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外箱の○皿分表記はサバを読んでいる

悪役令嬢ものが流行りだしたあたりから、不敬、不敬罪って単語をよく見かけるようになった気がします。





天然無自覚キャラは別に嫌いじゃないけど、それはただ精神年齢幼いだけのキャラのことではない。

あと、この子こんなに無自覚なのに素でイチャコラしちゃうんだよ~、すっごい一途なんだよ~、こんなに周りから溺愛されてるんだよ~、かわいいでしょ!かわいいでしょ!あまあまできゅんきゅんするでしょ!っていう作者の押し売りが透けて見えるようなキャラは大嫌い。



え、単なるこむるのひがみだって?うん、実はこむるもそんな気がしてた。


 不思議に思っていることがある。


 扉を開けるとまず目に飛び込んでくるのは味噌しょうゆ、日本酒にみりん、そして精米済みのお米。これらが切れることはなく、いつのまにか補充されている。

 そして、例えば今日みたいにカレーを作ろうと思って開ければ、各種スパイスが普段は何もおかれていない棚に乗っている。


(いったい、どんな基準でメーカーを選んでるのかしら?)


 特に製品のラベルが張ってあるわけではないので絶対ではないが、しょうゆや味噌は使っていて違和感がないので、おそらくサキの家でいつも使っていたものを選んでいるのだろうなと思う。

 では、こっちに来てからはじめて使うようなものについてはどうだろうか。


(うーん、普及率とか?)


 同じことが料理の本にも言えた。あるひとつの料理に対して時には星の数ほども存在するだろうレシピのなかから、いったいどうやってサキの手元に選ばれたのだろうか。


 なんとなく、一般的な味、サキのイメージに近い味のものが選ばれているのかなという気はするが、本当のところはわからない。


(もしかしたら神さまにけっこう大変なことを頼んじゃったのかも)


 まあないとは思うが、今度神さまに会う機会があればしっかりお礼を言おう。


 などと考えながらテーブルに出来上がった料理を並べていると、呼び鈴が鳴った。

 すぐさま作業を中断し、ぱたぱたと小走りで玄関に向かう。


「いらっしゃい。ちょうど出来上がったとこなの」


「どうりで。ここまでいいにおいがしてる」


 ギルドの依頼をこなしてきたのであろう、(王都ヨランダでの)いつもの格好のアルスににっこりと笑いかけた。


「今日のは自信作なのよ。どうぞ上がって」


 なんだか懐かしいなと笑いながらアルスは靴を脱ぎ、家の中を見回す。


「ああそうだ――たしかにこんな感じだった」


 そのどこか遠くを見るような目は、特定の“何か”に対してではなく家の間取りや雰囲気といったものに向けられているようだった。


「食事の用意ができるまでお家探検でもしてみる?」


「それも楽しいかもな。たしか魔法に関する本もたくさんあるんだったか?」


「うん、書斎は二階にあるよ」


 案内しようとすると、ちょっと困った顔のアルスが、


「あー、なんだ。ものすごく今更なんだが」


「なに?」


「カレーにつられて気付かない振りをしてきたけど、ひとり暮らしの女の子の家に入り込んで、しかも寝室とかあるだろう二階にまで上がるってのは、その、どうなんだ?」


「……あー、なるほど」


 二人して顔を見合せる。


「いや、よく考えてみればっていうか考えるまでもなくよろしくないんじゃないか?ナタンもごく普通に送り出すからうっかりそのまま来ちまったけど、そもそもひとり暮しの女の子だぞ! なんでナタンのやつも気付かないんだ、普段あれだけ常識人ぶってるくせに! 家に上がる時点で完全にだめだろう!? あ、てことはこの前のも……」


 おろおろと、今にも帰ってしまいそうなアルスに、あわててサキは引き留める。


「えっとね、アルス。わたし書斎に行くくらいなら全然気にしないよ」


「そういう問題じゃなくて!」


「たぶん、そういうことを気にするのわたしとアルスだけだと思うし」


「は? 何言って――」


「“あんな小さい子がひとり暮しをして心配だけど、アルスさんみたいな強い冒険者が気にかけてくれるなら心強い”」


 サキの芝居がかった調子にアルスは眉をひそめる。


「たぶんこれが周りの反応よ。だって、今のわたしは十歳の子供にしか思われてないもの」


「十歳どころか八歳ぐらいに見られてるけどな」


 お互いの(主にサキの)心の平穏のために、先程のアルスの呟きは聞かなかったことにする。


「中身はそうじゃないってアルスは知ってるから変に気にしちゃうんだろけど、まあそういうわけだから外聞を心配する必要なんてないし、わたしは気にしてないんだからアルスも気にしないで」


「いやいや、だめだろう」


「それともアルスってば、ちっちゃい女の子の寝室に侵入してタンスをあさったりする趣味の人?」


 冗談めかしてきいてみると、そんなわけあるかと全力で否定された。


「うん、じゃあ大丈夫ね。階段はこっちなの。準備できたら呼ぶね」


 多少強引ではあるが大丈夫ということにして、アルスの手を引いて歩き出す。なんだか、一緒に歩くときは手をつなぐのが通常運転になりつつある気がする。――いっそ、そういうことにどうにかして持っていってしまおうか。










「アルス、できたよ――」


 大盛りに盛り付けたカレーライスにサラダ、スープを並べ終わって書斎にアルスを呼びに行くと、なぜかアルスは魔法ではなく料理の本が置いてある棚の前にいた。


 開いていたのは、数十年にわたってテレビで放送されてきた料理番組の総集編の本で、特に目当ての料理があるというわけではなくぱらぱらと眺めているだけのようだ。


「日本語で書かれたものなんてずいぶんと久しぶりだ――」


 鮮やかな写真に添えられた文字を、そっとなぞる。向こうで暮らしていたころのことを思い出しているのだろうか、先程玄関で見せたのと同じ目をしていた。


「ひらがなカタカナはまだなんとかわかるけど、漢字はもうさっぱりだなあ」


 苦笑して本を棚に戻し、入り口で待っているサキのところまでやってきて手を差し出した。そのときには、もういつものアルスに戻っている。


「行こうか。実はカレーが楽しみすぎて朝から何も食べずに来たんだ」


「まあ、そんなことしたらからだに悪いわ。朝ごはんはちゃんと食べないと」


 手を繋ぎながらアルスをにらむと、うん、そうだなーと全く反省していない返事が返ってきた。


「アルス――」


「どうした?」


「二百年って長いね」


 思わずこぼした言葉に、アルスは無言でサキの頭をぽんぽんとなでる。


 かつての故郷の言葉を忘れてしまったことを、懐かしみながらも悲しみながらも、苦笑ひとつで流せる、そうなってしまうだけの年月――それがアルスが生きてきた二百年ということなのだろう。


 今はまだ向こうの記憶の色鮮やかなサキも、長い時をこっちで過ごすうちにそうなっていくのだろうか。

 それが悪いことだとは別に思わないが、少し寂しいなとサキは思った。

~~していきます。メモ


料理番組なんかで、料理の手順の紹介に最近やたら多用される「~~していきます」ってやつ。

わざわざ進行形で言わなくてもいいようなときにまで使うのって、どうよ?おんなじ文章の括りがひたすら連続するって書いたり読んだりしてて気持ち悪くないんですかね?

なんか、丁寧に作業してる感が出るとかそんな理由なのでしょうか?




油メモ


えぬでえいちなけーさんでサラダ油の読み方が「サラダ“ゆ”」に統一されたのっていつくらいからなんでしょうか?それとも「サラダ“あぶら”」と読んでいたこむるがへんなのでしょうか?

こむるが気がついたのはまいんちゃんが「サラダゆ」「オリーブゆ」と言っていたあたりからなんですが、ミミカちゃんはどうだったんだろう?

なにもそんな少しでも音節数を稼がなきゃ!ってほど違いが出るでなし、あ、これは油の音読みの“ゆ”なのね、と考えなきゃいけない読み方よりも、一発でお~、“あぶら”!ってなるほうが分かりやすいと思うんですよ。


あれ?これってえぬでえいちなけーさんに限らず国の方針とかだったりするんでしょうか、よくわかんないです。

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