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どちらかというと後者の方

宰相とか生徒会の副会長って、陰険腹黒か苦労人タイプのどっちかってイメージあるよね。


副会長は腹黒が多いのかな。

ヒロインとか王道転校生にあなたの笑い顔気持ち悪い、無理して笑うなって言われてコロっと攻略されちゃう系の。どんだけマゾいんでしょうか。それこそ気持ち悪い。









投稿が遅れるの、すべては逆鱗と紅玉がでないのが悪いんです。

 ナタニエル・セニエには少し変わった幼なじみがいる。


 交流会という名目で王城の一室に集められた、四歳から十歳くらいの貴族の子どもたち。お菓子を食べたり、仲良くなった同士で遊んだりと思い思いのことをしている。

 その中に、部屋のすみでお絵かきをしている男の子がいた。五歳くらいの、金髪で整った顔だちの子だった。


「何を描いてるの?」


 近くにいた男の子がたずねる。

 その声につられて、何人かが金髪の男の子のそばにやってきた。当時八歳だったナタニエルもその一人だった。


「えっとね、“前のぼく”が住んでた家の絵なの」


 にっこりと男の子は答えた。

 なんだか不思議な言い方をするなと思いながらのぞきこむと、そこにはよくわからない光景が広がっていた。

 クレヨンで塗られた空の下にびっしりと立ち並ぶ四角い箱、黒い輪を足にもつ色とりどりの虫のようなもの――


「変なの! これのどこが家なの」


 ナタニエルより少し小さいくらいの女の子が、どこか得意げに叫ぶ。


「こんな家、どこにも見たことないわ。わたしのお父様、難しい本をいっぱい持ってるけど、本の挿し絵にもこんな変な家描いてなかったもの」


「でも、“前のぼく”は……」


「嘘の絵を描いてるならそう言えばいいのに!」


「嘘なんかじゃ……!」


「でもほんとにこんな家見たことないよね」


「変なの」


「家って言ったって四角いだけだし。その変な虫だってほんとにはいないよね、見たことないもん」


「嘘つきだ」


「嘘つき」


 なんだか、男の子を責め立てる流れができてしまっていた。おそらく、男の子の絵を変だと感じはしてもそれだけだった子まで、女の子と一緒に責めないといけないような気になっている。そしてそれは、やる側にとってはひどく楽しい遊びなのだ。


「でも……」


 とうとう男の子は口ごもり、涙目になってしまった。


「ねえみんな、そこまで言うことないんじゃ……」


 見かねたナタニエルが割って入ると、


「嘘つきはほっといてあっちでお絵かきしましょうよ! わたしたちはちゃんとほんとにある絵を描こう!」


 女の子がぱっと周りの子たちに向き直り、ちらっと男の子をみながら意地悪な口調で言った。


「うん、あっちいこ」


「ぼく嘘つきじゃないしね」


 周りの子たちも口々に同意して、ばたばたと駆けていく。

 あとには、男の子とナタニエルだけが残されていた。




「君のおうち、塔がたくさんあるんだね。この塔に並んでるちっちゃい四角いのは窓? 窓もたくさんなんだ」


 うつむいて泣くのをがまんしている男の子にそっと話しかける。


 たしかにそれは不思議な絵でナタニエルが住んでいる王都には見かけない建物だったが、もしかしたらここから遠いとこにある町にはあるかもしれないし、ここではない、“外”の国であるかもしれないと思ったのだ。

 男の子は顔をあげるとはにかんだように笑った(さっきの意地悪な女の子よりもかわいかった)。


「これね、街なんだ。ぼくの家はここ、この部屋だよ」


 そう言いながら、窓のひとつを水色で塗る。


「その部屋だけ? 狭くない?」


「そうかも。でも父さんや母さんがいつも近くにいて楽しかったよ」


 懐かしむように目を細める。その仕草は、なんだか随分と大人びて見えた。


「じゃあそのいろんな色の虫みたいなのは?」


「虫じゃなくて車。乗り物だよ」


「馬もいないのに動くの? すごいね! どんな魔法を使ってるんだろ」


(暫定)外の国ってすごい。


 こうして知り合った年下の男の子はアルス・ドゥーシェと名乗り、ナタニエルも自分のことはナタンと呼んでいいと告げた。家族以外にそれを許したのは初めてだった。









 家に帰ってしばらくして祖父に呼ばれた。今日の交流会のことを聞かせてほしいというので、新しくできた友達のことを話す。


「そうか、ドゥーシェの子と……」


「はい。ちょっと変わってるけど面白い子でした」


 まるで自分がもう一人いるかのように話し、見たことのない光景を思い遠い目をする風変わりな男の子。

 そういえば、ドゥーシェ家はナタニエル――ナタンの家と同じく七家のひとつだったはずだ。その家の子が“外”の国に住んでいたとはいったいどんな事情なのだろう。


「ナタン、その子はおそらく記憶持ちなのだろう」


 聞き慣れない言葉に首をかしげる。


「おじいさま、記憶持ちとは?」


 祖父の説明によると、生き物の魂は一度死んだらそれきりなのではなく、何度も生まれ変わるものらしい。難しくてよくはわからなかったが、ナタンが生まれる前に他の誰かとして生きていたことがあり、それは祖父や両親も例外ではないとのことだった。


「でも、ぼくはそんなこと覚えてません」


「それが普通なのだよ。ただときどき、運命のいたずらか神さまの気まぐれか、生まれ変わる前のことを覚えているものが生まれることがある。どうやら、力の強い子に表れる傾向があるようだな……魂の記憶を留める力も強いということなのか」


 たしかに、あのアルスという子も強い力――魔力を持っているようだった。まだあまり魔法は上達していないから詳しいところまでは感じ取れなかったけれど。


「ナタンや、頭から信じることができなくてもいい、もしかしたらそういうこともあるかもしれないくらいでいいから、“前のその子”を否定しないでやりなさい。その子の“前”も“今”も、どっちも大切なその子自身であることに変わりはないのだから」


 ただし、変に意識しすぎることはないという祖父の言葉に、ナタンはうなずく。もうすぐ五百歳になる祖父は、やはりとても物知りだと思った。









 その後も交流会は、少しずつ参加者を減らしながら何回か開かれた。


 二回目のときは、アルスの絵に文句をつけていた子たちがいなかった。三回目は、アルスの風変わりな物言いをからかって泣かせたやんちゃな兄弟が来ていなかった。


 そんなことが続くうちに、ナタンは交流会を名目に大人たちが何かを試し選定しているのだとなんとなく察した。

 目には見えない試験に残り続けたナタンは、気がつけば歴代最高の魔力を持つとわずか五歳にして王太子に選ばれたアルスの側近候補筆頭になっていたのだった。









 ベルーカ国の宰相であるナタンの近頃の悩みは、幼なじみでもある国王がしょっちゅう城を抜け出すことである。幸いこれまでは仕事が滞るということもなくすんでいるが、そろそろ腰を落ち着けてもらいたいとナタンは思っている。


 ところが聞くところによると、あっちで凶暴な熊型の魔物を狩り、こっちでワイバーンを仕留めと冒険者生活を満喫していたのが、近頃は冒険者の籍を置いているエスターという国の王都周辺にとどまっているらしい。

 なにか興味をひかれるものでもあるのだろうか――たとえば気になる女の子とか?


(そんなまさか)


 そういえば、少し前に女もののペンダント――それもみずから作ったらしい魔石の――を作らせていたとか。過保護なほどに持主を守るための魔法が込められていたらしい……


「いや、そんなまさか」


 今度は声に出して否定してしまっていた。


 だいたい外の人間では、寿命も魔力も釣り合いがあまりにもとれない。ベルーカ国内でさえ、王であるアルスにふさわしい妃候補が見つからなくて苦労しているというのに。


 これもまたナタンの悩みのたねのひとつだった。


 主要な貴族、いや下級貴族から一般庶民に至るまで見渡しても、めぼしい相手がいないのだ。

 あと百年ほど高い魔力持ちが生まれるのを気長に待つか、今いるなかで最も魔力の高い相手で妥協するか。


 今のところの最有力候補は、七家に次ぐ家格のファーレス家令嬢カティーナなのだが、ナタンは個人的に彼女を王妃と仰ぎたくない。

 自分が妃に確定したといわんばかりの言動が気に入らないのももちろんだが、何を隠そう、カティーナはあのときアルスの絵をばかにし泣かせた女の子その人なのだ。


 なにがなんでも今すぐ結婚しなければならないわけではないから、ナタンやアルス、七家の主だったものたちはまだしばらくは待ちたいと考えているが、ファーレス家やその一派は早くカティーナと正式に婚約しろとうるさい。


(いっそのこと、外をふらふらするついでに精霊の子の娘さんでも見つけてくださらないでしょうかね)


 王の執務室に書類を届けに行ったナタンが、アルスが突然城からいなくなったのに気づくのはこの少し後、十歳の身寄りのない女の子をセニエ家の養女に迎えるべく根回しを始めるのは数時間後のことだった。

今までに、どんなお料理メモを書いてきたかちゃんと思い出せない(過去をさかのぼって確認するのはなんか恥ずかしい)。





果実酒メモ


梅酒、花梨酒をはじめとする各種果実酒(駄洒落ではない)。

水割りやロックで飲むだけでなく、お料理に活用するのも楽しいですね。


梅酒や花梨酒は、えぐみや雑味があってお料理に使うのはちょっと上級者向けかなと思います。

梅酒を唐揚げの味付けに使ったら美味しかったと昔ママンが言ってました。


癖が少なくてこむるがおすすめするのはスモモ酒、棗酒、サルナシ酒のあたりでしょうか。ボケ酒も使いやすかった記憶があります(たしかだけど)。

漬け方は、梅酒なんかと同じ要領で。


簡単な使い方としては、肉料理のときに、赤ワインや日本酒と同じような感覚で使えば大丈夫です。




・カレー、ビーフシチューの場合


肉に焼き色をつけた後、果実酒を入れてアルコールを飛ばし、炒めた野菜と合わせて煮る。ちょっと爽やかな風味。

アルコールを飛ばすときに、果実酒の中の砂糖がカラメル状になるまで煮詰めるとコクが出ます。



・豚の角煮の場合


分量の酒を半分果実酒に置き換え、果実酒を加えた分砂糖を控える。

ちょっと爽やかでやさしい甘さに仕上がる。




※あくまでも個人の感想です。

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