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次の夕食のための布石を

たぶん、『異世界のんびり生活~お弁当分けてあげたら魔王様を餌付けしちゃいました!?~』みたいなタイトルにしたほうが最近のラノベ的には受けがいいんだろうなーとはわかってるんですよ。もしくは『異世界に来たけどチートとか別にいりません。~弁当ときどき魔王様~』みたいな言い切りスタイルですかね?


でも、こんなタイトルを見ればだいたいのオチとかわりと重要なネタバレがわかってしまうような話って、読む必要あるんですか?

あれですか、ミステリー小説を読むときに最後のページを開いて真犯人を確認してから読みたい人たちですか、そうですか。


インスタントな世の中になったなあと思います。




“ラノベ”ではなく“ティーンズもの“ノベルス”だったころが懐かしい……


 食後のお茶がおいしい。


(今度のお弁当はサンドイッチとかどうだろう。あ、でもハンバーグも捨てがたい……)


 目の前に置かれた、まだ手付かずのアンズとカスタードのケーキ――今日はアンズの収穫を手伝ったのだ――と添え付けのクリームが、早く食べてほしいと訴えかけている。


 ポットの中で濃くなってしまった二杯目の紅茶には、ミルクをたっぷり入れることにしよう。


「ぐすっ、うっ――」


(そうだ、ハンバーガーやホットドッグなんかの、各種サンド取り合わせにしよう)


 とぽとぽとカップにあたためたミルク、次いで紅茶を注ぐ。テーブルの向かい合わせで、泣きながら三杯目のカレーを食べているアルスにはなるべく目をやらないようにしながら、サキはお茶を楽しんでいた。








「――ごちそうさまでした」


 どうやら満足したらしい。どことなく恥ずかしそうな様子のアルスがスプーンを置いて手をあわせる。


「お腹いっぱいになった?」


「あー、サキには情けないところばっかり見られてる気がするなあ……」


「別に、わたしご飯食べるのに一生懸命だったし、そのあとはお茶を飲んでたから何も見てないよ」


 素知らぬ顔でサキは答えた。


「はは、何も見てないのか。じゃあ何が情けないのかなんて分からないな」


「そうよ、分からないの」


 得意気にうなずく。その様子を見てアルスは笑った。


「味はどうだった? 次はもっとこうしてほしいとかある?」


「いや、もう少し辛口でもいいかなくらいで、すっげーうまかった」


 ならよかったとお茶を差し出す。


「それにしてもサキはすごいな」


「なにが?」


「俺、向こうにいたころ、店に売ってるルーを使わずにカレーが作れるって考えたこともなかった」


「それはわたしも同じだわ」


 もしこっちに来ることがなかったら、自分でスパイスを配合して、なんてめんどうなことは絶対にしなかっただろうし、言い方は悪いがアルスと仲良くなるための餌にしようと思わなければ、適当な本のレシピ通りに作ってそれで満足していたはずだ。


「いつもは本の通りに作るだけなんだけど、今回は自分好みの味になるようにちょっと頑張ってみたの」


 ――本当はアルスの好みそうな味になるまで、である。


 レシピに載っていた本場インド、スリランカあたりの人がナマステしてそうな味のカレーを、市販のルーを使った“いわゆる”おうちカレーに少しでも近づけるべく、各社ルーの謳い文句や、隠し味にこれがいいとどこかで見たり聞いたりしたのを必死で思い出しながら――りんごとはちみつだの、ブイヨンが、チャツネがどうの、飴色のタマネギがどうの――頑張ったかいがあって、とてもうれしい。


「今度はご飯じゃなくてナンにしようかな」


「ナンってカレーにつけて食べるパンみたいなやつ――だっけか、大変じゃないか?」


「魔法って便利よね。タマネギを切っても目が痛くならないし、パンとかうどんをこねても疲れないんだもの」


 にっこり笑うと、呆れたようなため息が返ってきた。


「……サキ、ちなみにタマネギはどうやって切ってるんだ?」


「どうやってって、普通に――」


 皮をむいて宙に浮かべたタマネギを、風の魔法ですぱっとやっているだけなのだが、一瞬で薄切りやみじん切りにするための魔法なんてあるわけがないので、飛距離や刻む位置、角度を変えた風の刃をほぼ時間差なしに必要なだけ放っている。

 もちろん、切り終わるまでタマネギを浮かべた状態で固定し、涙のもとが飛び散らないように空気の膜でおおっておくのも忘れない。


「みじん切りのための魔法を作ることも考えたけど、めんどくさかったから」


「壮絶な魔法の無駄遣いだな」


「でも、もともとそのために魔法を使えるようにしてもらったんだし……」


 しかしアルスが言うには、そもそも、魔法が使えると生活に便利とは、水回りやその他の魔道具に使われている魔石に自分で魔法や魔力を充填したりできて便利、また、組み込まれている魔法のほかにもなにかしら魔法の操作が必要な魔道具も扱える、というぐらいの意味合いであるらしいのだ。

 常識的な魔法使いなら、暮らしの中のちょっとした作業を複数の魔法を同時に、しかも精密な制御を伴ってまで肩代わりさせるよりも、もっと他のことに魔力を使いたいだろう。

 というよりそれ以前に、そんな芸当ができる者のほうが少ない。


 そろそろしっかり自覚してほしい、とでも言いたげな顔をアルスはしていた。


「まあそんなことより、デザート食べましょう? 昨日のスモモでシャーベットも作ったのよ」


 そんなアルスに苦笑しながら、ケーキを指す。ちなみにシャーベットは、いつでも食べられるようひとり分ずつ盛り付け、溶けないように“収納”してある。


「あ、そうか。悪い、待たせた」


「別にいいよ。ここで食べる? あっちのソファのほうに行ってもいいけど」


 居間には、普段食事に使っているテーブルと椅子のセットのほかに、二人掛けのソファとローテーブルも置いてある。お揃いのラグとクッションで、床に座っても冷えたり痛くないようになっていた。


「そうだな、せっかくだから向こうで食べるか。――ああサキ、今度魔法関係の本を見せてくれるか? 今はもう手に入らないような珍しいやつも混ざってるみたいだったからさ」


「うん、いつでもどうぞ」


 うなずいて移動のために立ち上がる。ケーキと紅茶をのせたトレイは、アルスが持ってくれた。


「このケーキは?」


 生地から頭を点々とのぞかせるオレンジ色の実をアルスはしげしげと眺める。


「アンズとカスタードのケーキだよ。今日のお手伝いはアンズの収穫だったの」


「ふうん、おいしそうだな。いっぱいとれたか?」


 甘い物好きらしいアルスがうれしそうに笑い、つられてサキも笑顔になる。


「うん。でもね、昨日も今日もわたし半分くらいはちっちゃい子を高いとこに持ち上げる係だったわ」


 そう言って果樹園での様子を説明する。


「しまいにははしごに登れる子たちまで魔法で飛びたいって言い出して大変だったの。結局、一人ずつ持ち上げるのだと間に合わないから、両手に一人ずつ手をつないでふらつかないようにコントロールしながら浮かんでね……」


 タマネギを切るよりは面倒じゃなかったけど、とため息をつくと、なぜかアルスもため息をついた。


 ほんとうに、なぜだろう?


お砂糖メモ


自分でスパイスを調合してカレーを作った、ミートソースを手作りした――でも、なんか物足りない、市販のルーみたいにならない。

そんなときは、お砂糖を疑ってみるといいかもしれません。

市販品のパッケージを裏返して、原材料名を見てみてください。たぶん「砂糖」って書いてあります。

ではネットで探した本格カレーレシピは、ミートソースのレシピは?

そのレシピ、砂糖やはちみつなどの甘味を使用しないレシピだったりするかもしれません。

そんなとき、こむるは隠し味に砂糖もしくはカラメルソースを小さじ1~小さじ2くらい加えます。

あんまり入れすぎると砂糖甘くなるので注意!




クッキーメモ


そろそろおいしいスモモシロップが漬け上がりましたか?ではシロップを引き上げましょう。

でもちょっと待って!漬け終わった実を絶対に捨てないで!

スモモの種を取り、細かく刻みましょう。プルーンみたいに、種が取りやすい種類の場合、漬ける前に半分に割って種を除いておくと楽ですね。

刻んだスモモは、60~80グラムくらいに小分けにして冷凍庫に入れておくといいでしょう。


用意できましたか?

それではスモモクッキーを作りましょう。


材料:

・粉砂糖 100グラム

・バター 200グラム

・小麦粉 300グラム

・バニラエッセンス 2~3滴

・刻んだスモモ(出がらし) 60~80グラム


作り方:


・常温に戻したバターをよくねって柔らかくしたら、粉砂糖を入れて白っぽくなるまですり混ぜる。


・バニラエッセンス、スモモを入れて混ぜ、ふるった小麦粉を加え切るように混ぜる。多少粉っぽくてもよい。


・ひとまとめにした生地をラップ、ポリ袋などに包み、端から少しずつ生地を押し潰す(粉っぽさをなくす作業)。


・まとめ直した生地を冷蔵庫で30分以上寝かせる。アイスボックスにするときはこの段階で形を整える。型抜きにするなら3~5㎜くらいの厚さに伸ばす。


・切ったり丸めて潰したり抜いたりした生地を、170℃に余熱したオーブンで15分焼く。



ポイント:


・ざらざらした粒がなくなるまでしっかり混ぜさえすれば、別に何砂糖でもよい。こむるは、白砂糖の甘さがくどくて苦手なのと混ぜやすさとで、粉砂糖をつかっています。


・サックリ感がほしいときは、小麦粉を40グラムほどコーンスターチまたはかたくり粉に置き換えましょう。


・バターを150グラムにするとちょっとかためのクッキーになります。


・スモモがないときはレーズンを入れたらいいと思うよ。何も入れなかったらプレーンクッキーで、これはこれでおいしいよね。


・スモモに甘さが足りないときは、砂糖を適当に100グラムくらいと水少々を足して軽く煮るといいでしょう。刻んだときに少し味見してみてください。


・混ぜ物をしたクッキーは型抜きしにくいので、あんまり複雑で細かい形の型は使わないほうがいいでしょう。


・四角いアイスボックスクッキーを作るときは、生地をラップに包んでおおざっぱに形を整えてから、両手にラップの箱を持ってとんとんと挟むようにするときれいにできる……かも。


・均一な厚さに伸ばしたいときは、生地の両脇にまな板やノートなど、好みの厚さで高さを揃えたものを置いて、めん棒を渡すようにしてコロコロするときれいにできるでしょう。


・型抜きしたりしている間にクッキーがぬるくなってしまたら、いったん冷蔵庫でひやしてから焼くと、生地がだれてつぶれた焼き上がりになるのを防止できます。


・オーブンはそれぞれくせがあります。あくまで目安として、温度や焼き時間など様子を見ながら調節しましょう。





正直に言おう、スモモクッキーはおいしいよと言いたいがためにこの小説、この後書スタイルは生まれた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スモモお好きなんですね 我が家には庭に大きなスモモの樹、畑に三本スモモの樹があります。 近所人や友達が大勢取りに来ます。 それでもたくさん余るのでシロップやらお酒やら漬けますが正直消費も出…
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