side千鶴――”日本に身分制度はないから”は言い訳にはならないそうです
本日6話更新 1/6
120話――7時
121話、122話、123話――8時
124話、125話――9時
の予定
お花畑はもうお腹いっぱいという方には、ざっくりあらすじを用意してありますので(125話)、そちらをどうぞ。
・なろう的乙女ゲームものあるある
逆ハーものや逆ハー気味多角関係な作品で、本編もしくは完結後の番外編でルート分岐する。
そこまで数が多いわけじゃないけど、たまに見かける。
うん、確かに推しキャラがヒロインを獲得する率の低い(そして悲しくなって読まなくなる)こむるにとっては大変ありがたいことかもしれないし、ゲームブック的な、ネット連載という形式ならではの面白さだなとは思いますよ、思いますとも。
でも、何ではじめからこむるのお気に入りキャラをメインに据えないんだと小一時間ですね(ぐぬぬぬ……)
そういえば、落書きを2018/07/09に追加してた。
話し合いはどんどんまとまり、ベルーカ側の使者としてセニエさんがわたし達とエスターに赴くことが決まってアルスさんからの書状も出来上がり。
いよいよわたし達は明日この国を出る――――。
「……未練だなぁ」
はああぁ、と特大の溜め息をついた。
あれから、庭園に行ってもアルスさんに会うことはなかった。
いや、まあ会ったところでどうなるものでもないけど、でも、お別れくらいちゃんと言っておきたいし……。
「えっと、あの……」
テーブルの横のワゴンでお茶を淹れている侍女さんに声を掛ける。
「今、アルスさんって――「“陛下”でございます」」
どこもに居るか知らないか訊こうとしたら、食い気味に遮られた。
「え――」
完璧な微笑みを浮かべ、しかし目の奥は一ミリたりとも笑っていない侍女さんは、更に言葉を重ねる。
「私的な場に於いて、かつ陛下がお許しになったのならともかく、他の者の目に触れる場ではどうぞその呼称はお控えになりますよう」
かちゃり、と微かな音を立てて淡い水色の紅茶が前に置かれた。
「不敬でございます」
そんなことも分からないのかと、侍女さんの目が言っている。
「で、でもサキちゃんは呼び捨てにしてるし、わたし達はパーティーを組んでいた仲間だし――」
「姫様は陛下がその名をお許しになった方でございます」
そう返す侍女さんの声には温度というものがない。
「また、姫様はその場に即した振る舞いのお出来になる方でいらっしゃいますから」
「っ……」
わたしとサキちゃんとでは、人間として出来が違うのだ、と言外に言われたような気がして、かっと頬が熱を持つ。
表面上は笑顔で、丁寧に接してくれている筈なのに。
でも、どうしてだろう、彼女から敵意すら感じるのは――
「それに――失礼ですが、勇者様は陛下とそこまでの信頼関係をお築きになっておられるのでしょうか……?」
――依頼はこなす、それだけだ。
あの夜、アルスさんから無情にも告げられた言葉が蘇り、ずきんと胸が痛んだ。
「どうぞ勇者様として、“外”よりのお客人として、それに相応しい振る舞いをお心掛け下さいませ」
――わたしは……アルスさんのことを名前で呼ぶことも許されないの……?
失恋の痛みから未だ立ち直れずにいたわたしは――――
1.夜の庭園を散策する。 →121話へ。
2.廊下のバルコニーで夜空を眺める。 →122話へ。
3.頭を冷やす為に城内を散策する。 →123話へ。
4.部屋に閉じ籠る。 →124話へ。