を採る子供たちをアルスの膝の上で眺めながら、サキは紅茶を口に入れた。アルスは三個目のクリームブリュレを食べ終わろうとしている。


「ひとつだけ、この国に感謝することがあったわね」


 頭上で、アルスが首をかしげる気配がした。


「“向こう”にいたんじゃ、融君には出会えなかったもの。今こうやってアルスといっしょにいられて、それはうれしいの」


「むぐっ」


 がじりとしか形容できない音が聞こえた気がする。見上げるとアルスは、口元を片手で押さえて何かに耐えているようだ。


「口の中噛んだの?大丈夫?」


「――舌噛んだ。いたい」


「まあ大変! 見せてみて。ほら、ぴって舌出して――わあ、痛そう」


 からだごと向き直ると口を覆う手を引き剥がし、傷口を覗き込む。


「プリンとか好きなのはわかるけど、あんまりあわてて食べないでね」


 人差し指でちょんと触れて治癒の魔法を使う――よほど痛かったのか、顔を赤くしたアルスがうめいた。


「いや、本人も忘れてたような名前で突然呼んだりするから……それに融“君”って。あと、やたら可愛いこと言われたり……」


「だって神さまがそう呼んでたから。神さま、アルスのこと気に入ってたんですって」


 あと、サキとアルスが仲良くなれるように計らってくれたり。

 ――神さまへのお供えを、当初の予定より豪華にしてもいいかもしれない。


 とぽとぽと、アルスのカップに紅茶を注いで渡し、自分の分のお代わりも入れた。



とりのスープメモ


離乳食作りのときにもちょっと紹介しましたね。


子供の頃、からだが弱かったパパンが熱のあるときでも食べやすいようにと、パパンのママンが工夫を凝らして出来上がったのが、ニンジンとタマネギとジャガイモをゆっくり煮て薄口しょうゆで味をつけたスープでした。


このスープに少しずつアレンジが加えられ、今の形に完成したわけですが……このスープ、なんて呼べばいいんでしょう?


材料:

・タマネギ1個

・ニンジン3分の1~2分の1

・ジャガイモ1~2個

・とりの手羽元2~3本

・薄口しょうゆ、こしょう


作り方:

・食べやすい大きさに切った野菜をひたひたの水で煮る。

・沸騰したらとり肉を加え、最低20分、しっかり煮る。目安はニンジンの味が生のニンジンっぽくなくなるまで。

・しょうゆ、こしょうで味つけ。



アレンジ:

・レタス、キャベツ、もやしなど、お好みの野菜をプラス。

・空豆、ひよこ豆などお好みの豆をプラス。水煮タイプのミックスビーンズがお手軽。あまり煮すぎると崩れるので注意。

・モモ、ムネ、鶏ガラなどぶっちゃけどこの肉でも可。

・余ったご飯を入れておかゆ、洋風スープのうどんにしてもおいしい。

・多目にスープをとって、半分は味をつけてスープとして楽しみ、半分をカレーやシチューの出汁にするのもよいでしょう。



・しょうゆの風味が香ばしいとりの焼き飯:


――えっ、今はとりのスープの話でしょう?大丈夫、ちゃんととりスープのアレンジです。


材料:

・ニンジン4分の1

・タマネギ4~2分の1

・サヤインゲン50~100グラム(あれば)

・スープに使ったとり肉100グラム(ムネ、モモなら2分の1枚程度)

・ご飯二人分

・塩、こしょう適量

・しょうゆ小さじ1~2杯


作り方:

・材料をみじん切りにする。インゲンは小口切り。

・熱して油をひいたフライパンに野菜を入れて炒め、とり肉とご飯を加えまぜる。

・塩とこしょうで味つけ。しょうゆを多目に入れたいので少し薄目に。

・鍋はだを伝わるようにしょうゆを入れてじゅっとさせ、よくまぜる。少し焦げ目ができるくらいがおいしい。


・量はわりと適当で大丈夫。

・冷凍サヤインゲンを使う場合、凍ったまま刻んで、ニンジンやタマネギより遅めにフライパンに入れる。

・皮つきの肉を使う場合、皮部分を意識してこんがりさせるようにするとおいしい。

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